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3人の休みが合ったので例のレジャーランド施設に来た
「うへぇ~人多いなぁ~平日だから空いてると思ったのが甘かったか」
混雑している、というほどでもないが、人を避けて歩かないと歩けないレベルの人だ
「うぅ~わたし人混みって苦手だなぁ~何か息苦しくなってきた」
あかりちゃんが背負っている黒いリュックからペットボトルのお茶を出し、グビグビ飲み始めた、今日は暑いせいか凄い勢いで飲んでいる。
そういえば今日のあかりちゃんの髪型はポニーテールだ、いつものツインテも可愛いけど、これも可愛い。
服装は言ってた通りの猫顔Tシャツと、白色のスカートをはいている、暑いせいかニーソじゃなくて今日は素足だな・・・いかんいかん、足にみとれてしまった。
「ねぇ、二人はどこにいきたいの?私こーいうのよくわかんないから、二人の行くところについてくよ」
やすなちゃんがアトラクションの場所が書かれた地図を見せて来た、どれもこれもアニメ関係ばかり、アニメをあまり知らないやすなちゃんはどうしてこの場所を選んだのだろうか?
俺達に気を使ってくれたか?そうだとなんだか申し訳ないな、やすなちゃんも楽しめるような施設があればいいんだけど。
それにしても、今日のやすなちゃんの服装がぱっとみ小学生に見えるような服を着ていた。
青いワンピースで、胸と二の腕のあたりに青いリボンがついている、靴下にはレースがついていて、黒い靴から繋がった黒いリボンで足首にまきつけて固定している。
肩からピンクのカバンをかけ、さらに黒髪ロングストレートの上にかぶった麦わら帽子が夏休み中の小学生感をかなり醸し出している。
いつまでもファッションチェックなどしている場合じゃなかった、地図を見た。
みんなで楽しめるような場所・・・遊園地とくればやっぱり。
「激走!あの熱い名シーンを体感!超スピードのジェットコースター!・・・これ行こう」
3人でそのアトラクションの場所に行ってみたのだが、人がほどほどに並んでいたせいで結構待たされた。
俺とあかりちゃんが並んで座り、やすなちゃんは麦わら帽子を係員に預け、知らないおにーさんと並んで座った。
「おじょうちゃん一人?今日は友達と来たのかな?もし一人だったら、今から俺と・・・」
おにーさんがやすなちゃんに話しかけ始めた。
「あの、喋ってると舌噛みますよ」
やすなちゃんが無愛想な態度を取った所でコースターが進み始めた。
最初はゆっくり、やがて物凄いスピードで加速しはじめた、汗をかいていたせいか風が気持ちいい。
「うやぁー!うややや!」
あかりちゃんが変な声を出している、でも楽しそうだ。
たしかにあの熱い名シーンを再現ということで、これの元となったアニメでは絶壁の岩肌を車で走るという、いろんな法則を無視した感じで走っていたが、この乗り物は横向きになったり回転したりでそれを再現しているんだろう。
それにしても回りすぎだろ、目が回って軽く酔ってきた。
降りた頃には乗客の大半がフラフラになっていた。
「風がすっごく気持ちよかったね!グルグル回って面白かった!」
あかりちゃんは全然平気そうだ。
「ふわわわ~目がまわるぅ~ふたりともどこぉ~?」
やすなちゃんが足元をふらつかせ、黒目が小刻みに動いて、まさに目を回している状態だ。
俺達を探しているのか、両腕を伸ばしてきたので俺が手を取った。
「やすなちゃん大丈夫?ハイ帽子、かぶれる?」
「あぁ~あかりちゃ~ん?ちょっとごめ~ん、つかませて~」
やすなちゃんが俺にしがみついてきた、ドキっとした。
俺をあかりちゃんと勘違いしたんだな。
「やすなちゃん!オレオレ!とりあえず座れる場所まで行こうか」
「あぁ~ごめぇ~ん、でも歩けないよぉ~あかりちゃんどこ~?つれてって~」
「うん!しっかりつかまっててね」
あかりちゃんがやすなちゃんを抱き抱えるようにしながらベンチのある場所でまでいき、そこにやすなちゃんを座らせた。
「う~ん、しばらく動けそうにないよ~私はここで休んでるから、ふたりで遊んでてよ」
「えぇ~でもぉ」
あかりちゃんがやすなちゃんの汗をハンカチで拭いて介抱している。
「だいじょぶだいじょぶ!ほら行って行って!二人に構われたら余計暑苦しいから!」
「あかりちゃん、せっかくこう言ってくれてる事だし、二人で行こうか」
「う~ん、ちょっとまってて!」
あかりちゃんが小走りで近くにあったお店に行った、そこでドリンクをひとつ買って小走りで戻ってきた
「コレ飲んで、暑いからちゃんと水分取ってね?余計気分が悪くなったりしたら、すぐに連絡してね」
「はぁ~い、あかりちゃんは優しいねぇ~それじゃいってらっしゃ~い」
手を振りながら、やすなちゃんはドリンクをゴクゴク飲み始めた。
そんなやすなちゃんを置いて、俺たちは二人で遊ぶ事にした。
暑い、ということで。
「洋館からの大脱出!襲いかかる吸血鬼を倒しながら出口を目指せ!、ってことでお化け屋敷って感じかな?」
係員のおねーさんから柔らかい素材で出来た棒状の物をひとつづつ渡された。
「吸血鬼たちは頭が弱点です!頭を破壊しない限り襲ってきますので、遠慮なくそれで頭を破壊してくださいね!」
言葉が怖いよおねーさん。
アトラクションの内部に入った、冷房が効いているのか、かなりヒンヤリしている。
そして暗い、ところどころに赤い照明があるけど、とても全体を照らすほどの明るさがない。
洋館、というだけあって、セットが絵画とか、西洋甲冑とか、高級そうなイスとか、結構しっかりしていてそれっぽい感じでかなり不気味だ。
「装備が棒しかないとかピンチだね!噛まれちゃったら吸血鬼になっちゃうから気を付けないとね!」
「それはゾンビじゃなかったっけ」
「あれ?吸血鬼は噛まれても平気なんだっけ?」
「平気ではないけど、シワシワに・・・」
そう言いかけた途端。
「おぉ!若くて美しい乙女の匂いがするぞ!俺に血を吸わせろー!」
吸血鬼が登場してあかりちゃんに襲い・・・いや、ただあかりちゃんの前でワーワー言ってるだけだ。
よくみると頭の上に紙風船のようなものがついている、結構しょぼいな・・・セットに力を入れすぎた弊害だろうか?これを破壊しろって事か。
「うわぁすごい!ねぇアキラくん!あんまりちゃんと見えないけど衣装も特殊メイクもバッチリだよ!」
あかりちゃんはまったく怖がっていない、こーいうの平気な子なんだな。
「うぬぬ~!血を吸わせろー!」
吸血鬼があかりちゃんの二の腕をつか・・・まない、掴むか掴まないかのところでバタバタしている。
もしかしたらもしかするような事案が発生するかもしれないしな、気を使って襲いかかってるんだな。
「ねぇあかりちゃん、そろそろ倒して奥行こうよ」
「そうだね!えいっ!」
スパンッ!と音がして風船が割れた。
「ぐおおお!俺を倒したからといって安心するなよぉ!奥にはさらなる恐怖が待ち構えているから、足元にきをつけていけよぉぉぉ!」
そういって吸血鬼が倒れた。
なんだよそのセリフ、少し笑ってしまった。
奥へと行くと拷問部屋らしき所に出た、この部屋は明るいな、四角い部屋の周囲を囲むようにして、拷問器具として有名なアイアンメイデンがたくさん口を開けて置かれている。
足元には血肉っぽい赤い何かがいっぱい落ちている。
「うわ、うわわ!すべる!すべるよ!」
あかりちゃんが滑ってヨロヨロしている、たしかに足元にお気を付けくださいだわ。
転んだりしたら大変だな、血肉まみれになってしまう。
「あかりちゃん、俺の手につかま・・・」
どこからか何かの機械が作動したような轟音が聞こえてきた!
すると、突然床が傾き始めた。
「きゃぁ!なになになに!」
転びそうになったあかりちゃんに手を伸ばした。
床が立っていられない程傾き、あかりちゃんが俺に体当たりをするような感じでぶつかってきた。
その拍子に俺が滑ってしまい、あかりちゃんを抱きしめた感じの状態で、二人もろともアイアンメイデンの中に入ってしまった。
「ごめん!だいじょうぶ!?」
あかりちゃんが俺にしがみついたまま、心配そうな表情を見せてくれた。
「うん、へーきだけど、うわああああ」
アイアンメイデンの蓋が閉まり始めた、針ついてるよ!危ないよこれ!恐怖で思わず叫んでしまった!
蓋についてる針から守ろうと、あかりちゃんをメイデン内部の壁におしつけた。
「むみゃっ」
あかりちゃんが可愛く呻いたと同時に蓋が完全に閉まって、俺たちは拷問器具に閉じ込められた。
あれ?背中全然痛くないぞ?あたりまえか、針が本物だったらケガどころじゃすまないもんな。
「アキラくん大丈夫?針刺さってるけど・・・ん?あぁ、ゴム?かな」
「そうみたいだね」
蓋に背を向けながら手で押してみた、開きそうにないな、開くまでこうしてろって事なんだな。
それにしても、あかりちゃんとは今までこーいう展開が何度かあったけど、今回のは今までにないほどの密着度だ。
だって俺の体前面があかりちゃんの体に完全にくっついてるような感覚もある、なんか柔らかいし!
完全にまっくらで今どーいう体勢になってるのかも全然わからん!
とりあえず変な所を触ったりしないようにするために両手を壁につけた。
あかりちゃんの息遣いが聞こえる、少し苦しそう。
俺が押し付けてるような状態だもんな。
「だいじょうぶ?」
「うん、アキラくんこそ大丈夫?」
「いや俺は全然平気だけど・・・」
「ふひゃー!」
突然あかりちゃんが軽い悲鳴をあげた。
「なになになに?何があった!?」
「な、なんか首、首を何かが這ったような・・・」
「えぇ!?何?なんかいんのこれ?虫とかじゃないの?」
「えぇ!虫!?ゴキブリ!?いやぁ!やぁぁぁぁっ!」
あかりちゃんが大声をあげて喚き始めた、虫苦手なんだ、まぁ俺もゴキブリ見たらとりあえず慌てる。
「アキラくん取って!取ってよ!やああああああ!」
「取ってって言われたってまっくらで何も見えないし!ちょっ!あかりちゃん!狭いんだから暴れないで!」
「いやぁぁぁぁ!こわいこわいこわい!きゃぁぁぁぁぁ!」
わかる、まっくらでもわかる、あかりちゃんが俺に完全に抱きついている、俺の背中に両腕を回して物凄い力でしがみついている。
だが、ドキドキなどしている場合ではない、あかりちゃんを落ち着かせなければ。
「あかりちゃん!大丈夫だよ!あかりちゃんは魔法が使えるでしょ!ゴキブリなんて花に変えちゃえばいいんだよ!」
「うううう!花!花になって!お願い!なって!なってよ!」
「あかりちゃん!花になったんじゃない?ゴキブリは花になったよ?」
「わかんない!見えない!花になったかどうかわかんない!こわいいぃぃ!」
だめだ、あかりちゃんが泣きそうになってきた。
魔法、見えなくてもわかるような魔法・・・そうだ!
「にゃにゃ!驚いたかにゃ?オイラをこんなところに閉じ込めるからそーいう目に合わせてやったにゃ」
「え・・・なに?ねこ?」
「そうにゃ!オイラケットシーだにゃ!オイラが悪さばっかりするからってあかりちゃんがTシャツに閉じ込めたのを忘れたのかにゃ?」
「え?あ、そう!そうだった!私が閉じ込めたんだった!今のはケットシーがやったの?今のは何?」
「え~と・・・ヒゲにゃ!ヒゲを伸ばしただけにゃ!ゴキブリなんていないにゃ!もし何かがまた這ってもそれはオイラのヒゲにゃ!」
「もぉ!もぉもぉもぉ!ひどいよ!」
あかりちゃんの為とは言え、猫マネが恥ずかしくなってきた。
「あかりちゃん!どうやら悪い猫の仕業だったみたいだよ!あとでおしお・・・」
ガタンッと音がして光が差し、アイアンメイデンの蓋が開いた。
わかってはいたが、あらためてあかりちゃんが抱きついてるいる姿を目視で確認した。
顔が急激に熱くなってきた。
あかりちゃんが俺の背中に回していた腕を離したので、俺は慌てて離れた。
「いやぁ~驚いたね!まさか閉じ込められるとは思わなかったよ!」
「むぅ!悪い猫はヒゲを抜いてやる!えいえい!」
あかりちゃんが自分が着ているシャツの猫の顔を引っ張っている。
「あかりちゃん、もうそれぐらいにしといてあげようよ、ケットシーも反省してるっていってるにゃ」
間違えた。
「オイラ反省してるにゃ!だからそんなに引っ張らないで欲しいにゃ!のびちゃうにゃ!」
「うふふ、へへ、えへへっ・・・ふふふふっ」
これはっ!完全に笑われている!
「笑わないでほしいにゃ!んぐっ!笑わないでよ~」
「違うよ、ふふっ、ふふふっ」
「笑ってるじゃん!行こう!とにかく先進もうよ!」
「ふふふ、うん!」
その後、また吸血鬼が襲ってきたり、天井が落ちて迫ってきたり、軽い謎解きなんかもありながら無事、脱出することが出来た。
「うわっあっつ!」
ヒンヤリしてた空気から一変、外の熱気が俺を包み込んだ。
「やすなちゃん大丈夫かな?一旦戻ろうよ」
あかりちゃんにそう言われたのでやすなちゃんのいる場所に戻った。
「だから迷子じゃないってば!友達の事待ってるだけって何回言えばわかんの!」
「おじょうちゃん、わがまま言わないの、おとうさんか、おかーさんの名前教えてくれないかな?」
どうやらやすなちゃんが迷子と間違われているみたいだ。
「ほらあそこ!あそこにいる二人が友達だから!」
やすなちゃんが俺たちを指差し、俺がその迷子係っぽい人に友達だと説明した。
幼い子を一人にしたらだめだと軽く注意された。
「ねぇ、やすなちゃんていくつなの?」
「さぁ?小学生じゃない事は間違いないけどね」
どうやら教える気はなさそうだ、そういえばあかりちゃんの年齢も永遠の17歳と聞いたっきりだな。
聞いてもまたごまかされそうだな。
ん?なんだ?何か聞こえる、なんだろうこの音。
「ねぇ、この音なんだろう?」
なにか、空気の抜けるような音が耳の内部からする。
「アキラくん!」
え?あかりちゃんどうしたの、そんな慌てた顔して。
あれ?俺なんでひざまづいてるんだ?立たなきゃ。
立てない。
手足が痺れている。
目まいがしてきた。
視界が霞んでよく見えない。
まずいな、これは、たぶん、熱中症だ。
「アキラくん!しっかりして!どうしたの!立てないの!?」
「だいじょうぶ、だよ、おれ、特殊能力で不死身だから、これぐらい・・・へいき」
「あんたこんな時に何言ってるの?ふざけてる場合じゃないでしょ!涼しいとこいこ!あかりちゃん!そっち持って!」
「うん!」
二人に腋を抱えられた、そんなおおげさな・・・
「あかり・・・ちゃん・・・俺、これで、また、つよく、なるよ・・・」
「暑さで頭おかしくなっちゃったの?しっかりしなさいよもぉ~」
意識が遠のいて、何も見えなくなった。
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ここどこだ?あたり一面お花畑だ。
あれ?ひょっとして天国?俺死んじゃったのか?いや俺不死身だから死なないし。
しまったなぁ、生きたまま天国にきちゃったか。
早く帰らなきゃ、帰るってどこに?決まってるさ、異世界だよ、俺は異世界に召喚された勇者だからね。
現実世界になんて帰らない・・・ん?でも、現実世界に帰らないと、あかりちゃんに会えない。
あれ?いやでも、あかりちゃんがいるのは異世界で、あかりちゃんは魔法少女で。
あれ?どーいうことだ?
あ、そこにいるのは俺を召喚した張本人のアテナちゃんじゃないですか。
ヒロインの癖に全然出てこない、不人気ヒロインかな?
そりゃそうだよな、だって俺の考えたヒロインだもんな、人気出るわけないよな。
え?そっちいけばいいの?アテナちゃんがそーいうならそっちでいいんだろうな。
そっちに行けばいいんだね?そっちにいけばあかりちゃんに会えるんだよね?
え?いない?そっちにはあかりちゃんがいないの?
じゃあだめじゃん。
うん、ごめんねアテナちゃん。
ヒロインよりサブヒロインの方が人気なんてよくある事じゃん。
俺は君より、あかりちゃんの事が・・・。
「あかりちゃん」
「起きた?お水飲む?」
口にストローが咥えさせられた、吸うと水だった。
あぁそうか、俺熱中症で倒れたんだ。
ベットか?俺はベットに寝かされているような気がする。
「ここはどこ?」
「え~っとえ~っと、回復の泉だよ!」
「えぇ?泉?・・・ん~うん、回復の泉か」
あかりちゃんがそーいうならそうなんだろう。
「うん、体力が回復するまでゆっくり休んでてね」
「ねぇあかりちゃん、さっき現実と異世界の狭間に行ってきたんだ」
「えっすごい!どんな場所だったの?」
「花がいっぱい咲いてて・・・そこにヒロインのアテナちゃんがいたんだ」
「え、えぇ!?アテナちゃんに会えたの?可愛かった?ふふ」
あかりちゃんが俺の頭を撫でて笑った。
「いや、あんまり可愛くなかった・・・作画が崩壊してたよ」
「そうなんだ~私も行ってみたいなハザマってところに!アテナちゃんに私も会いたい!」
「だめだよ、あかりちゃんは不死身じゃないから、あそこへ行ったら帰って来れない」
「えぇそうなの?うーんじゃあしょうがない」
「アテナちゃんがさ、俺をあっちの世界に連れて行こうとしたんだ」
「あっちって?」
「異世界だよ」
「ん?ここも異世界だよ?」
「違う、違わないけど、違うんだ、アテナちゃんが連れて行こうとした異世界には・・・あかりちゃんがいないんだよ」
「んん?よくわからないよ」
違う、俺はこんな事が言いたいんじゃない。
「ねぇあかりちゃん、俺はあかりちゃんがいない異世界には興味がない、あかりちゃんがいる異世界じゃないとダメなんだ」
「よくわからないけど、私はここにいるよ?」
もっと簡単な言葉があるだろう?それを言おう。
「あかりちゃん、俺は君が好きだ」
「・・・」
あかりちゃんは表情を全く変えずにただ無言で俺を見ている。
あれ?俺今言ったよな?言った気になっただけだった?もう一回言おう。
「あかりちゃん、俺は君が好きだ」
「え、えぇと・・・それはあの、わたしいま、こくはくされてる?」
あかりちゃんが少し動揺しはじめた、言った、今度はちゃんと言えたようだ。
「そうだよ、告白してるんだけど」
あかりちゃんの顔が真っ赤になってきた、可愛いな。
「でっでもっ!今までそんな素振り全然見せて来なかったし!何で急に!」
たしかにそんな態度を今まで取って来なかった、俺自身、好きだと気付いていなかったからだ。
「好きだとさっき気づいた、だから、今告白した」
「急に言われても困るよ!」
「困るの?」
「困るよ!だって私、私は・・・アキラくんの事、そんなふうに見てないんだもん!」
は?え?今なんていった?
「困るよ、困る・・・せっかく好きになってもらったのに!私はアキラくんの気持ちに応えてあげられない!」
マジか、少しは自信あったんだけどな。
俺、振られたのか?
これは、そーいう意味だよな?
「どうしよう!どうしよう・・・ね、ねぇ!私がアキラくんを好きじゃなかったら、もう友達でいてくれないの?」
「い、いや・・・それは大丈夫だけど」
「ほんとに?これからも私の事、魔法少女だと思ってくれる?」
「それは、うん、思ってるよ、あかりちゃんは魔法少女でしょ?」
「は、はぁ、良かった・・・アキラくんがそう思ってれなきゃ、私の存在がなくなっちゃうからね」
ニコニコと嬉しそうに笑うその笑顔を見ていると辛くなってきた。
あかりちゃんにとって俺は、俺は、あかりちゃんが魔法少女でいられるという為だけの存在なんだな。
やすなちゃんに言われて期待しすぎたんだ、そんなわけないよな。
俺がいないと困ると言っていたのはこーいう事だったんだ。
気持ちを切り替えよう、例えあかりちゃんが俺を好きじゃなかったとしても、一緒にいて楽しい事にはかわりないんだ。
でもショックだ!あたりまえだろそんなの!
「ごめんねアキラくん」
「いやいいよ、大丈夫だよ、俺はそれでもあかりちゃんが好きだよ」
「わぁっ、照れるよ!・・・でも嬉しい、ふふふ」
頬を赤く染めて照れ笑いを浮かべるその表情を見ていると、やっぱり思う。
すごくかわいいって。