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孤高の勇者のプロデュース  作者: 湯切りライス
1章 帰還した元勇者と落ちこぼれのお嬢様
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第10話 日本異能協会

今日は話の区切りの関係でちょっと短めです。

 しばらく歩いていると、和風な商店街区域を抜けて急に現代的な建物が並ぶ区域へと足を踏み入れた。

 建物の2階部分以降のそこかしこに浮かんでいる半透明のウインドウからは()()()()CMやら動画やらが軽快な音楽と共に流れており、その光景は現代的というよりはむしろ、どこか近未来的と言えた。


「着いたわ。今日の目的はここ」


 雛菊に案内されたそこは、周囲の建物と比べてもより先鋭的で、建造物というよりも精密機械を連想させるようなデザインであった。

 建物の正面入り口全体がガラスのように見えるのに、不思議と中の様子は見えず、入口直上には『JEA』というロゴが大きく宙に投影されていた。


「JEAという事は、今日は異能士としての仕事か?」


「正解」


 迷いなく進む雛菊の後を追って自動ドアを潜り中に入ると、そこは清潔感のあるフロントのような空間であった。


ーー日本異能協会(Japan Extraordinary ability Association)通称JEA。

 日本の異能士を管理する団体であり、怪異関係のトラブル、中でも主に怪異の討滅の依頼を取りまとめ、適切な能力を持つ異能士に振り分ける役割を持つ。

 異世界(あちらの世界)で言えば、冒険者ギルドの立ち位置に近い団体だ。


 まぁ、大きな違いはあちらの冒険者ギルドは荒くれ者の集まりというイメージが強く、ギルド内には酒場が併設され喧騒が強かった。

 対してJEAは綺麗なホテルのフロントという印象が強く、もちろん酒場なんてものは併設されていない。

 ついでに言えば、冒険者ギルドでは掲示板に依頼が羊皮紙で掲示されていたが、こちらでは依頼やニュースが壁に投影され流れていくのもスマートだ。


「賀茂嬢、あれはなんだ?」


 俺は依頼が流れる壁面とは別の壁面に投影されているランキングのような物を指さして雛菊に質問をした。


「ああ、あそこに掲示されているのはこの国の"ランカー"よ」


 雛菊は言いながらついーっと大きく10人の名前が掲示されるランキングを指さした。


「こっちがこの国で10人しか居ない"特級異能士"のランキング」


 なるほど、あれが特級異能士。

 つまり、日本最強の異能士達というわけだ。


ーーJEAに登録している異能士には、その能力、マナ量、そして実績に応じて階級が振り分けられる。異能士に階級を設けるのは異世界(あちらの世界)の冒険者ギルドと同様、実力に見合わない依頼を受けて無為に命を落とさないためだ。


 異能士の階級は下から下級・中級・上級・特級の4階級。

 JEAに登録するためには異能学園の中等部の卒業資格が必要だ。つまり、中等部は卒業しているが異能学園なんてものは当時もちろん存在していなかった俺みたいな人間は登録すら出来ないというわけだ。

 異世界(あちらの世界)の冒険者ギルドなんて、名前とマナの登録だけで登録できたんだが、その辺りも日本はしっかりしている。


「特級の3位がお前の親父さんか」


ーー特級3位【嵐燕】賀茂 範茂。

 すなわち、雛菊の父が日本の3本指に入る実力者という証であった。


「そう。初代賀茂当主に匹敵すると言われる、最強の異能士。それがお父様よ」


 自身の父親について説明する雛菊は、どこか誇らしげであった。


「それに比べて、私はまだ中級。もっと、頑張らないとね」


 続けて自身について触れた雛菊の表情に、わずかに影が差すのが見えた。


「お前は、これからなんじゃないのか?」


「…ええ、そうね」


 真っ直ぐ自身の目に焼き付けるかのように、偉大な父の名前を見据える雛菊。

 それは、まるで決意を固めているようにも見えた。


「で、こっちのランキングは?」


 俺は特級の横に掲示されるランキングに目を移した。そちらは特級と比べて随分小さく、そして100名の名前が表示されている。


「そっちは上級のトップランカーね。上級の中でも上位100人はああやって異名が付けられて掲示されるの」


 雛菊は説明したのち、上級ランキングのすぐ隣に投影される、二人の男の異能士の戦闘映像を指差した。映像の前には人だかりができており、みな食い入るようにその映像を観戦しているようだった。


「ちょうどいま放映しているのは『入れ替え戦』ね。上級のランキングはああいったランカー同士の『異能戦技』でも変動するの。JEA所属異能士による『異能戦技』は、この国の主要興行の一つになっているのよ」


 現在の異能士はこの国の花形職業だそうだ。ともすれば、有名な異能士達が鎬を削る『異能戦技』はオリンピックやワールドカップみたいなものか。この時代、既存のスポーツは軒並み衰退したらしいし。


「特級は出ないのか?」


「特級異能士はこの国の特記戦力で国防の要だから。大体は"大怪異"との戦線の要所に配置されているか、上級怪異の討滅のために各地を飛び回っているわ。実際、お父様も忙しくてほとんど家には居ないしね」


「なるほどな」


 異能士の本分は怪異の討滅。そして『異能戦技』は言ってしまえばスポーツのようなもの。特級にもなればそんな暇はないか。


「それじゃ、私たちも用事を済ませましょうか。少しここで待っていて」


 そう言って雛菊は依頼を受注するため、カウンターに向かうのだった。

毎日1話更新予定。

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