エピソード4.5 不審な大金
〈エピソード4.5 不審な大金〉
今日も修一のアパートの部屋の掃除をしていた留美は額の汗を拭う。
「もう三日も頑張ってるのに、一向に片付かないなー」
留美は積み上げられた漫画雑誌をギュッと紐で縛りながら独り言を漏らす。
「徹夜でもしたいところだけど、この近くの路地で殺人事件があったって言うからね」
友達とやっているSNSで知った情報だ。
不思議なことに、テレビのニュースとかでは殺人事件のことは報道されなかった。
それがまた不気味なのだが、幾ら気にしてもどうなるものでもない。
「事件の話なんてしたから、お母さんも日が暮れないうちに家に帰って来なさいって言い始めたし」
留美は今週中には片付けを終わらせたいと思いながら、窓から見える綺麗な夕焼けに目を遣る。
夏になったせいか、日も随分と伸びた。
おかげで、夕方の五時を過ぎても暗くなる前に家に戻ることができる。
「でも、本当に修一さんはどこで何をしているんだろうね?」
留美は宙を仰ぎながら言葉を続ける。
「おばさんの話じゃ、スッカラカンだったはずの修一さんの銀行口座には大金が振り込まれてたって言うし」
そんな事情でもなければ、アパートの部屋の掃除をするだけで三万円もお小遣いをくれたりはしないだろう。
だが、得体の知れないお金には、気を付けなければならない。
最近は、詐欺とか闇バイトとかが流行っているし。
「修一さん、何か悪いことはしてないよね?」
そう呟くと、留美は薄ら寒いものを感じつつ部屋の片付けを続けた。




