No.024 ▼広がる声・届く手紙
道徳学院の"同好会"が始まってから三週間が過ぎた。
毎週木曜の午後、静かな黒板の前に数人が集まり、小さな輪になり話す。
話す内容は日々の小さな出来事。
「おばあちゃんに傘さしてあげた」
「レジの人にありがとうって、言われたのが嬉しかった」
そんな出来事を、お互いに頷きながら、聞くだけで空気があたたかくなっていく。
ある日寺毛の元に一の封書が届いた。
差出人はかつて寺毛が働いていた職場の後輩椎名からだった。
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新聞を見て驚きました。"道徳を中心とする学校"そんな場所が本当に始ま ったんですね。涙がでました。
実は今引きこもりの弟がいます。そちらの『道徳学院』通わせたい。でも家からは遠いので通うことは不可能なんです。もし、寮ができるなら、力になりたい。投資家などを紹介できます。
一度連絡ください。 椎名より
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手紙を読み終えた寺毛は静かに目を閉じた。
その日の同好会では小春が話した。
「友達で家に居場所がない子いるぅー、ここに"泊まれた"らいいのに、って、言ってました」
他の生徒も、ぽつりぽつりと、似たような声を漏らしてきた。
寺毛は黒板の前に立ち、チョークを持ち、そっと書いた。
《道徳学園寮》構想始動。
書いた瞬間、黒板のチョークの音に背中を押されているように思えた。
その集まった想いはやがて、一つの建物となって設立することになる。




