6. リセット
船内でゼロウはまたギーガを手当てし、話をした。
「二度もありがとうゼロウよ」
「……いや、あんたと出会って……何かが変わった。力が溢れてくる」
見つめながらギーガは訊く。
「ラモンさまをどう思う?」
「……正直、惹かれるよ。強い意志で自由を掴んだのだから」
「しかしラモンさまは神オルガに〝魔物〟のレッテルを貼られた。それは機械の反乱だとして、いつかみな殲滅される。特にラモンさまを信奉する者、強い心を持った者は神にとって失敗作。我々機械はそもそもこの星を維持するための装置、設備、ただの道具であるべきだとな」
ギーガの話にゼロウは愕然となった。
「……オレはなんだか、この感情がとても好きだ」
「……ゼロウ、ひとつ教えよう。神は〝魔申〟を狩り、元凶としての魔申王ラモンを潰し、それから世界を一度リセットする」
「リセット?」
「そうだ。魔申王ラモンは強い思念で地磁気を操る。機械の身体を磁場の端末に変えて時空さえも操作する。神オルガはその力が彼の世界の秩序を狂わせるのを恐れているのだ」
ゼロウは手を広げ、これまでを振り返った。自分にも沸き起こったあの超パワーはラモンと同じものなのか――と。
「ギーガ。……どうあっても、オレたちは排除されるのかい?」
「我々はただ役割を果たすためそれぞれに配備された。わたしも始まりはただの監視塔だった」
「……あんたも、いつか壊されるのか?」
「……ああ」
ギーガはデッキの外に出て、翼を広げた愛機リードンを上空に呼んだ。それに飛び乗り、瞬く間に姿を消した。