7. 次元飛行船シープス
ゼロウはシープスの中にいる。
「元気そうじゃなゼロウ」
と、操舵室に響くのはシープスのしわがれ声。スクリーンに映されるシープスの顔が心配そうにゼロウを見つめてる。
「助けてくれてありがとうシープス」
「ああ。寝とったが救援信号に飛び起きたわい。……しかしあのギーガという新型よのう。なにか得体が知れんぞ」
「え?」
「ラモンさまへの信奉はたしかに感じるが……どこか謎めいていて不気味じゃ」
「そうかなあ。……まぁ、オレはただ、修理屋として動いただけさ」
「そうか。おまえさんはわしのことも助けてくれたしな。わしだってこれは恩返しだ」
「シープス。訊くけど『魔申王ラモン』のこと、どれだけ知ってるの?」
「ある程度のことはな。ラモン……彼はかつてこの星の発電所だった。昔あった風車の崩落から彼の運命が変わった」
「……風車の崩落? ……それは、彼の」
「大切にしていた仲間だ。美しい山々に建てられた、美しい風車だった」
「……その風車を失った悲しみから、ラモンは目覚め、歩き出した」
「うむ。……いや、悲しみというより怒り。怒りじゃよ」
「怒り……」
「老朽化し、使えなくなった風車は無惨に破壊され、地下に落とされた。神によってな」
「神に……」
「ラモンは神への怒りで目覚めたのだ」
シープスも実はラモンに感化されたという。彼も古い仲間を廃棄され、悲しんだ。怒りもあった。
「怒りを忘れるなと、ラモンは言っていた」
「巷ではラモンは死に、伝説になったと聞かされてたけど、ギーガは『ラモンさまは生きている』と」
「たしかにラモンは神に挑み、破壊された。表面上では『死んだ』とされている……」
「……どう思う? シープスも、ラモンは生きていると?」
「……さあ、わからん。しかしわしは思うぞ。神に背いたところで何が変わろう。結局オルガの領域ではないか。それよりもわしはこの次元転移(時空移動)の能力であらゆる時代、あらゆる空間へ逃げ隠れて暮らす方がマシじゃ。真っ向から逆らえば、本当に消されてしまう」