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13. 神オルガの理想郷
見ているとヒトは穏やかで幸せそうだ。
花を愛で、蝶を追い、純粋無垢に時を過ごしている。
木の実を食し,果実を食し、泉の水を飲む。
形が微妙に違う〝男〟と〝女〟は、互いに思いやって生きているようだ。
オルガの理想郷。
かつてオルガがヒトだったというなら、オルガが望むものがここにあるんだと、ギーガは察した。
「ラモンさま。どうやら我々もあの、ヒトを模しているのでは。仲間を思う心があって、共感し合ってる」
吹き荒ぶ風のラモンは答える。
「そうだよギーガ。きっとそうだ。そして我々カラクリアンの魂もかつてのヒトから引き継がれたものだ。かつての〝個〟の記憶は消えたが、彼らの魂が我々に宿った……と、私も感じている」
「ここであなたは、何をどう試すおつもりで?」
ラモンはギーガの周りを舞い始める。
「そう。たとえばあの女の方に、禁断の実を食べさせる。神が彼らに『決して食べるな』と告げた、禁断の果実を与えるのだ」
ラモンはギーガ以外のカラクリアンを呼びつけたと言う。そのいずれかを使うつもりで……。




