第 十一 回
「ゾンビ君…お腹に爆弾が…」
耳を鋭敏にしたら、お腹から機械の音が、聞こえたのだ。
私は元婚約者の発言をこの時思い出すので、あった。
「アイツ…海型急仁。…殺す」
ゾンビ君は悲しそうな顔をした。人間の感情が表れるように、なったのだろう。
堪らずゾンビ君は、私を、抱きしめた。
もう、世界が消えたっていい。こんな、世界なら…。
とは思ったものの、死ぬのもシャクなので、とりあえずもっと頑張ろう。
私は人間側の作戦の考察をした。多分、位置・発信機のようなものはある。人数的仕事のバランスや、『ゾンビ』な訳だし、盗聴器はないな。
ゾンビを追い込んで、ゾンビ君がいたら、爆発をさせる。
ゾンビ君に、私はキスをする。まるで、夏の暑い時のアイスのように触れると、落ち着いていい。
「ねえ、どうやったら爆弾をはずせる?」
ゾンビ君は震えながら私から少し、離れた。現実を、思い出して、しまったのか。
「本当に無理だ…。身体の内部に埋め込まれている。これじゃあ、ゾンビの再生能力があってもはずした途端に、爆発をして死んだままだ。…手術跡は消えたが、これじゃあ酷い仇って訳だ」
ゾンビ君はガタガタと震えて切なそうに笑う。
「待って…考える。アイツに私、土下座をしてはずして貰おうか」
別に、土下座ぐらい人の命が助かるなら、何十回だってやってやる。
「ダメだ。こんなやり方をするヤツはやってはくれない」
ゾンビ君は真剣に私を見つめて言う。
続く




