10話 第二王子
あれからエルサは正式にわたしの侍女になった
エルサは侍女として完璧で、わたしはそのことについてエルサに聞いてみたところ、なんとなくできるそうだ
エルサはすごいなー
わたしも見習わなきゃ!
今日はルーに会うために王宮に行くことになっている。
そのためエルサにドレスと見立ててもらい、髪も結ってもらった
髪かざりはルーの瞳の色と同じエメラルドを使ったものだ
「お嬢様、そろそろ王宮に行く時間です」
エルサにそう言われ、了承の意を伝え立ち上がろうとしたところ、部屋の外が騒がしいことに気がついた
「さわがしいですね、少しみて参りましょうか?
「いいわ、もうでなければならない時間だし、何かあってもエルサなら大丈夫だと信頼してるもの」
エルサは照れたように笑う
私を暗殺しようと公爵家に送られてくる刺客は後を絶たないが全てエルサが防いでいる
どんなに屈強な男も倒す華奢なエルサ…
それを見ると体格って強さに関係ないんだなと思う
そんなことを思いながら部屋を出たが何かが前から飛び出して来た
「え?」
驚き、固まる私をよそにそれを掴むエルサ…
エルサのお陰で私にぶつかることはなかったが、掴まれている物体は叫びながら暴れている
「離せ!僕が誰かわかっているのか!?」
その物体は金髪碧眼の5歳くらいの男の子だった
なんか…どこかでみたことがあるような…
っていうより嫌な予感しかしない…
金髪なんて王族に近しい者しかいないはずだし…
そんなことを考えていると男の子は私を見つめ、問いかけた
「お前がエレオノーラだな?」
いや、カッコつけてるけど…君エルサに捕まったままだからね!?
内心ツッコミながらもそんなことは表情に出さない
私はその問いに答えるため口を開こうとすると…
「ウィリアム!」
多分男の子の名前と思わしきものを呼びながらルーが姿を現した
え!?
なんでルーがここに!?
それに今ウィリアムって呼ばなかった?
ここにいるのはルーとエルサ、私と5歳くらいの男の子…
ってことはこの男の子は第二王子のウィリアム殿下!?
「兄様!」
私がエルサに目でウィリアム殿下をはなすように命じるとエルサはすぐに離した
解放されてすぐにウィリアム殿下はルーの元に走っていった
「聞いてください!兄様!
この女達がいじめるのです!」
ウィリアムが私を指差しながらルーに言う
なんかウィリアム殿下ってルーと顔は似てるのに性格が似てないなー
私はそんなことを思いながらのんびり2人を見ていた
ってちょっと待て!?
誰が誰をいじめたって!?
とりあえず、よく分からなくなって来たのでとりあえずウィリアム殿下のことは後回しにしよう
「ごきげんよう、ルー
今日は王宮でお会いする予定ではなかったかしら?」
「やぁエレン、ほんとは王宮であう予定だったんだけど…予想外のことがあって…」
予想外のこと?
もしかしてウィリアム殿下のことかな?
私の予想は当たったようでルーはウィリアム殿下を見た
「ウィル、先触れも出さずに公爵家に行くなんて何を考えているんだ
いくら私たちが王族でも守らなければならないルールがあるんだよ?」
そしてウィリアム殿下に言い聞かせるように目線を合わせたしなめた
「兄様!
僕はこの女達にいじめられたといっているのに、なんで信じてくれないのですか!?」
えー!?
だからなんでいじめられたことになるの!?
よく分からないけれどここでいつまでも立ち話をしていることはできない
「ルー…とりあえず、ここで話しているわけにはいきません
部屋の中にお入り下さいませ」
「そうだね、ウィリアムもおいで」
私は2人とともに中に入った
2人に椅子を勧め、エルサにお茶を出してもらう
そこで話を聞くと、どうやらルーと遊ぶために部屋を訪れたウィリアム殿下だったが、ルーが私と会う約束があり遊ぶことはできないと断ったため、飛び出していってしまったようだ
ルーはそんなウィリアム殿下を追ってここに来たそうだ
「そうでしたの…
初めまして、ウィリアム殿下
私はアルバーン公爵が長子エレオノーラアルバーンと申します」
状況は理解したもののどうしたらいいのか分からない
とりあえずウィリアム殿下に自己紹介をして見たものの無視されてるし…
「ウィリアム、エレンに自己紹介をして?」
そうやってルーが諭すがウィリアム殿下は私を睨みつけた
「兄様をたぶらかした悪女に名乗る名前はありません!」
…………は?
たぶらかした?
誰が誰を?
兄様→ルー
その婚約者→私
何その勘違い!?
って言うか第二王子ってブラコン!?