表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/25

No.025 ▼再会の窓口

 駅から少し離れた喫茶店。

 静かな午後、カップの縁に紅茶が揺れた。


寺毛の向かいにはホテル時代の後輩椎名がいた。

久しぶりに会うその目は、何かの決意が伝わってきた。


 「弟のことなんです」

椎名は少し照れくさそうに切り出した。

 「引きこもって、もう、三年、何を言っても届かなくて・・・ でも、寺毛さんの"道徳学院"の記事を見て、反応したんです、"行ってみたい"って… 通うのはちょっと無理だから寮がるなら、良いなって思ったんですがーっ」


寺毛はゆっくり頷いた。

 「その声、最近、他の生徒からも聞くんだ、通えない、けど、その場所で過ごしたい、そんな気持ちが胸を突き刺すよ」


椎名は深く頷き、手提げから封筒を差し出した。

 「これは僕の知り合いの投資家からのものです "今の時代に必要な学校"だ、と言ってました 挨拶を兼ねて、まずは運営準備の支援をしたいって、ただし、"理念"は曲げない事、が条件」


封筒には手紙と共に数百万円規模の支援申請書と仮契約書のコピーが同封されていた。

寺毛は封を閉じゆっくり呼吸した。



その日の夕方学院の掲示板に新しい貼り紙が増えた。


 《道徳学園寮 準備開始のお知らせ》

  ・地域内建物候補の調査

  ・希望者の声募集中


こはるがそのお知らせを見て呟く。

 「あのこ、きっと喜ぶわ」


こはるの背中越しに夕陽が長く伸びた。その光は寺毛の顔にも差し込んできた。


 「"帰る場所は家じゃなくてもいい、心が喜んで帰れる場所がひとつでもあればーーー、それでいい」


希望の種が根を張り始めていた。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ