第14話 王龍討伐 討伐編
「はい、と言う訳でですね。今回は龍の鈴で来る。推定・王龍の討伐をいたしたいと思います。協力してくれるのはファンタジーゲートオンライン検証部と同クランマスターであるリュウカさんが誘った高ランククランの皆様です!」
『どういう事なの・・・』『え?なんで?』『どうしてそうなった?!』とコメントが流れてくる、高速で・・・・・・そうは言われてもなあ、こう返すしかない訳で・・・
「どう言う事かは自分が聞きたい・・・・・・」
打ちひしがれた体勢でそう言うしかないんだよ。『ああ・・・』『納得』『あのリュウカだしなあ・・・』と流れてくる。って、ん?
「あのリュウカ?どゆこと?」
戦闘準備を終えたラインに聞いてみるとあ~と言う顔をする。
「まず、リュウカさん、美人だろ?」
「うん」
まあ、素直にそう思うが、なんだろ?こう、実際に会うと、こう、恋愛対象っていうのか、そう言うのから外れる感じがするが、まさか・・・
「検証になると鬼になる。コメント見ろ」
『アレは美人ではない、検証魔王じゃ』『目見麗しい検証の悪魔』『検証の為に変顔しろと言われたら躊躇なくやる残念美人』『ログアウトは悪と言う変人』『ログイン制限時間が無かったら絶対ずっとやってる変人』『公式も認めるログイン制限時間設定を決めさせた残念美人』・・・わ~お。
「そう言う?」
コメントを見せつつ、ラインに言うと、頷く。おおう、美人なだけにアレなのか・・・・・・ん?待てよ?
「なあ、ライン?」
「うん?」
「ビキニアーマー、向こうに持って行ったら着てもらえたんじゃね?」
「あっ」
『あっ』『あっ』『あっ』←コメント
まあ、自分はデータがもう出てるから必要無いけどね。まあ、こっそり、リュウカさんにビキニアーマーを頼まれたのは秘密にしとこう。
「さて、砲台設置。お~い、レイン。ラインはメイン火力なんだから、今リスポーンさせないでくれよ。ラインもポーション飲んどけよ~」
「ちっ」
「うぃ~」
舌打ちする美形って怖いよな。ラインが死にかけてる辺り、レインも最前線組なんだな、うん・・・自分が怒られないのはちゃんとデータをレイン・リュウカさん両方に提出したからである。あの地獄のような動画でデータを収集するのは地獄だったぜ、2~3日夢に出てきたもんな・・・
勿論、リュウカさんにも提出したのだ。両方からすっげえ同情された目で見られたけど、代わりに欲しい情報あったし。ま、そのデータに関しては追々。今は対推定だが王龍戦に備えるのが先だしね。
「しかし、並べたなあ」
「まあね、正直、これらはほぼ囮だしね」
まあ、なんて言うか、コメントで一番的を射てるのが『怪獣迎撃戦?!』から察して頂きたい。ずらーっと並ぶ砲台に各遠距離組が持つビームライフル。あれ?ここリアルSF世界でしたっけ?
「で、ライン、コレが例の奴ね」
ぴくぴくして地に伏しているラインの横に、こう鞄にブースターが付いた、うん、ロボの空飛ぶ為のブースターを置く。無論、人間サイズである。
ブースター:ランドセルの様に背負って使用するブースター。その速度はマッハ?! 種別:アクセサリー 部位:背中
「で、リームも」
実は巻き込まれない為に隠れていたリームにも渡す。まあ、今回の大半の肝はこの二人だからね。
「サンキュ。後は始まりと同時に、レイン?」
「その為にレガシー武器持ってきたから大丈夫よ」
レガシー武器とは正真正銘レア武器である。うん、最近自分が作る武器屋防具やアクセサリーの所為で普通にそういう武器が見られて感動である。うん。いや、マジで、普通の武器って作った事がなかったなあって・・・・・・あれ?
審判の杖:魔法使いの頂点を極めた者だけが扱える杖。2重魔法の詠唱権を得る。 種別:杖 攻撃力:80
「おかしい、普通に良い武器なのに、こう、インパクトが・・・アッルェ~?」
「「「お前の武器がおかしいだけだから!」」」
『ウッド神の武器がおかしい』←発言と同時に流れた弾幕コメント
お、俺がおかしい、俺の感覚がおかしい?あれ????なんか、涙出そう。おかしい、鍛冶職で頑張ってるのに、アッルエ―?どうして、この武器が普通に見えたんだ、鍛冶師の俺!!!
「さ、さておき、全員の準備は?」
砲台、前衛に後衛、支援部隊も含め、レイドでも中々見ない人数が配置に付く。そして、鈴をチリンと鳴らす。
「来るぞ!前衛、竹槍装備!」
リュウカさんが指示する。今回はラインとリームは指示する暇がないと言うか、集中する必要とタイミングを計る必要があるので、待機状態だ。レインも杖を手にその時を待つ。
「構え!」
龍が飛来する。構え!の指示の御蔭でまだ早いと前衛が止まる。いや、前はクソ鳥のボスを落とす為であまり見てなかったけど、まずでかい。でかさは強さ、まんまなんだろうな。普通は何かしらのレガシー武器を揃えての戦闘が想定されているボスだろう。さて・・・
「放て!」『撃てぇえええ!』
リュウカさんの指示と同時に前衛のサブリーダーの指示で竹槍が飛んで行く。
『ゴァアアアアア!!!』
攻撃と同時に強制的に落とされたドラゴンがビリビリと振動が広範囲に広がる程の咆哮を鳴らすと同時に・・・
<<王龍 バハムートが戦意を示しました。これより一定の距離がボスレイドゾーンになります>>
「続き、砲台部隊、翼狙え!前衛、後衛部隊はビームライフルに変更、撃ちまくれ!狙いは付けなくていい!少なくとも奴の周りに味方は居ない!頭部正面には立つなよ、ブレスで焼かれるぞ!」
ビームが飛ぶ飛ぶ。しかし、ドラゴンのライフは少しづつしか減らない。まあ、そりゃそうだ。だが、この攻撃の肝心な所は、王龍のライフはちゃんと減る。この一言に尽きる。つまり、無敵モードの是非の確認が第一である。
『ドラゴンに襲い掛かる未来の武器www』『草www』と流れるコメント、うん、俺もそう思う。しかし、このコメントも少し後に阿鼻叫喚のコメントに変わる。間違いない。
『行くわよ、ライン、リーム!ハイヘイスト!フライ!』
「「っしゃあ!」」
「撃ち方、やめ!支援部隊!あの二人にストレングス他支援マックスで!」
ドラゴンは翼のダメージに加え、竹槍のデバフも相まって、飛べない今がチャンス!まずはリームが顎下に回り込み、メカニカルアームを下から射出。アッパー気味の一撃は攻撃力とヘイストによる突進力も相まって、ドラゴンを宙に浮かせる。
「食らえぇええええ!」
そして、ラインが魔王サタンの時と同じく、空に向けて鉄の塊ソードを放出!と同時に、自分とレインが駆け出す。何もなければいいが、絶対にあるという確信がある。その為に走る。
「っ!ウッド君!頼んだ!」
バキンバキンと消えていくHPバーが、ミリで止まる。つまり・・・食いしばりだ!インベトリからの疑似投擲は一つ弱点がある。一度しまう、もしくはしまってる最中のアイテムは再度投げるまでクールタイムが必要であるという事だ。
つまり、食いしばりの様なスキルを持つ者とは多少相性が悪いのである。リュウカさんが持ってるモンスター調査能力で調べたのだろう、言葉と共に俺とレインが駆け出す。
「レイン、バハムートのHPは!」
「1!自動回復は現在停止中!防御力が急上昇!っ?!9999!!!ハイヘイスト!」
更に念の為、レインが駆けつつバハムートの身体を鑑定する、そう来たか!いや、ここまでは読めてた!行くぞ!レインは途中で止まり、自分にハイヘイストをかけてくれたので、自分単独で一気にバハムートとの間合いを詰める。でっけえが、今なら、一撃離脱で行ける!
「いっけえ!」
ラインのやり方と同じく、疑似投擲で射出されたのはでかい剣でも、メカニカルな手でも足でもない。華美でありながら、どこかパチモンくさい剣がバハムートに向かって飛び出し、そしてコツンと言う感じで刺さる。
『ゴァアアアアアアアアアアアアアアアア・・・・・・アァァァ・・・・・・』
甲高い断末魔から弱っていき、地に伏すバハムートが粒子になっていく。やっぱり、食いしばり系があった。と言うのも、レインとリュウカさんとの話し合いで・・・
『私はまだ未発見のスキルを件の龍は実装されていると思っている』
『更に言えば、あんたのネタ武器の対策はされている。けれど、絶対に倒せないようにはなってないと思うの』
大型のボスでゲージ制のボスだからこそ、確実にあると思うのは食いしばり系のスキル。そして、逆に停止されるのは回復系のスキルと飛行。そして、同時に発動するのは防御力が上がるスキル。ここまで予想通りなのは自分の思考がゲーマー的であり、2人の検証による協力で開発者の方の考えも読めたからだろう。自分の武器への対策。おそらくは最大に警戒されていたのは鉄の塊ソード。おそらく現状の鉄の塊ソードと拮抗する9999に加え、耐性もあるだろう。だから、同じ事をすると効かず、また動けるようになり、回復機能の再開で更に一戦出来るようになり、AIも学習するだろう。そうなれば敗北は必須だ。だからこそ・・・
エクスカリパー:宝剣エクスカリバーの贋作品。しかし、贋作ながら、確実に1のダメージを相手に与える 種別:剣 攻撃力:1
たった1の相手を確実に倒せるネタ武器。あったんだな、コレが!いや、待て、今、コレ、宝剣以上の剣になってないか?・・・・・・・・・今更だな!
<<王龍 バハムートが討伐されました>>
<<同時に、世界が解放されます!ワールドクエストが解放されました!>>
・・・・・・・・・・・・は?
ボスを倒せば世界も広がる。お約束ですね!後、固定ダメージは正義!!!