エピソード6 発現したチート・スキル
〈エピソード6 発現したチート・スキル〉
ギルドに戻って来ると、俺とエリシアはギルドの職員に事情を話す。
すると、クエストの達成を証明するスタンプを冒険者手帳に押してもらうことができた。
もちろん、しっかりと報酬も受け取った。
亡くなった職員のことは気の毒に思うが、ここはゲームの世界だし、いつまでも感傷に浸るのは良そう。
そんなことを思っていると、俺はふと首を傾げる。
「あれ? 五万ルビスしか貰っていないはずなのに、所持金の表示が五百万ルビスになっているぞ」
俺は目を大きく見開きながら言った。
「そんなはずないでしょ? 私にも見せてみなさいよ」
すぐ傍にいたイブリスは噛り付くようにメニュー表を覗き込んだ。
「ほら、五百万ルビスになっているだろ」
報酬のお金は手渡しではなかった。
ただ、メニュー表に「ギルドからの報酬を受け取りました!」という通知だけが表示されていたのだ。
だから、すぐにはおかしさに気付けなかったのだが。
「……確かに。ひょっとして、何かのバグかしら。いいえ、ちょっとスキルの方も見せてちょうだい」
イブリスが目の色を変えて言ったので、俺はスキルの項目をタッチした。
「何か分かったか?」
俺はメニュー表の前に浮かんでいるイブリスの横合いから尋ねる。
「あんた、とんでもない《ユニーク・スキル》を持っているわよ!」
「ユニーク・スキルだと?」
「そうよ。【ゲーム内で獲得する全ての数値が百倍になる】、なんて、チートも良いところじゃないの!」
イブリスは爪を噛みながら叫んだ。
「それで貰ったお金が五百万ルビスになっていたのか」
俺の持つユニーク・スキルの名前は【創造神の加護】だった。
「冒険者ランクの方も見せてみなさいよ」
そう言われたので、俺は受け付けのお姉さんによって書き込みがされた冒険者手帳を開いてみた。
「Bランクになってるな」
俺は目をパチクリしながら言葉を続ける。
「俺は最低のEランクの冒険者だったのに、たった一度のクエストでここまで上がるものなのか?」
俺はメニュー表を操作して、デジタルな形で表示されている冒険者ランクも確認した。
すると、そっちの方もBになっていたので、薄ら寒いものを感じる。
「冒険者ランクを決めるギルド・ポイントも百倍になっているのよ。だから、こんなおかしなことが起きてるんだわ……」
イブリスは爪を何度も噛みながら独り言のように零す。
その目には、どういうわけか憎しみのような光が宿っていた。
何にせよ、ナビ役のイブリスでさえ把握できないことが起きているということには、言い知れぬ怖さを感じるな。
その後、俺はパーティーの仲間を失って悲嘆に暮れていたエリシアに話しかけ、一緒に活動しないかと誘った。
「ありがとう、シュウイチさん。いつまでも悲しんでばかりはいられませんし、これも何かの縁だと思います」
堅苦しい態度を止めたエリシアは更に口を開く。
「だから、一緒に頑張りましょう!」
そう言った、エリシアの顔には吹っ切れたような清々しさがあった。
それを見た俺は、悲しみを乗り越えた者だけが持つ、真の強さのようなものを感じ取る。
俺もその強さを少し分けてもらおう。
そうすれば、この先、どんなに辛いことや悲しいことがあっても、今のエリシアみたいに乗り越えることができそうだから。




