12. 宇宙居留地カラク
二本足のヒトは際立って見えた。
他の動物とも植物とも違う、魂の存在。
ギーガたち機械仕掛けのカラクリアンとは違う、微細で計り知れないオーラを放っていた。
ラモンは言った。
「ここは理想郷だ。オルガの理想郷。かつて滅びたヒトや動物を、オルガは復活させようとしている」
「かつて滅びた?」
「そう。かつて、特にヒトは『地球』という星の、まるで支配者のようだった。滅んだのは、それが行き過ぎたんだよ。オルガの前の〝神〟に見放され、その手でほとんど絶滅させられた」
「前の神……。ではオルガはその後継」
「うむ。だがオルガも実は『かつてヒトだった』とも伝えられる。我々は『宇宙居留地』を動かすための機械だった。おまえの記憶にどれだけ残っているかは知らないが、我々が組み込まれていた星にはかつての人類の生き残り、ひと握りの地球人が住んでいた。しかし予期せぬエネルギー動力炉の事故でその人類もすべて死に絶え、その後我々は見捨てられた星の残骸となった」
「……我々は……スペースハビタット。見捨てらた……残骸。そして我々の世界に……かつての人類が……住んでいた」
明かされた真実。
驚愕したギーガの記憶回路がほとばしる。
何故この異世界を認識できるのか――押し寄せる情報にも合点がいく。
見渡す新世界は繰り返される歴史かもしれない……と。