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しょーとしょーとー  作者: むー
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決断

何をするにも迷ってしまう人を見たことがあるだろうか。


ボブはまさにそんな男だった。昔から、何をするにもひたすら悩んでいた。今にも生まれそうだという時も、外に出ようか出まいか迷った動きをしていたそうだし、生まれてからも産声をあげるかどうか迷っていたらしい。


子供の時もそうだった。外で遊ぶか中で本を読むか悩んだし、どんな本を読むか、何を使って遊ぶか決めるのもかなりの時間を要した。クリスマスプレゼントを決める時などは、涙なしでは語れないほどの苦悩を浮かべた。


学生の時は、入る部活にも進路にも悩み続けた。休日何をしようかと悩んで、結局夜になってしまうこともざらだった。レストランに入った時などのことは言うまでもない。


そんなボブが道を歩いていた時のことだった。例に漏れず悩んでいたため、周りが見えていなかった。後ろから来た車にはねられてしまったのだ。


身体中が痛む。病院に行かなくては。動けずにいると、救急車が来た。誰かが呼んでくれたらしい。乗るように促されるが、本当に乗っていいのだろうか。大丈夫なのだろうか、ちょっと待ってくださいとうわごとのように言い隊員たちを困惑させた。


病院に行った後、ボブの容態は悪化した。緊急治療室に送られたが、それでも時間の問題だった。近しい人たちには覚悟を決めておくよう伝えられた。

やがて、その時が訪れた。ボブの心臓が動きを止めたのだ。皆は悲しんだ。もっと話をしたかった。いい奴だったなぁ。



数分ののち、医者がボブに近づいた。しかしそこで、驚きの声をあげた。心臓が再び動いているのだ。奇跡だ。まだ死んじゃいなかったんだ。そう皆は喜んだ。


喜んだのもつかの間、再びボブの心臓は鼓動を止めた。皆は悲しんだが、これも仕方がない。どうか安らかに眠ってくれ。そう部屋を去ろうとした。

だがその時、再び心臓が動き出した。

そんなことが繰り返されるうち、同僚のうちの1人が声をあげた。


「こいつ、死ぬかどうかを悩んでいるんじゃないか。」



やがてボブは別室に移された。病院としても、他にも大変な患者がいるのにひたすら注意を向けていられないのだ。


いつになってもボブはベッドに横たわっている。いつになれば普通の生活に戻るのだろう。それはボブの心が決まった時に違いない。だが残念ながら、まだまだ結論は出そうにない。







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