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3. ギーガ
ギーガが去ってからも、ゼロウは忘れられずにいた。
ギーガの頭部の赤い光は謎めいて美しかった。
ゼロウは指間腔から注入するナノ・レンチで仲間たちカラクリアンを体内部から構造や機関、集積情報まで隈なく調べあげ、修理し、整備する。
ギーガのこともある程度は知ったつもりだ。
ギーガはかつて、監視ロボットだった。
星の安全を見守る新型の監視カラクリアン。
心を持ったとはいえ彼らはもともと創造神オルガに作られた。
『新型』にカテゴライズされる者は『旧型』にとって、ある意味脅威だった。
何故なら旧型は排除され、代わりに新型が据えられるのだから。
「新型は敵だ。信じるな」
「やつらは神オルガの尖兵だ。いつか俺たちを殺しにくる」
と、仲間たちは常々ゼロウに言っていた。
それから幾日か経って、ゼロウの解体修理場に三体の派手なカラクリアンが現れた。
「魔申狩り」だと暴れ出す。
魔申とは神に背くカラクリアンを意味する。
彼らは反逆者を狩りに来たのだ。
狙いはギーガだと、ゼロウは直感した。