8話 お茶と侍女
一瞬何を言われたのかわからなかった
しかし、ルーの行動を思い出すとあることに気がついた
ルーは私にお茶をのませないようにしていたのか
「ルー…」
「入っているのはエレンのものだけだろう
大方、俺たちの婚約に納得していないものが雇ったのだろう」
ルーは私にだけ聞こえる声で話すとおでこをコツンとぶつけて来た
こんな時でなければときめくのに…
「入れたのはあの侍女だろう
さて…どうしたものか…
拘束をするか…泳がせるか…」
冷静に殿下が考えているが、私は違うことを考えていた
「大丈夫ですわ」
私はそういうとお茶を一気に飲み干した
「なっ!?
エレン、大丈夫か!?」
ルーが焦る
もう声については気にしないことにしたらしい
まぁ、普通は焦るよなぁ
侍女も呆然とこちらを見ていた
「大丈夫ですわ
クレア、わざと見せたのはどうしてですの?」
侍女…クレアは黙ったままだ
「もう一度聞きます
わざと私とルーに入れるところを見せたのはなぜですの?」
私がもう一度クレアに質問すると彼女は手のひらを握りしめ唇を噛んだ
「話すつもりはないようだな
お茶を飲んだエレンがなんともないということは入れられたのは毒ではないということか…
なら何故俺たちに見せた?」
ルーが厳しく追及する
「お待ちになってくださいませ
憶測にはなりますが私が話しますわ」
「たのむ」
私はルーにうなづき話し始めた
何故、彼女がこのようなことをしたのか
「クレア…あなたを刺客として放ったのはケゾルストン侯爵家でしょう
なぜ雇われたか、それは後で調べますわ
ケゾルストン侯爵に命令され、カーゾン男爵家の娘としてアルバーン公爵家に潜入した
あの家は娘を第一王子に息子と私を結婚させたがっていたから、最初は好みのタイプを聞くなり弱みを握らせようとした
だけど私とルーがお互いを好きになり、婚約してしまった
私たちはほとんど会ったこともないにもかかわらず…よ
ケゾルストン侯爵は怪しんだ
本当は政略結婚なのでは…と
だから私たちの本音を確認させ、もし本当なら私を消すように命令した
息子を公爵家に婿入りさせるより、娘を第一王子の妃にし、子供を産ませ、その子供を王位につけたほうがいいもの
そうよね?」
クレアが俯く
それでは肯定しているようなものよ
「そうか…エレンがお茶を飲んだ後に倒れたらすぐに侍女である彼女が疑われるだろう
背後関係に気づかれる前に彼女を殺す
そこまでが侯爵の計画なのだろう
それで私たちに気づかせることで助けを求めたということか…」
「ええ、どういう経緯で公爵家に潜入することになったのかはわかりませんが…彼女は私付きの侍女としてアルバーン公爵家で保護いたします
そうすることにより、ケゾルストン侯爵家に対する切り札になりますもの
よろしいですわね?」
そういって私がルーを見ると肩をすくめながら肯定した
クレアは顔を上げ驚いた顔で私達を見ていた
私はその顔を見て思わず吹き出した
投稿が遅くなってすみません
これからも不定期にはなりますが頑張って活動しますので応援お願いします