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バイトが終わりメイド喫茶に向かう事にした、ドアを開け店内に入った。


「おかえりなさいませ、ごしゅ、あっ、ごしゅじんさまぁ~」


あ、この前のロリメイドさんだ たしかやすなちゃんだっけ?名札には「さぁや」って書いてるけど、今日は金髪じゃなくて黒髪前髪パッツンロングストレートなんだな、これはこれで普通に可愛いな。

こちらへどうぞ~と案内されテーブル席に座った、満員とはいかないが店内にはそれなりの数のお客がいた。

メイドさんが数人いるけどおかしいな、あかりちゃんがいないぞ?今日入ってるのは確認したから間違いないんだけどなぁ。


「失礼します、ごしゅじんさま、お飲みの物はどうなさいますか?」


やすな・・・いや、さぁやちゃんが急に来たので慌ててメニューを確認した。


「あかりちゃんなら今休憩中だよ」


さぁあちゃんが小声で話しかけて来た、タイミングが悪かったな。


「そっかぁ・・・じゃあメロンクリームソーダで」


「はぁい、少々お待ちくださいね」


奥へと消えたさぁやちゃんがすぐに飲み物を持って戻って対面の席に座った。


「どうぞ、私じゃなくてあかりちゃんのほうがいーい?呼んでこようか?」


「いいよいいよ、休憩しててほしいし」


「じゃあ、なに食べるぅ?そうそうこの手作りクッキーってやつ、あかりちゃんが作ったやつなんだよ?もしかしてもう食べた事ある?」


あかりちゃんクッキーなんて作れる子だったのか。


「いや、ない、ないからそれお願いします」


「それだけじゃ足りないよねぇ?男の子だからいっぱい食べるよねぇ?」


そう催促されて再度メニューを見た、カレーやらホットケーキやらオムライスやらお子様ランチまであるな。


「そのホットケーキの猫の絵、あかりちゃんが書いたんだよ、可愛いよねぇ?食べたいよねぇ?」


「じゃあホットケーキもお願い」


「お子様ランチを頼むと、頭なでなでがついてくるんだけど、どうする?」


「お願いします」


「オムライスを頼むと、美味しくなる魔法をかけてあげるけど、どうする?」


「お願いします」


「からあげを頼むと、特に何もついてこないけど、どうする?」


「お願いします」


ん?勢いで言ってしまったが、まぁいいか。


さぁやちゃん頼ませるのが上手いな。


「以上でいいのかなぁ?アイスもあかりちゃんが作ったやつなんだけど、食べるよね?」


「食べます」


「はぁ~い、クッキーとアイスは食後でいいよね?じゃあ少々お待ちくださいね」


さぁやちゃんが奥へと消えた、こんなに食えるかな?


そしてすぐに戻ってきた。


「それじゃあ私とお話する?それともゲームして遊ぶ?」


「うーん、話の方で」


「んふふ、いいのかなぁ?ほかの女の子と話なんかしちゃって、あかりちゃんが見たら嫉妬しちゃうんじゃない?」


「あかりちゃんとはそーいう関係じゃないからそんな事思わないよ」


たぶん。


「そうかなぁ?・・・ところでアキラ、くん、はアニメとか見る人なのかなぁ?」


俺の名前知ってるんだな、あかりちゃんから聞いたんだろうな。


「うん、結構見る方だよ」


「そうなんだぁ~私アニメとか全然興味ないの!でもアキラ君がオススメしてくれるアニメなら見てみようかな~って・・・なにかいいのある?」


そうきたか、いつもこんな事言ってそうだけども。


「そうだなぁ~」


俺はアニメに興味ない人でも見れそうな人気アニメを教えた。


「それって何話ぐらいあるの?」


「24話だね」


「ん~長いのはちょっとぉ~だって~アキラくんが次ここへ来た時すぐに全話見た感想がいえないでしょ?」


遠回しに次も来てくれるよね?と言ってるのかな。


「じゃあ昨日見た映画なんだけど・・・」


俺は昨日見たあの賛否両論ありそうな映画のタイトルを教えた。


「あ!それ聞いたことある!去年話題になってたやつだよね?アニメ好きなアキラくんがオススメするって事はかなり面白いって事だよね」


「いやぁ~う~んどうだろ?見る人によっては面白くないかもしれないな」


「えぇ~そうなの?ますます気になってきたぁ~」


「おまたせしましたぁ~」


聞き覚えのある声がした、あかりちゃんがオムライスとからあげを持ってきた

目が合うとニコっと笑ってくれた


「あれれ~?あかりちゃん、まだ休憩時間終わってないよねぇ?」


「オムライスといえば魔法!魔法と言えば私だからね!休憩なんかしてる場合じゃないよ!」


「じゃああかりちゃん!一緒に美味しくなる魔法、やってみるぅ?」


「やるやるぅ!」


二人が俺の前に二人並んで立った

あかりちゃんと並んでみるとさぁやちゃんの小ささが際立つな、あかりちゃんだってそんなに身長高くないのに。

さぁちゃんが右手をピストルの形に変えた。


「萌え萌えマジカルショットいきまぁ~す!あかりちゃん!萌え萌え魔力を私に注入して!」


「はぁ~い!」


ちょっとした子芝居が始まったぞ、まわりのお客も注目しはじめた。

あかりちゃんがさぁやちゃんに抱きついたぞ!いったい何が始まるんだろ?


「いくよぉ~!」


あかりちゃんがゆっくりとさぁやちゃんの頬に唇を近づけて、軽いキスをした。

すると、まわりから少し歓声が起きた。


「あかりちゃん!それじゃ全然足りないよ?もっともっとぉ!」


「はぁ~い!」


あかりちゃんが連続でキスをしはじめた、そのたびに歓声が起き、店内がかなり騒がしくなってきた。

よくみると二人とも顔が真っ赤になっている、そりゃ恥ずかしいよな人前でこんな事してたら。


「「萌え萌え~」」


二人同時に喋り始めた


「「まじかるぅ~しゅううううううっ!」」


さぁやちゃんがオムライスに向けて手ピストルを向けた。


「ぱぁ~ん!」


撃った。


パンの言い方が物凄く可愛かった。

店内が拍手喝采に包まれた。

たしかに可愛かったけど、そこまで大騒ぎしなくても。


「じゃあ次はあかりの番だよ!」


あれでおわりじゃなかったんだ!


「むむむむぅ・・・ケットシー!私に力を貸して!」


あかりちゃんがメイド服のスカートの中に手を突っ込み、この前取っていたケットシー(猫のぬいぐるみ)を取り出した。

いったいどこに入れてたんだよ。


「あかりちゃぁんは人使い、いや猫使いが荒いにゃぁ~」


なんと猫のぬいぐるみを使った腹話術が始まった。


「ケットシー!オムライスを美味しくするために力を貸して欲しいの!」


「にゃんにゃんだそれは~そんにゃ事の為にオイラの力を使わないでほしいにゃぁ~」


可愛い!可愛いけど、口動いてるよあかりちゃん!


「もぉ!いいから言う事を聞いて!それじゃいくよ!おいしくなーれ!おいしくな~れ!にゃんにゃん、にゃぁ~ん!」


あかりちゃんがオムライスに向かって拳を握りしめ手首を振りながら猫マネをした。


「ケットシー!手を抜かないで!」


「しょうがにゃいにゃぁ~」


今度は猫のぬいぐるみをオムライスの前でふりはじめた。


「んにゃ!にゃにゃ!にゃにゃにゃ!にゃぁ!にゃっ!うにゃぁー!ふにゃぁ!」


なんだこれ、猫の鳴き声マネが物凄く可愛い。

まわりがザワついてきた、男のうめき声のようなものも聞こえる、まわりの客が悶えている。


「「めしあがれっ」」


二人同時にそう言った瞬間、また拍手喝采が起きた。

心がホカホカしてきた、萌えだな、これは間違いなく萌えだ。


「うぅ~恥ずかしい!」


あかりちゃんが顔を赤らめながらそう言って店の奥に戻っていった。


「さてと、ケチャップで何書いてほしい?」


さぁやちゃんの顔がまだ赤い、何を書いてもらおうかな?


「じゃあ猫で」


「う~ん、私そーいう難しいのは苦手だなぁ~下手でも笑わないって約束してくれたら書いてあげる」


「笑わないよ」


「ほんとにぃ?そう言って笑う人結構いるんだけどなぁ」


「だいじょぶだって」


「ん~じゃあ、書く」


しぶしぶと言った感じでさぁやちゃんがケチャップを握って書き始めた。

物凄いゆっくりな速度で猫?のようなものを書いている。

目と口とヒゲっぽいのはわかるが、あらかじめそれが猫だと知っていないとわからないレベルだ。


「できた!猫!」


なぜかドヤ顔をしているさぁやちゃん、本人的にはうまくいったようだ。

作画的にはひどいが、よく見ると猫が笑っていて可愛い。


「おぉ!ありがとう!これ写真撮ってもいいかな?」


「えっ、こんな落書きを撮るの?あっ!誰かに見せて笑いのネタにするんでしょ!」


「違う違う!猫が笑ってて可愛いからだよ、食べたらなくなっちゃうし、保存しておこうかと思ってさ」


「かわっ、可愛いって・・・笑ってるとか、こんなのでよくわかったね」


「わかるよ、ここが目でしょ?ニコニコしてて可愛いよ」


「あ、ありがと・・・そんな褒め方されたの初めて・・・なんか、嬉しい」


携帯を撮影モードにしてオムライスに向けた。


「ねぇ、どうせだったら私と一緒に撮ってよ、作者も入ってる方がいいよね?」


「そうだね、じゃあそうするよ」


さぁやちゃんがオムライスのお皿を両手で持って少し傾けてみせた。

あらためてじっくり見るとホントに幼い顔してるなぁ~ニコニコしてて可愛いし。


「おぉ~絵になるなぁ~可愛いメイドさんと可愛い猫の絵」


カシャッと音が鳴り撮影が終了した。


「ねぇちょっと見せて」


携帯をさぁやちゃんに渡した。


「なかなかよく撮れてるね」


「おまたせしましたぁ~ホットケーキとお子様ランチで~す」


あれ?今度はあかりちゃんじゃないや、別の女の子が運んできたぞ。

前髪パッツンのみつあみロリメイドさんだ、あたまに大きなピンク色のリボンがついていて可愛い。


「ハイ、ありがと」


携帯を返された。


「うぅ、やっぱりあかりちゃんの猫の方が上手・・・」


ホットケーキにチョコで書かれた猫を見てさぁやちゃんが頭を抱えた。

奥であかりちゃんが書いてくれたのかな?

テーブルの上が食べ物でいっぱいになってきたのでオムライスを食べることにした。


うん、普通にチンしたような味だ、からあげもそうだな、お子様ランチもそんな感じのオンパレードだ。


「全部食べれる?」


「う~ん、ギリって感じ」


オムライスを完食しただけで既に結構お腹いっぱいになってきた。


「私も食べていい?」


「あぁ、助かる」


「食べさせてもらえる?そーいう決まりなの」


決まりならしょうがないな。


「あぁ~」


さぁやちゃんが大きく口を開けた。

食べるのがキツイ油物をあげよう、からあげをさぁやちゃんの口に運んで入れた。

軽く虚空を見つめながら良く噛んで食べているな、そして飲み込んだ。


「あぁ~」


再び口を開けたので、今度は食べるのがどう考えてもキツイ、ホットケーキをナイフで細かく切って口に入れた。

それを繰り返しつつ、自分でも食べ、なんとか食べ物を全部片づけた。


「うぇ~おなかいっぱいだぁ~食いすぎた~」


「んふふ~えらいえらい、えらいねぇ~」


さぁやちゃんに頭を撫でられた、あぁ、お子様ランチのオマケか、ドキっとした。


「まだクッキーとアイスがあるけど、どうする?」


クッキーとアイスぐらいなら何とかなりそうだな。


「食べるよ」


「んふふ、お腹いっぱいでもあかりちゃんの手作りなら食べれるんだぁ~じゃあ持ってくるね」


そういえば手作りだったけ。


さぁやちゃんがアイスとクッキーを持ってきた。

メニューに載っていた写真では普通の丸い形をしていたクッキーだったが、現物は猫の顔の形をしたクッキーだ。


「いつもは普通の形だったのに、今日はなぜか猫のクッキー、どうしてだと思う?」


「どうしてって、猫の気分だったから?」


「そっかぁ、猫の気分かぁ~そうかもねぇ」



「アイスも食べてみて」


言われたとおりアイスも食べてみた、バニラアイスだな、なんか凄い甘い。


「甘くない?」


「甘いね」


「どうしてだと思う?」


「え?甘いのが食べたかったとか?」


「そっかぁ、甘いのが食べたかったのかぁ~そっかそっかぁ」


さぁやちゃんの含みのあるような言い方が気になった。


「なに?なんか答えがあるの?」


「知らな~い、あかりちゃんに聞いてみれば?」


「うん、そうするよ」


___________________________


あかりちゃんが楽しそうにアニソンを歌っている

へたっぴだ~とか言ってたけど結構上手いじゃないか、それに軽くダンスなんかもしちゃってノリノリだな。

さてと、あかりちゃんの歌も聞けた事だし、そろそろ帰るか。


「じゃあ、そろそろ帰るよ」


「えぇ~あかりちゃんの歌、最後まで聞いていかないの?」


「聞いてたいけど、あんまり長くいるのもアレだしね」


俺は席を立った、レジの会計はさぁやちゃんがやってくれた。


「この前渡した割引券は?」


「あぁ、忘れてたよ・・・ハイ」


財布の中から割引券を出して渡した。

割引されているとは思えないほどの結構いい数字が表示された、食いすぎだな。


「ありがとうございました、いってらっしゃいませ、ご主人様」


さぁやちゃんが手を振ってくれたので、俺も軽く手を振った。

歌って踊るあかりちゃんの方を見た、こっちに視線を向けてくれたので手を振って店を出た。


___________________________


夜になり、ため撮りしていたアニメを見ていると携帯に電話がかかってきた、知らない番号が表示されている。


「はい」


「もしも~し、誰だかわかる?」


声ですぐにわかった、でもなんで?何で君が俺の番号知ってるんだ?


「さぁやちゃん?」


「ぶぶ~ちがいまーす!」


「えっ!」


「正解は、やすなちゃんでした~」


「あぁ、本名の方ね・・・番号、あかりちゃんから聞いたの?」


「んーん、聞いてないよ~」


「えっ、どゆこと?何で俺の番号知ってるの?」


「んふふ~なんででしょう?あててみて」


あててみてって、そんなのわかるわけないよ。


「わかんない?ヒント、アキラくんが女の子の顔をジロジロ見てた時」


「なにそれ?全然わからん!もっとヒントちょうだいよ」


「じゃあ、お子様ランチとホットケーキ」


「余計にわからん!」


お子様ランチとホットケーキ?俺が女の子の顔をジロジロ見てた時?

今日あの場所で顔を見た女の子は、あかりちゃんと、やすなちゃんと・・・みつあみの子だよな。

頭の中にあの時の光景が思い浮かんだ、携帯を渡して、お子様ランチとホットケーキが来て・・・


「あぁー!まさかあの時に俺の携帯をいじって番号を見たの?あの一瞬で?」


「せいか~い!パチパチパチ~あってるかどうかかける時ドキドキしちゃったよ~、メモに書くまでずっと頭の中で繰り返してたんだから」


「はは、そこまでしてかけたこの電話は何の用事かな?」


「用事がなくちゃかけちゃだめなのかなぁ?って、言いたい所だけど~今度、あかりちゃんとアキラ君と私とで3人で遊びにいかない?」


「いいね!」


「まだ、あかりちゃんには話してないんだよね~この後、話そうと思ってるんだけどね」


「そうなんだ」


「ねぇ、アキラ君てあかりちゃんの事好きなの?」


は?え?いきなり何を。


「なぜ急にそんなことを」


「好きなのかな?って思って聞いたの」


好きかどうかと聞かれてもなぁ~あかりちゃんとは知り合ってまだ間もないし、可愛い子だなとは思うけど、好きか?と聞かれればどうなんだろうな。


「どうなんだろう、あかりちゃんの事は・・・う~ん、まだよくわからないよ」


「あぁ~まだそーいう段階なんだぁ~でも、あかりちゃんはアキラ君の事、好きなんじゃないのかなぁ」


なっなんだって!あかりちゃんが俺の事を・・・。


「あかりちゃんがそう言ってたの?」


「ん~ん、好きっていう直接的な言葉は出してないけど、アキラ君の話はよくしてるし、アキラくんがいないと困るって言ってたよ?それってもう好きって事じゃない?」


まじか、そんな事言われたら意識してしまうな。


「だから~3人で遊ぶときに告白しちゃいなよぉ~私が上手い事色々やってあげるからさぁ~」


「告白とか、そーいうのはまだ早いと思うな」


「そんな事言ってたら、ほかの人にあかりちゃん取られちゃうよ?あかりちゃん可愛いもんねぇ~」


他の人・・・ほかの男に・・・あかりちゃんとほかの男が仲良くしている光景が頭に思い浮かんだ

なんかちょっとモヤモヤするな。


「まぁとにかくそーいう事で、それじゃまたね」


「うん、またね」


電話を切った。


あかりちゃんは可愛いし、性格もいい、何より異世界ごっこはとても楽しい、もはやごっこっていうか、あかりちゃんといる時はそれが普通になった。


わからない、可愛いって思えば好きなのか?性格がいいなって思えば好きなのか?一緒にいて楽しいって思うのは好きって事なのか?

俺の中に嫉妬心が少しあるのは間違いない、嫉妬するって事は好きなのか?好きだから嫉妬するのか?

あかりちゃんは俺の事どう思ってるんだろう?俺がいないと困るって言ってたらしいけど・・・でもそれが好きだという事になるのか?


いくら考えても答えは出ないな。


携帯が鳴った、あかりちゃんからだ。


「はい!」


「アキラく~ん、あのね、やすなちゃんがね~今度3人で遊びに行こうって言ってきてね~それでね・・・」


ん?その話はさっき聞いたんだけどな、やすなちゃんは俺に伝えたって話をしなかったのかな?


「ちょっと遠いんだけど~この前リニューアルオープンした遊園地に行こうって話になってね」


「あぁ~あのアニメ関係のアトラクションがいっぱいあるとこだっけ?」


「そうそう!何か起こりそうだよね!?」


「え?何かって何?」


「ん?ほら、人がいっぱい集まってお祭り騒ぎしてる時に限って敵の襲来があるでしょ?魔王軍のスキをつかれないようにしなきゃね!」


「あ、あぁ・・・そう、だね」


「どうしたの?」


「何が?」


「何がって・・・なんか、いつもと様子が違うなって気がして」


ダメだ、どうしても意識してしまうな、いつもの調子が出て来ない。

俺は勇者!異世界召喚された勇者なんだ!自分に強く言い聞かせた。


「そ、そうだ!魔王軍の襲来に備えてこの前買ってもらった犬Tシャツ着ていくよ!」


「うん!私もこの前買った猫Tシャツ着ていくね!すっごく楽しみ!あ、でも、敵の襲来を楽しみにしてるなんておかしいよね!」


そう言ってあかりちゃんは楽し気に笑った

やっぱ、可愛い、と、思う。

そういえば、気になっていたあの事を聞かなければ。


「ねぇあかりちゃん、クッキーとても美味しかったよ」


「わぁ、ほんとぉ?アキラくんが来るってわかってたから美味しくなるようにいっぱい魔法をかけておいたんだよぉ~」


「あのさ、どうして猫のクッキーだったの?」


「ん?どうしてって・・・今日は猫の形にしてみようかな~って、ただそう思っただけだよ?」


やっぱりそうだったか。


「そうなんだ、アイス!アイスも凄く美味しかったよ!」


「うん!アイスはねアイスドラゴンの息で作った特製だからね!何度も私が凍らされそうになって危なかったよ~」


「それでさ、物凄く甘かったんだけど、どうしてあんなに甘かったのかな?」


「甘いのダメだった?」


「いや、ダメじゃないよ!甘いの大好き!どちらかというと甘党だよ!」


「よかったぁ~そう言われればたしかにいつもより甘かったかも・・・砂糖もいつも通り入れたし、なんでだろ~」


甘いのが食べたかった、ではなかったか。


「アイスドラゴンの息のせいだよ!ヤツの息には眠りの状態異常が追加効果で発生するんだ!眠りといえば甘い息って印象あるんでしょ?だから甘かったんだ!」


「あぁ!うんうん!そうだよ!なるほど!そっか!だからなんだ!作ってる時、すっごく眠かったんだ!だからかぁ~」


もしかして、眠さの影響で自分でも気づかない内に砂糖の分量を間違えたんじゃ?それは言わないでおこう。


「えへへ、ふふふ・・・たのしい!アキラくんと話してると凄く楽しい!」


「俺も!あかりちゃんと話してる時が一番楽しいよ!」


嬉しくなってきた、もっと、もっとあかりちゃんと話がしたい。


「じゃあ二番目はだーれ?」


「え?二番?」


「一番ってことは、二番目がいるって事だよね?」


そーいう意味じゃなかったんだけどな、単純に凄く楽しいって意味で言ったんだけど。


「二番とかないよ、あかりちゃんと話すのが凄く楽しいって意味だよ?」


「ふ~ん、その割には今日、やすなちゃんと凄く楽しそうに会話してたよね?」


あ、あれ?これってまさか。


「それに、歌ってる途中で帰っちゃうし・・・へたっぴだったから聞きたくなかったのかなぁ~って」


「下手じゃないよ!凄く可愛く歌えてたよ?ダンスだって上手に踊れてたし!」


「そう思ってたのにどうして途中で帰ったの?」


「え~と、あんまり身内がいると仕事の邪魔になるかなって・・・」


「別にそんなの気にしなくていいのに」


あかりちゃんの声色が明らかに不機嫌に変わってきた、怒ってる?いや、これは・・・拗ねてる?

さっきの事、もっとちゃんと聞いてみよう。


「やすなちゃんと会話してると、嫌、かな?」


「嫌じゃないよ、でも、二番目がやすなちゃんなら、そう言えばいいのに」


あれ?勝手にやすなちゃんが二番目って事にされちゃったぞ。


「だから二番とかないって、異世界話はあかりちゃんとしか出来ないでしょ?やすなちゃんとはそーいう話は出来ないから、だから二番とかないよ」


「うん、わかった・・・変な事言ってごめんね」


変じゃない!逆に嬉しいよ!あかりちゃんは嫉妬して拗ねたんだよな?嫉妬したって事は、つまりそーいう事だよな?

さすがにそれは言葉に出して聞けなかった。


「いいよいいよ、謝るほどの事でもないから」


ふと時計を見ると0時ちょっと過ぎていた。


「そろそろ寝なくて大丈夫?」


「電話切ってほしいの?」


そんな事言ってないんだけどなぁ。


「切ってほしくない、まだまだあかりちゃんと話したいよ、でも時間が遅くなってきたしさ」


「アキラくんが話したいんだったら、話す」


「それは嬉しいんだけど、眠くなったら眠いって言ってね?」


「眠いよ!でも、私もアキラくんとまだまだ話したい!」


嬉しい事言ってくれるね。

そのあと結局1時頃まで話した、あかりちゃんはまだまだ話したいようだったけど、眠気に勝てずに寝落ちしてしまった。

寝床にちゃんと入ってくれていればいいけどな、風邪とかひかないでほしい。




:3人で遊ぶときに告白しちゃいなよぉ~:


やすなちゃんの言葉が頭をよぎった。


告白、か。

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