山を解体するのは骨が折れる
俺が吸血鬼の町に着くと既に城が完成していた。
「おいおい、早すぎだろ」
「建築に関しては天才ですね」
城は見た目も格好良く、鉄で補強され耐久性がありそうな造りをしている。
「鉄とか何処で手に入れたんだ?」
「【土属性魔法】に鉄を創るものがあったのでそれを使ったんでしょう」
でも、この前ステータス見た時そんな魔法なかったけどな?他の吸血鬼に創らせたのか?
「あ、始祖様〜!頑張りましたよ〜」
クラーマが俺が帰って来た事に気付きこちらに走って来た。
「凄いな。もう完成したのか」
「大きいですね」
「はい!外装は勿論、内装も含め頑張りました。石レンガには───」
クラーマはドヤ顔をしながら話し始めた。この後1時間は内装や外装の話をしていた。俺とアクアは途中で飽きてしまい他事をしてしまった。
「ちょっと!ちゃんと聞いてくださいよ」
「ちゃんと聞いてるぞ。俺は話を聞きながら他事ぐらいできる」
「そ、そうなんですか?凄いですね」
効率良く頭に情報を入れるようにすれば3人ぐらいの話を一遍に聞く事ができる。と言うかこれが出来なければ全国1位には成れなかったと思う。
「アクア様は完璧に聞いていないので話を止めますね。あ、ダンジョン内の城も造りたいのですがどんなフィールドなんですか?」
「そういえば、まだ見に行ってなかったな。一緒に行くか」
「そうですね。ふふ、始祖様と2人っきり」
最後何言ったか分からなかったが多分ロクでもない事だろうから無視しよう。
俺とアクア、クラーマはダンジョンに入って行った。
「なんでアクア様もいらっしゃるんですか!」
「私はクラーマがマスターを襲わないか見に来ているだけです」
クラーマが一度俺の目を見た後、目線をずらした。
え?どういう事?襲うって物理的な方?それとも性的な方?どっちにしても駄目たよな。多分、襲われたらレベル差とか体格の差とかで絶対にやばいよな。アクアが来てくれて良かったな。
「後でお仕置きな」
俺は全力で睨んでそう告げる。するとクラーマは震えながら「ひぇぇぇ」と唸っていた。
俺達が話している内にダンジョンの4階層に着いた。そして周りを見渡した。
周りは木木木木木木だな。しかも結構急斜面だ。と言う事は。
「山だな」
「山••••••」
「山と森と言うフィールドですね。高低差が激しく魔物にとっては好都合なフィールドです。ですけど城を造るのは難しいですね。城が完成すればほぼ無敵ですが」
アクアが説明してくれる。
確かに整地とか色々しないといけないからな。でも、急斜面を使った防衛はできるんだよな。
「ダンジョンを交換するようなのはないのですか?」
クラーマが楽したい楽したいと言わんばかりの顔で問いかけてくる。
「よし。さっきのお仕置きとしてここに城を建てろ。俺の貞操を持て遊ぼうとした罰だ」
「嫌だぁぁぁぁ!」
そもそも、1歳児と子作りしようとしているのが間違っているんだ。どう考えてもお前が悪い。
クラーマは怠さを見せつけるように出しながら木を伐採し始めた。
こいつって結構堂々しているよな。それに自分から造るって言ったのになんで嫌がるんだ?まぁ、この量の木を伐るのは大変だろうけど。
クラーマは1人で黙々と【液体操作】で作った斧で伐っていた。
••••••手伝ってやるか。そもそも、俺の家でもあるし。大変そうだし。なんか申し訳ないから。
「【風刃】」
俺は即席で創った【風属性魔法】で木を10本程伐る。
「始祖様!手伝って頂けるんですか!?」
「あぁ。そもそも、俺達の家を造ってもらってるんだしな。アクアも手伝え」
「分かりました」
俺とアクアは魔法で木を伐り、クラーマには【風属性魔法】が使えないので木材を運ぶよう指示した。木を伐り終わった後、木の根を1つ1つ抜いていった。
1時間もすると森の一部が剥げた。
ここからはクラーマの仕事だ。もし彼女のイメージと違う設計にすると怒らせそうなので一旦地上に戻ろう。クラーマ以外の吸血鬼とも話したいし。




