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今日はあかりちゃんと「装備新調」という名のショッピングに来ていた
「これどうかな?魔法防御高そうじゃない?」
と言ってあかりちゃんが真ん中にリアルな大きな猫の顔だけがプリントされた半袖Tシャツを自身の体に合わせて見せて来た
「たしかに!その猫が不思議な力で守ってくれそうな気がする」
「だよねだよね!実は生きてて喋ったりしてくれそう!」
その発想はなかったわ!
「あれじゃね?悪さかなんかしてそのシャツに封印されてんだよ」
「うんうん!あるあるだね!あっ・・・ねぇコレ、アキラくんに似合いそう!」
と言ってあかりちゃんがTシャツを持って俺の体に合わせて来た
犬だ 今度はリアルな犬の大きな顔が真ん中にプリントされている
「なんかこの犬アキラくんに似てない?」
「え~似てないよ~」
「そうかなぁ?すっごい優しそうな顔してるよ~」
それってつまり俺の顔は優しそうだと思われてるって事か
「欲しい?買ってあげようか?」
「いやいいよ」
「なんで~?この装備はこれからの戦いに絶対必要だよ!ブレス耐性とかありそうだし、ドラゴンの息だってへっちゃらだよ!」
「そ、そこまで言うんだったら自分で買うよ」
「いいよいいよ~買ってあげるってばぁ~」
そう言ってあかりちゃんが自分で選んだ数枚のシャツと俺の犬シャツを持ってレジへ向かった
買い物が終わり次はどこへ行こうかと話していると
「ねぇアキラくん見て見て!アニメ見放題だって!」
あかりちゃんが指さす看板には「新旧アニメ見放題!DVDボックス店」と書かれていた
個室でDVDとか見るあれか
「入ってみよ!」
あかりちゃんが入りたそうだったので入ってみた
こーいうとこ初めて入るなぁ
入ってみるとカウンターに女の店員さんがいた
「何分のご利用になさいますかぁ?」
「え、えっとぉ」
「60分、90分、120分、12時間、お好きな時間をお選びください」
12時間って、そんなに長くいるつもりはないけどいろいろ見るんだったら値段的にもそれがお得かもなぁ
好きな時間で出ればいいだけだし
「あ、じゃあ12時間で」
「当店先払いとなっておりますので、二部屋分のご利用料金をお願いします」
「あ、はい」
「ねぇアキラ君!一緒に見たいから一部屋でいいと思うよ」
あかりちゃんがそう言ってきたので
「じゃあ一部屋で」
「申し訳ありません、カップルでの一部屋のご利用は当店では禁止しております」
「あっいや、カップル!カップルじゃないです!友達です!」
突然カップルとか言われたので焦って動揺してしまった
「申し訳ありません、友達でもだめなんです、男女一組での一部屋ご利用は禁止となっております」
なぜ禁止しているのかはだいたい察しがついた これは仕方ないな
「どうしよっかあかりちゃん、やめとく?」
「うーん、そだね」
あかりちゃんが残念そうな顔をした
「あのですね、二部屋ご利用していただいて、部屋間での移動は自由となっておりますよ?」
つまり 部屋二つ借りて片方の部屋で見たらいいんじゃね?と店員さんは言っているようだ
「じゃあそうします」
二部屋分を出そうとしたが、あかりちゃんが半分出してくれた
DVDコーナーで互いに見たことのないアニメ映画を何本か選んだ
個室のスライド式のドアを開けると 台の上にDVDプレーヤーと大きな液晶ディスプレイが置いてあった
そして一人用のソファがある これに二人座るとなるとかなりの密着状態になってしまうな
「あかりちゃんが座ってよ、俺立って見てるから」
「だめだよ足痛くなっちゃうよ?この大きさなら二人座れると思うし」
そう言いながらあかりちゃんがソファの端の方に座った
「ほら!これだけ空いてれば座れるって!」
たしかに人一人分のスペースがギリギリあるけど 俺が過剰に意識しすぎなんだろうか?
空いてるスペースに座ってみた 予想通り、いや予想以上にあかりちゃんの体に密着した状態となった
肩とか腕とかフトモモとか全部くっついちゃってるよ
ミニスカートから出ているフトモモに目がどうしてもいってしまう 綺麗な足、だな
やばいドキドキしてきた
「どれから見る?」
あれ?あかりちゃんは別に気にして無さそうだぞ
俺も気にしないようにしないとな
「じゃあコレ」
選んだDVDをプレーヤーにいれた
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不思議なもんでアニメ映画を1本見終わる頃にはすっかりこの密着状態にもなれていた
「次どれ見る?」
「じゃあこれで」
去年話題になり社会現象までになったアニメ映画を選んだ
中学時代に付き合っていた男女が別れて、数十年ぶりに再会してまた付き合うとかいう話だ
いったいこのどこかで見たような内容で何で社会現象まで引き起こしたのかわからないが 気になってはいた
冒頭から主人公とヒロインの甘酸っぱい青春模様が描写された
でも別れるんだろ?
こんなに仲良いのに何で別れるのかまでは知らないので食い入るように見ていた
あかりちゃんも無言で俺と同じように集中していた
そして物語中盤、主人公がほかの女子を好きになってしまうとかいう展開になった
いやいやダメだろ、ヒロインとあんなに仲良くしてたのにそれはダメだろ~
ヒロインの気持ちを考えるとこれは辛い、しかもヒロインが私もほかに好きな人出来てたんだとか嘘ついちゃってるし
じゃあいいやとあっさりヒロインと別れる主人公の男にイライラした
もちろんヒロインは部屋で大泣き
どうしてもヒロインの方に感情移入してしまうなこれ かわいそすぎる
そして時は流れて数年後 二人は社会人になっていた
主人公はどうやら今は彼女がいないらしく ヒロインの事を思い出す様な描写が時々されている
いやいや、ふっておいてそれはないだろ しかもヒロインには彼氏がいて結構ラブラブな感じ
なんなんだよこれ 何がどうなったらまた付き合い出すんだよ?気になってしょうがない
そしてある日たまたま再会し、主人公はヒロインにもう一度付き合いたいと告白するもヒロインは今恋人がいるから無理と断る事に
しかしヒロインは主人公と再会したことで主人公が気になってしょうがないという描写がなされ、彼氏とはだんだん上手くいかなくなってくる
彼は急な心変わりのヒロインに対しても優しく接する描写に 見ていて辛くなってきた 彼かわいそう!こんどは彼に感情移入してきた
そして彼はある日気づいてしまう、彼女の心には主人公がいることに、そして彼はほかに好きな人が出来たと嘘をついて彼女に別れを告げる
かつて同じ事をやったヒロインにはそれが嘘であると何となく察する
自分がかつて味わった悲しみを今の彼氏に味合わせた事にヒロインは謝罪の言葉を何度も述べながら罪悪感で大泣きしてしまう
辛い、辛すぎる、序盤でヒロインにも感情移入していたせいか、同じように泣きそうになってきた
一見ヒロインも酷い事をしているように見える、でも糞な主人公と比べてかなり悪い事をしたと思ってる分マシである
そして別れる、彼氏は部屋で男泣き 男が泣くのには弱いなぁ 俺だってこんな目にあったら泣くわ
ヒロインは主人公にもう一度会い、付き合う事となった
だがしかし、主人公はまた別の女を好きになってヒロインに別れを告げた
「マジかよ!」
思わず言葉に出してしまった
そして俺は気付いた、これ主人公はヒロインじゃね?って
ヒロインは部屋で大泣きするも、自分が悪いんだと責め続けて鬱気味になってしまう
人によっては「ざまぁみろ」と思うかもしれないけど、俺にはヒロインが可哀そうに見えた
そしてまさかのここでスタッフロール
「えっ、おわり!?ここで!?」
俺より先にあかりちゃんが声を出した
「スタッフロール終わったら何かあるんじゃない?ここで終わったら糞だよこれ」
予想通りやっぱりあった 彼だ!あの男泣きしていたヒロインの元彼だ!この展開はまさか!
元彼がヒロインの部屋を訪ね、鬱気味のヒロインを優しく介抱する描写がなされ
ヒロインは元彼のやさしさに甘えようとするも自分が酷い事をした負い目もあって素直になれないでいた
と、ここで映画は終わってしまう
「えぇ~なんこれ、このあとは見た人のご想像におまかせしますってやつ?」
「そうだねぇ~それにしても色んな意味で辛い映画だったね~なんかハァ~て感じ」
あかりちゃんが大きく溜息をついた 俺も同じような気分だ
そこまで面白いわけじゃないが、賛否両論ありそうな内容で話題になったのもなんとなくわかる気がした
俺はソファの背もたれにもたれかかり背伸びをした 体の節々がパキパキと音を立てた
「ふぁぁ~ふゅぅぅ~」
あかりちゃんが可愛い大あくびをした お互いにかなりの視聴疲れみたいだ
DVDプレーヤーのデジタル時計が18時47分と表示されているのが目に入った 今からもう一本見ると遅い時間になってしまうな
「じゃあそろそろ帰ろうか」
「そうだね」
二人同時にソファから立ち上がった瞬間 あかりちゃんがふらっとして俺に倒れ込むような感じでもたれかかってきたのでそれを両肩をつかんで支えた
「だいじょぶ?」
「ごめ、足がしびれちゃった」
密着状態の無理な体勢で二人で座っていたせいだな 俺もちょっと痺れてる
「座る?」
「えっと、動くと痛い・・・ちょっとまってて」
「うん」
なんだろこの体勢 あかりちゃんは完全にこっちを向いているわけではないが 一歩間違えばこれからキスでもしようかというような体勢だ
妙に意識してしまうな 足の痺れってどれぐらいで治るんだっけ?そんなに時間はかからなかったと思うけど 治る時間なんて数えた事ないしな
「アキラくんあのね!私がめんせっ、ぎっ!ギルド試験に行った日に会ったメイドさんね、やすなちゃんって言うんだけど、その子と仲良くなったの」
「あぁあの、ろっ、んんっ!そうなんだ!」
ロリメイドさんと言いそうになったが堪えた
「バイッ、んんっ!ギルドの雰囲気にはもうなれた?」
「うん!みんな可愛くて優しいし、凄いロリロリしてるから私だけなんか浮いちゃってるんだよねぇ~」
俺からすればあかりちゃんも十分ロリなんだけど
「あかりちゃんも十分その範囲だと思うけど?」
「う~ん、自分で言うのもなんだけどぉ~私もそうだと思ってたんだよねぇ~でもあのギルドメンバーを見ると自信がなくなってきたよ」
それはちょっと気になってきたな 行ってみようかな
「ねぇあかりちゃん、明日行ってもいいかな?」
「えっ!別にいいけど・・・あ、ギルメンがどんな子なのか気になったんでしょ?」
なぜバレたんだ
「うんうん、見ればわかるよ、私の言ってる事が本当だって・・・」
「それは楽しみだな」
「あ、やっぱりそうなんだぁ?」
釣られた
「それもあるんだけど、あかりちゃんがどんな風に働いてるのか見てみたいなって思って」
「えぇ~それはちょっと恥ずかしいなぁ~人前で歌とかも歌ったりするからへたっぴで恥ずかしいんだよねぇ」
「いいね!あかりちゃんのアニソン聞いてみたいよ!」
「ほんとにへたっぴだからね!期待しないでね」
明日はバイトが午前中だけだし、午後から行こうかな 店内で色々食べたいから食べずに行くか・・・
「ありがとう、足もうだいじょうだよ」
「あ、あぁはい」
あかりちゃんの肩から手を離した
「それじゃいこうか」
俺達は個室から出て カウンターでDVDを返した