表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/9

追放されちまったぜ

ウホウホウホ! (とあるイケメンゴリラのファンになってしまい、毎日見惚れていたら思いついたので書いてみました笑 短編予定でしたが文字数が増えたので、大体九話くらいで完結予定です。よろしくお願いしますー(^○^))

「お待ちくださいロプト様! レックスを……守護神レックスを追放なさるというのは本当ですか!?」


 若い女の声が城内に響いてやがる。こいつの名前はセシア。肩までの金髪とスレンダーボディ、かつボインボインの女騎士だ。


「何度も同じことを言わせるでない。こいつは食うだけ食って何もせぬただの低能ゴリラだ! 今日をもって追放する」


 で、この野郎は大臣を勤めているロプトっつーおっさんだ。口髭を生やして腹はでっぷりしてる。更にこいつの後ろで玉座に座っているのが国王アリストだが、奴は考えこんだまま黙ってやがる。


 この謁見の間とやらに、場違いな奴がいるとしたら俺だけだろうな。だってゴリラだし。


 ちなみに俺は今えらく大きな檻に閉じ込められてここまで運んでこられたんだよ。普段は人が入れない庭でぼーっとしてるんだが。


「国家に代々伝わる教えを破るおつもりですか! 守護神ゴリラを宮廷に住まわせるようにという先祖様の教えを!」

「ふん! 何が先祖の教えだ。そこのゴリラが我々に何をもたらすという。ただ毎日のように大量の飯を食って寝ているだけではないか! 我らが王はくだらぬ迷信など信じぬのだ。そうでございましょう、アリスト様」


 アリストって野郎はまだ若い国王で、長い赤髪をした美丈夫って風貌をしてる。肩肘をついて興味なさそうにしてた。


「ああ。私としては、くだらない迷信に毎日大量の餌代を取られることに納得がいかなくてね。守護神なんて言ってるけどさ、こんな奴いなくなっても別にどうってことないんだよ我が国は。解ったらさっさとそいつを何処かに捨ててこい」


 こいつらの態度はあまり好きになれん。

 だが楽な生活ができたからそこまで気にはならなかったのだ。本当は檻からだって普通に出れるし、潰そうと思えば簡単だが、怠惰なゴリライフを手放すのは勿体ない。


 ゴリラの生活ってやつはいい。何にもしなくていいからだ。実を言うと、俺は以前は人間——いや、魔王だったのだ。


 遥か昔ではあるが、一度は世界をこの手に治めたこともある。誰よりも欲深いとか傲慢だとか陰で批判する奴もいたらしいが、魔王が謙虚だったら気持ち悪いだろーがと考え気にしなかった。

 とにかく俺は精力的に魔王としての活動を続け、精力的過ぎるが故に突然ポックリ逝ってしまったのだ。


 死亡の理由は、多分過労死。俺なら何日不眠でも余裕だ、なんて考えていたがどうやら無理だったらしい。しかし、気がつけばまた新しい生を受けていたってわけ。

 でも、ゴリラだけど。


 しかも俺ってやつは、前世の記憶をなぜか維持したまま転生してしまったらしいのだ。まったく、何でこうなっちまったのかねえ。


「アリスト様、どうかお考えを改めて下さいませ! 単なる迷信ではありません。守護神ゴリラは国の要、領土全体を覆う結界を強化してくれる働きもあるのです」


 そうそう。宮廷内にある霊園ってところに俺みたいなゴリラが住むことによって、領土全体に張られている結界を強化しているらしい。結界っていうのは宮廷に存在している霊園から作り出されていて、その力を活性化させる為に守護神が必要だと金髪ボインボインは以前から言ってた。


「くどいぞ。ロプトよ、もうこの女ごと追放してしまえ。私の考えに異論を挟む騎士など必要ない」

「な……?」


 ボインボインの背中が震えてやがるな。どうした? トイレにでも行きたいんか?


「承知しました。どうせこの女騎士も我々には無用の存在ですからな。セシア、今日をもってルフより追放する。そこのゴリラ共々、どこへなりとも消えるがいい!」


 うわー、大変だな。この事態に陥っても、俺はまだ客観的に考え草をむさぼり食っていた。


「そ……そんなぁ」


 なんか泣きそうな声が聞こえる。まあ、俺とボインボインが追放された経緯ってのは、大体こんな感じだったんだ。


「フハハハ! 国王様に歯向かうからこうなるのだぞ。ざまあ見たことか。さっさと消えろ、無能騎士と低能ゴリラめ!」


 ロプトとかいう奴が高らかに笑ってやがる。まったく、俺が現役なら斬首してやるところだが、国の偉い奴をやっちまったら色々大変なことになっちまうことは明白だ。

 面倒ごとは前世で充分過ぎるほど対処した。だから今世ではぜってえ関わらない。


 それにしてもロプトって野郎は臭え。遠間からでも悪臭が伝わってくるぜ。

ウホッホ! (読んでいただきありがとうございました! もし宜しければ下にある☆から評価をいただけたら嬉しいです^ ^)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ