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しょーとしょーとー  作者: むー
4/62

性格

ある男が、盗みを企んだ。

ただ、1人では失敗するかもしれない。生真面目な友人に、小説のネタを装ってアドバイスを求めた。


「今、推理小説を書いてるんだが、完全犯罪というのがどうも思いつかない。なにかいいアイデアはないかな。」

「うーん、そうだなぁ。まず、どこを舞台にするんだい。」

思っていた以上に熱心に考えてくれた。もっとも、やはり性格か必要以上に根掘り葉掘り聞かれたが。


また何か浮かんだら電話する、そういってその日は別れた。


3日後、友人から電話が来た。いつ、どこで、どんな方法を使って、どんな物を盗むか、リアリティかつ事細かに説明してくれた。

思わず関心してしまうようなそのアイデアで、そのおかげで男は安心して盗みを行うことができた。


2週間後、男は金を持って友人宅を訪れた。あれだけ安心してできたのもこいつのおかげだ。何もなしでは目覚めが悪い。適当な理由をつけて渡そう。


「この間は助かった。これ、お礼に受け取ってくれ。」

「ああ、実はそのことなんだが…」


なにかあるのだろうか。話を聞いてみると、どうやら他の知り合いにも知恵を借りたらしい。


「なんだ。それならその人にも渡してくれよ。」

「ああ、よかった。じゃあ今から呼ぶから、ちょっと待っててくれ。」


待っていると、玄関が開く音がした。

(おっ、来たな。まぁ、1人増えるぐらいは仕方ないか。)


そう思っていたが、なんだか足音が多い。気づけば1人どころか部屋が埋まるほどの人数が来た。

どういうことか、混乱している頭で友人に尋ねると、


「ああ、実はあのアイデアなんだけど、自分だけじゃ浮かばなかったんだ。だから、他の知り合いにも知恵を借りてさ。時間についてはこいつで、場所についてはこいつ。トリックとかはこいつに聞いて、何を使うかは…」


なるほど、そういうことか。

聞いてくれたはいいが、何から何までキッチリ聞いて回ったということか。それにしたって、逃げる時の歩幅まで聞くことはないだろうに。


「そんなわけだから、こいつらにも分けてあげてよ。」



仕方がない。男はきっちりと全員に渡すと、盗んだお金がすっかりなくなってしまった。

落ち込みながら男は思った。

「こんなことなら、もっと大雑把な奴に聞くんだった…。」



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