第21話 立像の完成、そして・・・
「ボディ完成と・・・内部フレームが完成すれば楽だったな」
「内部フレームと外装にオリハルコンて・・・・・・かって、これほど無駄にオリハルコンを使ったVRMMOのプレイヤーが居たであろうか」
ラインは勿論、レイン、リーム、クランメンバーも呆れ顔である。ついでに言うと、考察クランと言うか、考察クラン代表がワクテカ状態である。
「まずは寝かせた状態で腰パーツに足を、胴パーツに腕部を付けるぞ。魔法班は軽量化の呪文待機」
「足場班は足場の組み立て開始。吊り上げ機材も組み立てるぞ」
「じゃあ、自分は頭部の仕上げに入るから、ライン、リームは組み立て班をよろしく」
ラインが全体の組み立て班、リームとレインが足場班となり指示を出していく。で、自分は頭部の仕上げである電脳を装着する。いやあ、なんて言うか、でっかい仏像を作った人の気持ちが分かる気するなあ。しかし、こう、なんだろ、普通に笑顔の顔を作ったつもりなのに、こう、なんて言うか全体的に哀愁漂う笑顔になってる気がするのは?
「よ~し、スーツ班とズボン班。魔法班と協力して着付けよろしく」
「任せて、考察クランと生産班、行くよ」
リュウカさんがニッコニコでスーツ着せに取り掛かる。念の為、レインを付けてるが大丈夫かな?大丈夫だよね?こう、ペロペロしだしたりはしないと思うが、なんだろう、嫌な予感がする。
「オナろうとするんじゃない!」
ゴスッと言う凄い音と声が聞こえた。いや、やっぱ聞こえてないぞ、うん。さて、多分、完成したら、何かしらのクエスト達成の報告があるだろうけど、どうなるんだろう?ま、試せば分かるか。
「よし、OK。脚部に軽量化かけてSTR特化部隊持ち上げたらゆっくりと台座の足の部分に填めて」
まあ、スキルで作る事前提なので当たり前だが、ぴったり填まる。次に滑車も利用した足場で胴部を持ち上げゆっくり降ろしながら組み込む。これは自分以外にも生産系プレイヤーと共に行う。流石にでか過ぎるしね。手順も教えてあるのでスムーズに進む。
しかし、なんだろう、組み立てが完成する度に、「やめてくれ!」って聞こえてくるような?でも、声の主は居ないし、気のせいかな?
「よし、頭部付けるぞ。ゆっくり上げてくれ」
一応は下で魔法使いがいざと言う時の為に魔法を、足場の天辺に繋げる命綱を装着しているが、こりゃ怖いな。実物大のアレ作った人達はこれ以上の高さのとこで作業してたのか、敬礼!したくなるな。
「オッケー、ネジ班は各部分にネジで締めて行ってくれ、終えたら溶接班と交代」
多分、最初はゲームだし、ネジだけで良いと思ったんだが・・・リュウカさんのとある一言で溶接も行う事にしたのだ。何言われたって?
『それだけできっちり填まってるようにしてくれると思う?このゲームが?』
納得しかない一言である。てーか、納得しかないまである。という事で溶接したら、やすり掛けもしておく。プラモで言うとこ、合わせ目消しに近いかな、コレ?何となく完成度の高さも色々関係しそうだしね。他の部分も勿論同じ処理を行っている。
「よし、足場班。足場と紐の取り外しよろしく」
・・・・・・いや、待てよ?もしかして、もしかしてですかね?
「いや、ちょい待った!足場と紐外す前にリュウカさん、レイン!生産班と一緒にコレを覆いかぶせるぐらいの白い布を用意してくれ」
「・・・・・・あ、なるほど。リュウカ、行くわよ!」
「おぉ!私としたことが、アレは必要だな!」
多分、無くても良いかもしれないがあった方が良いからね。それと・・・
「ライン、リーム。考察クラン含む全クランメンバーを集めて来てくれ。後、この島の住人達にも告知を頼む。それと・・・ハサミを一つ用意しておいてくれ。自分はそれが必要になるアレを作ってくる」
「うわ、本格的にやるのか、んじゃ、リーム、メンバー集めて来てくれ。俺はハサミを取ってくる」
「了解。確かに形式をきっちりした方が良いかもだからね。ついでだから集合時間決めて、それまでにメンバー達に宣伝させて来るよ」
ここまで言えば分かると思うが、銅像とかの初披露で行われる除幕式を大々的にやってしまおうという訳である。いや、なんか、そうしないと駄目な気がするんだよね、ホント、運営さあ?さて、必要なリボン状のテープ作ってくるか。
『それでは、テープカットを行います』
流石に急場なので、屋台などは無いが魔法で舞台やらなんやら作って進行させている。拡声器は流石に無いので、魔法のウィンドボイスを司会であるレインにかけている。
『初公開キター』『ビルあんぞ、どこだ、コレ?』生放送のコメントも驚いてはいるが、あ、自分の放送かで何か落ち着いている。納得いかない・・・・・・
『はい、我がクランリーダーライン、そして、製作者のウッド、ありがとうございました。それでは、お待たせしました。未来大陸 トウ・キョウのモニュメントとなる立像の除幕です!』
自分と他のメンバーが何人も手伝い、白い布の幕が剥がされる。同時に世界が暗転する・・・・・・へ?レインの方を見るが頭を横に振っているし、リュウカさんを見るが、やはり顔を横に振る。つまり、用意されていた演出ではない。え?どういう・・・・・・いや、待てよ?
(待て、どうして、ネタ鍛冶師のイベントで世界規模のイベントが始まる?)
空を見る限り、広がりを見る限りは世界中で空が暗くなっている。つまり、ワールドクエストに似た前兆。しかし、この現象が起こるには、ネタ鍛冶師が無ければいけない。何故?いや・・・
(違う。ネタ鍛冶師がどうして・・・・・・)
そうだ、どうして疑問に思わなかった。第4陣まで、ネタ鍛冶師が存在しなかった事だ。自分のようにスキルをランダムで選んだのが世界にゼロ、あるいは数人とかな筈がない。
(まさか、いや、しかし・・・ あり得ない訳 ではない)
<<ワールド 解放 クエストが解放されました>>
【同時刻 ファンタジーゲートオンライン運営】
「何が起きている!」
「主任!判明しました!ブラックボックスに眠っていたプログラムが解放されています!」
自分の銅像が立つ瞬間を最初こそは周りも笑ったりしていたが、突然のイベントに運営の全ての部署に怒号が走り回る。ファンタジーゲートオンラインにおいて、プログラムの一部は社長が弄り、ブラックボックス化していた部分がある。それが解放されたらしい。
「どんなプログラムだ?」
開発部の部屋で責任者に聞く。解放されたという事は解析を行えるという事なのだから。
「それが・・・世界を統合させるプログラムなんです」
「何?」
世界を統合?どういう事だ?ファンタジーゲートオンラインはリアルな世界とリアルなファンタジーであるが、世界観はファンタジーで・・・・・・あっ!そうか、そういう事か、社長!
「現時点での更新パッチを全てメモリに格納!状況によっては廃棄する!解放されるプログラムを優先しろ!」
「よろしいので?」
秘書からも怪訝な顔をされるが、おそらく、社長は自分達がこう取るであろう行動まで読んでいる。悔しいが、年季が違う。
「構わない。どうせこうなる事も社長の織り込み済みだろうからな」
流石に、こういう事には慣れてきた秘書も開発チームも一気に動き出す。くそ、思い返せば、売れてなかった時期も売り続けろと飄々してる訳だ・・・・・・
「売れない時期があろうとも、例え、どう転んでも、このゲームは成功する。そして、この解放で更にゲームは売れまくる。分かってたな、あのクソ社長め・・・・・・」
自分は今の心情を口に出して吐露するしかなかったのだ・・・
完成とともに新イベントはお約束ですよねと言うお話。実はこれ、ずっと張ってた伏線の回収なんです




