一話 どうやら生まれ変わったようです
その日は普通の日だった。
いつもの時間に起き、いつもの時間に学校に行き、いつものように学校で授業を受けた。
「おねぇちゃん!服屋さん見に行こうよ!」
「いいよ!そのあと本屋さんによってもいい?」
「うん!今日は新刊の発売日だよね!」
「そうなの!この日をどれだけ待ちわびたことか!」
放課後、そんな会話をしながら佐藤雪は、いつものように妹の桜と買い物に向かっていた。
「気になるところで終わってたからね!ルーさま「キャァァァアア」え?何!?」
しかし、その日常は悲鳴により崩れ去る。
前方にいた男が、手に持っていた包丁で人を次々に刺し、あたりは血の海となっていた。
「包丁もってるぞ!逃げろ!」
「救急車!警察!」
急に始まった惨劇に人々はパニックになって逃げ惑う。
「桜!私たちも逃げよう!」
「う、うん!「邪魔よ!」ドン
「え?きゃぁ!」
雪達も同様に逃げようとしたが、前方にいたハニーブロンドの少女に桜が突き飛ばされてしまった。
転んだ桜に男が近づき、刃物を振り上げさそうとする。
「桜!危ない!」
雪はとっさに桜と男の間に入った。
「おねぇちゃん!いやぁぁぁあ!」
胸に熱と痛みが走る。
桜の悲鳴を聞きながら雪は意識を手放した。
……………………
「桜!」
ガハッ
勢いよく起き上がるとそこはベッドの上だった。
今までのは夢だったのかしら?
それにしてもリアルな夢だったわ。
そんなことを考えていると銀髪碧眼の美女が部屋に入って来た。
「起きたのね、エレオノーラ!」
美女はそういうとわたしに抱きついた。
エレオノーラ?
まって、わたしは誰?
エレオノーラってどこかで聞いたことがあるし、この人どこかで見たことがあるけど…
そんなことを思いながら美女を見つめていると、美女は心配そうにわたしを見ていた。
「まだ体調はよろしくないかしら?あなたは王宮で倒れたのよ。」
え?王宮でたおれた?
わたしは意味がわからず、辺りを見回した。
ベッドの脇に鏡が置いてあったので見ると、中には美少女がいた。
年は6歳くらいだろうか、銀髪黒目の幼い少女がこちらを見返していた。
銀髪って…っていうかわたし18歳のはずなのに!?
こんな美少女じゃなかったはずよ!
まって…意味がわからない。
今近くにいる人とわたしの顔は似てるし、この人は親とかなんだろう。
で、この人はわたしをエレオノーラと呼んだ。
なら私の名前はエレオノーラのはずだわ。
この顔もこの人も見たことがあるし…エレオノーラって名前も私は知っている。
ん?エレオノーラ?
ああぁぁあ!
エレオノーラ・アルバーンじゃない!
私がはまっていた乙女ゲーム「月に照らされし聖女は愛を望む」の悪役令嬢だわ!
私は死んで生まれ変わったの!?