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12月30日


朝起きる。

何もする事がないから二度寝しようと思った。


が。


ふとマオちゃんからもらった名刺の事を思い出す。

あまりにも胸の印象が強すぎて、今の今まで忘れていた。


パソコンでマオちゃんのツイッターをみてみる事にした。


最新のつぶやきは5分前か、今起きました、何もする事ないから二度寝しようかな?って俺と同じような事つぶやいてるな。

昨日の事についても書いてあるな。


顔は隠してあるけど、マオちゃんの小悪魔画像も載っている。


友達といっしょに某所で撮影してきました!自分で撮影するのと違って凄い恥ずかしくて緊張しました!あと友達のコスプレがすっごい似合ってました!でも勝手に見せると怒られそうなのでやめておきます!


緊張してた?うそばっかり~!

ノリノリでポーズ取ってたじゃない!

まぁ内心ではそうだったのかもしれないが。



過去のつぶやきを辿ったり、ブログを見てみると、コスプレ画像がほかにもあった。

見た事あるアニメのやつから、知らない物まで結構たくさんコスプレしている。

顔は隠してるのに、やけにフォロワーやコメントが多い所を見ると、やっぱこの胸の膨らみに引き寄せられてるんだろうな・・・。


衣装は自作してるのかな?だとしたら凄いな。

背景が自室っぽくて、中学生のお小遣い事情からそんなにレンタル出来るとも思えないし、自作の可能性が高い。

いやでも自作したほうが余計高くつくような気もするな、考えてもわからないし、直接聞けばいいか。


さっそく携帯アプリを使ってメッセージを送ってみる事にした。


「コスプレ画像みました、コスプレ衣装って自作してるの?」


送ってから、二度寝するって書いてた事を思い出した。

寝てたら申し訳ないな。


返事がすぐに来た。


「恥ずかしい!そうです!自作してますよ!」


「凄いね!結構お金かかるんじゃない?お小遣い足りる?」


「大丈夫です!親がそーいう仕事をしているので生地代はタダです!でもお小遣いはもっとほしいw」


なるほど。

疑問が解けた。


「アキラさん!お小遣いくださいwww」


なんだそりゃ。

草生えてるから冗談なのはわかるけど。


「それってちょっと危ないやりとりだよw」


「危ない?なんでですか?」


しまった。

通じなかった。


「ごめんごめん、今のは忘れてくれ」


「なんですかー?気になりますー!」


「忘れてください」


吐けと書かれた可愛い犬のおまわりさんの事情聴取スタンプが貼られた。

諦めてくれなさそうだし、言うしかないか・・・。


「援助交際っぽくて危ないやりとりだなって」


少し間があって、鼻血を垂れ流し、顔色が悪くなっているウサギのスタンプが貼られた。

おいおい、大丈夫かよ。

こんな事ぐらいでまさかホントに鼻血だしてないよな?


「鼻血だしたの?だいじょうぶ?」


「ちょっと出ましたwでも大丈夫です!」


マジで出したのか。

どんだけ純情なんだこの子。


「変な話してごめんね!」


「いえいえ!私がお小遣い欲しいって言ったのが悪いですよwww」


今の中学生って小遣いどれくらい貰ってるんだろ?

興味あるな。


「月いくらぐらいもらってるの?」


「1万円です!全然足りないので早くバイトしたい!!」


1万円って結構多い気がするんだけど・・・。

男と違って女の子は色々お金がかかるのかもしれないな。

オシャレ代とか・・・でも、あの全身ブラックを見る限り、おしゃれにそんなに気を使ってるようにはみえないし・・・。

アニメのコスプレするぐらいだし、アニメグッズとか買いあさってるのかもしれないな。


「主に何に使ってるの?」


「コスプレのアクセサリや、小道具を自作するのに使ってます!あとはお菓子買ったりww」


なるほど。

生地代はタダでも、そっちで費用はかかるんだな。

お菓子ってところが14歳らしくていいな。


「食べすぎで太ってきてやばいですwww」


そんなに太ってる印象はなかったけどな。

栄養は全部胸にいってるんじゃ・・・。

あの胸はお菓子で成長したのか・・・そんなワケないか。


「全然太ってるようには見えなかったよ」


「お腹がやばいですwwwダイエットしなきゃ!」


そうなのか。

でも成長期の今にダイエットはよくないな。


「ダイエットはもっと大きくなってからでいいよ、今は遠慮しないでたくさん食べた方がいい」


「もう十分大きいです!主にお腹がwww」


お腹より胸が、なんて言えなかった。

鼻血スタンプまた貼られちゃうよ。


暇だし、マオちゃんを御飯にでも誘おうかな?


「今日暇?」


「暇w」


「お昼食べにいかない?もちろん俺のおごりで」


「いいんですか!!援助交際?w」


鼻血スタンプが貼られた。


「自分で言って鼻血だすなwww」


「www」


面白い子だな!


「何食べたい?」


「何でもいいですよ!」


「決めてもらえると助かる」


「お米食べたいw」


ん?

懐かしいな、あかりちゃんとした会話を思い出した。


「じゃあうな重とかどう?」


「うなぎ好き!」


「じゃあ決まりだね」


______________


決めた待ち合わせ場所で待っているとマオちゃんが走ってやってきた。


「はぁはぁ・・・ごめんなさい!・・・電車がなんか止まってて・・・携帯も充電して満タンにしたのに・・・はぁはぁ・・・きれちゃっててぇ・・・」


この寒い時期に、そんなに汗をかくほど一生懸命走ってきたんだな。

辛そうに息を切らして、顔を真っ赤にしながら白い息を吐いている。


今日も黒ぶちメガネをかけているが、髪型は短めのみつあみで、左右に少しハネた感じになっている。


ふわふわの白い毛に茶色が混じった毛のついたファーフードつきの黒いコートを着ている、袖口にも同じように毛がついてる。

防寒具としては頼もしい毛だが、今はこんなのいらないぐらい暑いに違いない。

少し丈が長いせいか、コートからは黒いストッキングを穿いた足だけが見えている。

今日も昨日と同じ黒いリュックを背負っている。


首元から少しだけ黒いタートルネックが見えている事から、今回もオールブラックファッションっぽいな。


「だいじょうぶだよ、確かに5分遅刻だけど、こんなの遅れてる内に入らないから」


「はぁはぁ・・・よかったぁ・・・怒って帰っちゃってたらどうしよって・・・はぁはぁ・・・おもって・・・」


「それぐらいで怒らないよ、逆に何かあったのかな?って心配にはなるけど・・・」


息を切らせてるだけでも辛そうなのに、それに加えて泣きそうな表情まで見せられたら、物凄く可哀想になってきた。

マオちゃんの背中を優しく撫でた。


「はぁはぁ・・・はぁはぁ・・・」


辛そうな顔で俺の顔をじっと見ている。

可哀想に。


「だいじょうぶ?ジュース買ってあげるから、あそこの自販機までいこ?」


マオちゃんの手をつかんでそこまで連れていく事にした。


「ふぅぅん!?」


マオちゃんが驚きの声をあげたかと思うと、手で鼻を隠す様に押さえている。

あ、鼻血だこれ。

なんで?走ってきたから?


大変だ!!

ハンカチはもうないから、マオちゃんのティッシュで何とかするしかない!!


慌てて背中に背負ってるリュックから箱ティッシュを取り出して紙を数枚取り出した。


「手どけて」


マオちゃんが手をどけると、鼻筋と口が血で汚れており、鼻の穴から新たな血が垂れだしてきていた。

紙で鼻をおさえつけた。


「ずびませぇーん」


「いいよいいよ、気にしないで」


鼻筋と口を綺麗に拭いて、鼻の穴に丸めた紙をつめこんだ。


「ありがとうございますぅ・・・はずかしぃ・・・」


そう言ってうつむいてしまった。


「しょうがないよ、そーいう体質なんだから」


うつむいているマオちゃんの頭を撫でた。


「ふぅ!?」


驚きの声と同時に地面に血が落ちた。

紙を入れてない方からも出ちゃったか!?


再び箱から紙を数枚取り、マオちゃんの顎をつかんで顔をあげさせた。


「むふぅぅ!?」


再び驚いた声をあげたマオちゃんの鼻を紙で押さえた。

物凄く驚いた表情をしている、紙を勢いよく押さえすぎたかな?

さっきと同じように鼻筋と口を拭いて、紙を鼻につめた。


「うぅぅ・・・はずかしぃ・・・みないでくださいぃ・・・」


真っ赤な顔で泣きそうな表情と声を出してきた。

仕方ないとはいえ、鼻の穴両方に紙をつめこんだ姿を見られたらそりゃ恥ずかしいよな。

鼻血を出して大変な状態の本人には悪いけど、なんだか可愛く見えて来た。


「大丈夫だよ」


頭に自然と手が伸びて何度も何度も撫でてしまった。


「ん!!うぅぅぅぅ」


マオちゃんが目を閉じ顔をしかめ、辛そうな感じのうめき声を出してきた。

鼻に入れていた紙が凄い勢いで真っ赤に染まっていった。


あ、もしかして。

頭撫でたから?

そういやさっきもそのタイミングで出してた。


そうかそうか、男に触れられることに慣れてないんだな?

申し訳ない事をしてしまった。


「ごめんね、もう撫でないから」


「あっ、それはっ・・・いぃ・・・してほしぃ・・・あっ!んんんん!!!」


声をあげると同時に両手で鼻を押さえた。


「なんでもないですぅ・・・うぅ・・うーん」


目がうつろになってきた、やばいな。

出血多量で貧血状態だよコレ。


「マオちゃん!とにかくそこの自販機までいこ?そこで座って休も!!歩ける??」


「うぅぅぅ」


うめき声で返事をされた。

たぶん歩けるってことだよな?


体を支えてあげようかと思ったが、触ったらまた悪化するしな。

横に付き添って歩くしかなかった。


マオちゃんが自力でベンチに座った。

箱から紙を大量に取り出した。


「手をどけて」


手をどけると、鼻につめこんだ紙では血の勢いが抑えきれなかったのか、口のまわりが血だらけになっていた。


「あぁ・・・大変だ・・・ちょっとまってて」


自販機に水があったので買い、紙に水を含ませて口を拭いた。

綺麗になったところで、鼻に入れていた紙をぬいて、新たな紙を入れ込んだ。


「はい、水飲んで・・・ジュースの方がいい?」


「あぁぁ・・・わたし・・・ご迷惑ばかり・・・ほんとに・・・ごめんなさい」


うつろな目で弱々しくそう言ってきた。


「気にしないで、原因は俺だし、マオちゃんは何も悪くないよ」


手が伸びて、危うく撫でそうになってしまった。

だめだめ、これからマオちゃんに触れないように気を付けていかないと。


「あきらさぁん・・・あきらさんはどぉしてそんなに優しいんですかぁ・・・」


「いやいや普通だって、鼻血出してる女の子がいたら誰だってこうするよ、俺が優しいわけじゃないって」


「いいえ・・・学校では、私が鼻血を出しても誰も助けてくれません・・・それどころか、みんな陰で私の悪口を言ってるんです・・・年中発情してる女だって・・・」


「なっ、なんだよそれ・・・ヒドイな!体質的な事は仕方ないじゃないか・・・それを悪く言うなんて許せないよ!!」


「だからやっぱり・・・あきらさんはやさしいですよ・・・あ、もちろんほのかちゃんもやさしいですよ?」


力ない笑みを浮かべた。


マオちゃん・・・もしかして、学校でいじめられたりしてないよな?

いじめられてんの?って聞くのはちょっとな・・・。

陰口でも十分いじめ行為にはなってるから、いじめられてる事になるんだろうな・・・。


可哀想に。


くそぉ、撫でてあげたい!!!

今出来る事は・・・。


「マオちゃん、水飲んで」


水を飲ませるぐらいしか出来ないのがくやしい。

しかも、ちょっと口からこぼしてしまった。

何とも腹立たしい!!

水しか飲ませられないのに、それすらもちゃんと出来ない!!


紙で口元を拭いた。


「ごめんなさい・・・イライラしますよね?・・・迷惑ばかりかけて、ほんとにごめんなさい・・・」


「違う!そうじゃない!・・・水をこぼしたから・・・それしか出来ないのに上手く出来なかった!!・・・何といったらいいか・・・触れないし・・・頭を撫でたい・・・頭を撫でて、凄く良い子だよっていってあげたいんだよ・・・だからイライラしてるんだ」


何か出来ないかな・・・。

そうだ!ジュースを買おう!!


「ねぇマオちゃん!ジュース!ジュース何飲みたい?えーと、コーラとオレンジとりんご・・・」


自販機を見ながら、並んでる商品を順に読み上げていった。


「あぁっ・・・うぅぅ・・・あきらさぁん・・・やさしすぎますよぉ・・・そんなに優しくされたら、わたし・・・わたいしぃ・・・」


マオちゃんの目から涙がポロポロとこぼれ始めた。

泣かしてしまった。

悲しい涙じゃないのはわかってるけど、それでも、女の子の涙を見るのは辛い。


何かオレ、女の子を泣かせてばっかいるような気がするな。

くそぉ、ハンカチもっとたくさん買っておけばよかった・・・。


仕方なく紙で涙を拭いた。


「アキラさん、あたま、撫でてください」


甘える声を出してそう言ってきたが、そんな事をすればまた鼻血が。


「おねがいします・・・いいこいいこしてください・・・」


「でも鼻血が・・・」


「出ますけど、嬉しいから出ちゃうんです・・・だからお願いします」


嬉しいのか。

そうか、嬉しいから出ちゃってたんだ。

触れられるのに慣れてないとかじゃないんだ・・・。


だったらいいのか?

箱から紙を大量に取り出し、マオちゃんに手渡した。


「やばくなったらこれで押さえてね?・・・じゃ、撫でるよ」


恐る恐る、頭に手を乗せた。

マオちゃんが目を閉じて顔をしかめた。

とても嬉しいって感じの表情じゃないんだけど・・・。


「だいじょうぶ?」


「はい、いいこいいこって、してください」


凄く辛そうなんだけど。

でもしてって言ってるしなぁ。


「うん・・・いいこ、いいこ・・・いいこだよ・・・」


恐る恐るゆっくり撫でた。


「うっ、うぅぅぅ」


先程よりも顔をしかめて、うめき声を出し始めた。

ほんとにうれしいの??


鼻につめている紙が真っ赤に染まってきた。

顔も耳も真っ赤だし、苦しんでいるようにしか見えない。


頭から手を離した。


「やめないでぇ・・・だいじょうぶですぅ・・・これでも嬉しいんですぅ・・・おねがいしますぅ」


悲痛な声を出してきた。

でも、嬉しいならやってあげたい!


手を頭の上に戻し、優しく撫でた。


「マオちゃん、いい子だよ、いいこいいこ・・・あ、マオちゃんて頭ちっちゃいね・・・」


「ふぅぅぅぅ!!」


悲鳴のような声をあげたかと思うと、手に持った紙を鼻にあてた。

ん?少しだけ表情が緩んだ気がする。


「いいこいいこ、マオちゃんは頭撫でられるの好きなの?」


少し間があって、黙ったまま何度か頷いた。

前髪が額にかいた汗のせいで、べったり張り付いてる。

それを指でかき分けた。


「はぁ、はぁ、はぁ」


鼻を紙で押さえたまま、苦しそうな感じで口で息をしている。


「だいじょうぶ?」


「はいぃ・・・はぁはぁ・・・だいじょうぶですよぉ」


苦しそうだった息遣いがだんだん落ち着いて、目を閉じたままだが、表情も穏やかになってきた。

マオちゃんがゆっくりと目を開け、自分で鼻から紙を抜き、あらたに紙をつめこんだ。

そして眼鏡をはずし、俺を見上げて来た。


「はぁはぁ・・・あきらさぁん・・・もっとなでてぇ」


うっとりした表情で、今までにない甘えた声を出してきた。

少しドキっとしてしまった。

頭を撫でた。


「あぁ・・・あつい・・・あついよぉ」


マオちゃんがコートのファスナーを下ろし始め少しだけ脱ぎ、中から黒いタートルネックのセーターが見え・・・大きな胸の膨らみが見えた。

すごいな、やっぱデカイ・・・俺はこんな時にどこ見てんだよ。


「あ、あついなら、ジュース買うよ・・・何が飲みたい?」


「・・・りんごジュースが飲みたいです」


「うん、りんごね」


自販機でジュースを買って、マオちゃんに渡した。

缶の蓋を開けると、勢いよく喉を鳴らして飲み始めた。

そんなに喉乾いてたんだ。


マオちゃんの隣に座った。


「ふぁ、おいしぃ・・・あ、おかね・・・」


「いいよいいよ、それよりジュース飲んでよ、それ飲んだら、うなぎ食べにいこ?鼻血だしちゃった分スタミナつけなとね!」


「はいぃ・・・実は物凄くお腹がすているんです・・・はやくたべたい」


ジュースを先程よりも勢いよく飲みだした。


「あー、無理して飲んじゃダメだよ?・・・ゆっくり飲んで・・・」


頭を撫でながらそう言った。


「はぁい」


凄くニコニコしてる。

鼻に入れた紙に血が浸透していったけど、表情はとても嬉しそうだ。

可愛い笑顔だな。

無邪気で純粋な笑顔だ。


マオちゃんがはずしていた眼鏡をかけた。


何で外してたんだろう?

_________


うなぎ店についた。

店員さんに個室の座敷に案内された。

座布団に座ると、テーブルの下が掘りごたつのようになってるのに気づき、足を楽にした。


初めて来る場所なので、こんな個室に案内された事に少し驚いた。

狭いけど、この狭さが逆にいい感じだ。


向いに座ったマオちゃんがテーブルにあったおしながきを手に取った。

こーいう個室があるし、結構高いかもしれないなぁ。

まぁ高くてもそれなりに持ってきたし大丈夫だろ。


店員さんが急須と湯呑をお盆に乗せて持ってきた。

よくみるとお盆にうなぎパイが乗っている。

お茶を入れてくれた。


「後ほど注文を伺いにまいりますので、ごゆっくりおくつろぎください」


そう言って店員さんが襖を閉めて出て行った。


マオちゃんがコートを脱いだ。

やっぱ大きい。

どうしても見ちゃうな。

男のサガってやつだ、勘弁してくれぇ。


おいおい、テーブルに乗ってるよ!

それわざと?わざとやってるの?

そうやると楽なの?


いかんいかん。

胸ばっか見てんじゃねぇよ俺。


おしながきを取って値段を確認した。

うん、まぁまぁ高いけど、想定の範囲内だ。


「マオちゃん、特上でもいいよ」


「え、でもぉ・・・結構高いですよぉ・・・」


「俺も特上頼むから、遠慮しないで一緒に食べよ」


「じゃ、じゃあ・・・特上で・・・」


うんうん、それでいい。

血を流した分もりもり食べてね。


うなぎパイをひとつ食べ終え、お茶を飲んだところで店員さんがやってきたので、特上2つを頼んだ。


「私、特上とか食べた事ないです・・・だから凄くたのしみぃ」


わくわくした顔を見て、嬉しい気持ちになった。


「実は俺も初めて頼む、だから俺も楽しみ」


「えへへ・・・おんなじだぁ」


マオちゃんが携帯を触りだした。

画面を指でタップしている。


「あの、ほのかちゃんです・・・電話するって言ってます」


「あぁ、そうなんだ」


言われた通り着信があった。


「ちょっとぉぉぉ!!何で私をさそわないのぉぉぉ!!」


開口一番怒鳴られた。


「な、なんでって・・・とくに理由はないけど・・・」


「じゃあ誘ってよぉぉぉ!!!」


「うん、じゃあ来る?」


「いくぅぅぅぅ!!!!」


今いる場所を伝えるとすぐに電話が切れた。


「・・・一緒にいるって言っちゃまずかったですかね?怒ってる感じでしたし」


申し訳なさそうな顔でそう言ってきた。

声が漏れてたか。


「そんなことないよ、あと、ほのかちゃんはいっつもあんな感じだから気にしなくて良いよ」


そんなにほのかちゃんの事詳しくないけどね。

たぶん間違ってない。


「・・・ほのかちゃんの分、私が出します」


自分が言った事でこうなったから気にしてるのか。


「だめだめ、お小遣い少ないんでしょ?」


「でも・・・」


「言う事聞かないと・・・鼻血出るような事しちゃうぞぉ?」


言ってから、俺変態みたいじゃんって思った。


「わ、それは・・・うぅぅぅ」


マオちゃんの表情が強張り、どんどん顔が赤くなってきた。


「ごめんごめん!うそうそ!なんにもしない!・・・なんにもしないけど、俺が全部出すから、ね?」


「・・・はいぃ・・・わかりましたぁ」



目がキョロキョロしてる。

そりゃそうだよな。

確実に変態だって思われたなこりゃ。


「アキラさん、お聞きしたい事があります」


なんだ?急に真面目な顔して。


「なに?」


「・・・あかりさんという方は、どんな人なんですか?」


なぜあかりちゃんの事を知ってるんだ?

あ、昨日ほのかちゃんが名前だしてたなそういや。


「どんな人・・・うーん、元気で明るくて・・・優しくて・・・可愛い子だよ」


「ほんとですか?昨日の話から察するに・・・あかりさんという方は物凄く怖い人って感じがするんですけど」


ほのかちゃんが余計な事いうから・・・。


「うーん・・・怖いときはたしかにあったけど・・・普段はほわほわしてて、ニコニコしてて、あ、そうだ!画像見せてあげるよ!顔を見れば怖いなんて絶対思わないから」


どの画像を見せようかな?

悩むほどの数もないけどね。

夏祭りの時に一緒に撮ったやつにしよう。


「ほら、可愛いでしょ?」


画面をマオちゃんに見せた。

ほんの数か月前だというのに、懐かしい感じがする。

この時初めてほのかちゃんに会ったんだよな。

まさかやすなちゃんの妹だなんて思いもしなかったよ。



「・・・びっくりしました・・・思ってたよりずっと可愛くて・・・しかも、こんなにくっついて・・・仲、良いんですね」


「うん、仲良いよ、怖くないでしょ?」


「でも、怖いときがあったんですよね?」


「凄いヤキモチ焼きでね・・・嫉妬してる時はちょっと怖いかも」


「へぇ・・・じゃあ私と二人でいるとこなんか見たら、アキラさん大変な事になっちゃいますね!」


冗談っぽくそう言って笑った。


「それは大丈夫だと思う、マオちゃんの事そんなに気にしてなかったみたいだし」


「・・・そうですか」


ん?なんだ?

なんか怒ってる?

怒らすような事言ったのかも。

でも、何で怒ってるのかわからない。


「失礼いたします、注文の品、お持ちしました、お開けしてもよろしいでしょうか?」


襖の外から店員さんの声が聞こえて来た。


「あ、はい!どうぞ」


襖を開けて店員さんが重箱2つとお吸い物、漬物の入った小皿を持ってきた。

それをテーブルに並べてくれた。


「あ、あの!あとで連れが来るので、ここへ案内してもらえますか?えぇと、ほのかちゃんって子がきます!あと、俺はアキラです」


名前を言う必要はなかったかもしれないが。

お連れ様待ちのお客もいるかもしれないし。

その方が店員さんもわかりやすいよな?


「かしこまりました」


そして、失礼いたしますと言って個室から出て行った。




重箱を見た。

長い、正方形じゃない、長方形の重箱だ!

これだけで中身が期待できる!


「アキラさん!一緒に蓋をあけましょう!」


あれ?もう怒ってない?

早く開けたくてしょうがないって感じだな。


「よし!じゃあせーのであけるよ?・・・せーの!」


蓋を開けると、鰻が、1、2、3、4、4枚!

つまり、2匹分の鰻が御飯が見えない程に敷き詰められていた。


「わわわ!いっぱい!いっぱい入ってます!しかも大きい!私が知ってるやつはもっと小さいのが2枚入ってるやつですよ!わ、わ、凄い!食べていいですかぁ!?」


「もちろんいいよ、じゃあ食べようか」


「いただきまーす!!」


そう言って、元気よく箸を割り。

鰻に箸を入れた。


「うわ!柔らかい!私の知ってるのはもっとグニグニしてるやつですよ!!うわ、いい匂い・・・これが本物なんですね!!」


安い鰻も別に偽物ではないと思うけどね。


「わかったわかった、早く食べなよ」


「うん!!・・・あ~むぅ・・・む!・・・うふふふぅ・・・んんんん!!おいひぃ!!!これはおいしい!!!あむあむ・・・うぅぅぅぅ!!」


凄く美味しそうに食べてるマオちゃんを見てるだけで幸せになってきた。

俺も食べよう。


たしかに柔かい、箸が簡単に通る。

マオちゃんの言ってたように、安いやつはグニグニしてて、鰻がグニュって曲がるからな。

匂いも俺の知ってる鰻とは全然違う!甘く香ばしい、いい匂いがする。

よし!食うぞ!!


うめぇうめぇ、あ、米もうめぇなこれ。

口いっぱいに大きい鰻を入れても、まだあるという事に喜びを感じた。

俺もマオちゃんも喋る事なく、鰻を食べる事に集中していた。


______________


鰻を食べ終えた。

マオちゃんは残り三分の1といったところだな。

ニコニコしながらよく噛んで食べている。

俺もよく噛んで味わって食えばよかったな。


途中から何も考えてなかった気がする。


「特上!!特上たのんで!!!」


襖を勢いよく開けて、ほのかちゃんが飛び込んできた。

赤いダッフルコートを着て、首には水色のマフラーを巻いている。

迷彩柄のミニスカートを履き、黒のスト・・・いや、これはタイツっぽい。

いやわからん!タイツとストッキングの違いは、デニ・・・デニなんとかってやつの違いだってテレビで見た。


それは別にどっちでもいいか!!


「そろそろ来る頃だと思って、さっき頼んでおいたよ」


「わーお!!アキラ気が利くねぇ!!ちゅーしてやろうか?」


はいはい。


「んんぅ!?」


マオちゃんが喉をつまらせ、お茶を飲んでいる。

さすがにこれぐらいでは鼻血は出さないか。


「変な事言うなよ」


「うわ!今日もマオちゃんチチでけーな!!さわらしてー!」


指を小刻みに動かしてマオちゃんの胸に手を伸ばした。


「やっ!やぁぁん!」


マオちゃんが慌てて両手で胸を隠した。


「静かに御飯食わせてやれよ」


「わかってるようるせぇな!鰻が鼻血味になったら困るもんなぁ」


そう言いながら俺の隣に座ってきた。


「あっちいけよ」


「んだよ、人をばい菌扱いするな!・・・あ、おまえひょっとして、私に気があるのか?鰻食って精力ついたから、私とヤりたくなったんだろ?」


「ふぐぐっ!?」


マオちゃんが鼻を両手で押さえた。


「だいじょぶ!?」


「だ、だいじょぶです・・・出ませんでした・・・」


顔は真っ赤になってるが、鼻血ラインではなかったみたいだ。


「こら!変な事ばっか言ってると、鰻は俺が食うからな!!」


頭に軽くチョップを入れた。


「なんだよぉ・・・これぐらいでおこんなよぉ・・・むぅぅぅ」


口を膨らして拗ねるな。

可愛いからやめろ。


「失礼いたします、ご注文の・・・」


「きたきた!ほのかちゃんのが来たよ!」


あれ?無視された。

むくれたまま、俺の顔すら見ない。


店員さんがほのかちゃんの前に重箱と置いてくれたが、見向きもしない。


失礼しますと店員さんが出て行った。


「ほのかちゃん、食べないの?」


「・・・いらない」


「えぇ!?なんで?」


「・・・マオちゃんにあげる」


あれあれ?

なんか凄い拗ねてる。


「ほのかちゃん!凄く美味しいですよ!絶対食べた方がいいです!!」


「ほら、マオちゃんもあぁ言ってるよ」


「・・・じゃあ、食べさせてよ」


「はぁ?なんでだよ」


「じゃあいらない」


子供か!!

とは言えなかった。

余計拗ねそうだしな。


「わかったよ、食べさせてやるから、そんな拗ねるな」


重箱の蓋を俺が開けた。


「うわ!なんだこれやべぇ!!アキラ!さっさとくわせろ!!!」


機嫌直ったみたいだし、自分で食えよ・・・。

とか言ったらまた機嫌損ねるんだろうな。

ホント子供を相手にしてるような気がしてきた。


箸を割って、うなぎと御飯をつかみ。

ほのかちゃんの口へと運んだ。


「ふえぇ!!うめぇ!うめぇな!!なんだこれ!これは精力つくわぁ!!箸よこせ!」


俺の手から箸が奪い取られた。

美味しそうに物凄い勢いでパクついている。


「そんなに急いで食うなよ」


重箱と一緒に湯呑を持ってきてくれていたので、そこに茶をいれてやった。


「あむあむ・・・ありがと」


食べた物をお茶で流し込むかのように一気にお茶を飲んだ。

ちゃんと噛んで食ってんのかな?

お茶を再度入れた。


そういやコートもマフラーも脱いでないな。


「コート脱げよ」


「ん?脱がせて何をする気なのかなぁ?」


隙あらば俺をからかってくるなこの子は。

ちょっと黙らせるか。


「・・・わかってるだろ?」


ほのかちゃんの目をじっとみつめながらマフラーをはずしはじめた。


「え、うそ、まじ?・・・こんなとこで?」


おぉ、焦ってる焦ってる。

本気にしてるのか?


「おまえがその気にさせたんだろ?」


マフラーをはずし終えたので、今度はダッフルコートのボタンにかかってる紐をゆっくりはずしていった。


「あ、え、ちょ、まじで?・・・マオちゃん見てるよ?鼻血出しちゃうよ?」


あ、そうだった。

チラっとマオちゃんを見ると鼻を両手で押さえてこっちを真っ赤な顔で見ていた。


「じゃあやめるわ」


「えぇっ!?・・・おま・・・こらぁぁ!!乙女の純情をおちょくってんじゃねぇよ!!ころすぞ!!!」


頭を思い切り叩かれた。


「いてぇな!何が乙女の純情だ!!黙って鰻食ってろ!!」


「言われなくても食べますぅぅ!!ヴァーカ!!アホ!!!ハゲ!!!」


「ハゲてないわ!!!俺まだ二十歳だぞ!!」


「うっさい若ハゲ!!!」


「ハゲてねぇって!!!・・・・え?俺ハゲてんの??」


自分の頭を触って髪の毛をたしかめた。

ハゲてないと思う。

でも若ハゲって言われたし、やっぱハゲてんじゃないのか?


「マオちゃん、俺ハゲてないよね?」


頭を下げて見せた。


「だいじょぶです!黒々としてますよ!薄くもないです!!」


「それを聞いて安心した・・・おい!!ハゲてねぇぞ!!!」


「きゃはははは!!何マジ気にしてんの!!!きゃははは!!」


「男にとってハゲは究極の悪口なんだよ!!もう言うなよな!笑ってないで食え!!」


「え?そうなのぉ?・・・ごめんね、アキラはハゲてないし、すっごくかっこいいよ!」


急にそーいう事言うなよ。

照れるだろ。


「うっせ!!だから黙って食えよ!!」


「何照れてんのぉ?ふふふふ」


くっそ!!

腹立ってきたな!


「食わねーなら俺が食うぞ!!」


箸でほのかちゃんの重箱のうなぎをつっついた。


「うん!一緒に食べよ」


なっ、なんだよ。

何素直に受け入れてんだよ。

そんな素敵な笑みを俺に見せんじゃねぇよ!

可愛いじゃねぇか。

クソ、今のは物凄く可愛かった。


「どうしたの?食べよ?」


「おいやめろ、素直になるな」


「別にいーでしょ?食べさせてあげる」


なんだなんだ。

声色も変えやがって、俺の事からかってんだろどうせ。


「いーよ!!俺はいいから、マオちゃんにあげなよ」


「え!?・・・私もうお腹いっぱいです!」


いつのまにかマオちゃんも完食していた。


「お腹いっぱいだって、あーんして」


鰻の蒲焼だけを俺の口に持ってきた。


「やめろ、恥ずかしいからやめろ」


「俺が食うんじゃなかったのぉ?」


「食べさせろって意味じゃ!・・・あむぅ」


無理やり口にいれられた。


うまい。


「お二人はすごく仲良しですね」


ニコニコしながらマオちゃんがこっちを見ている。

恥ずかしい。

食べさせられたところを見られたのが恥ずかしい。


「仲良くないよ、だってほのかちゃんとはこの前話すようになったばかりで、まだそんなに・・・」


「んだよぉ・・・仲良くないとかいうなよぉ・・・そーいう事言われたら傷つくだろぉ・・・むぅぅ」


悲し気に口を膨らませて来た。

えぇ?傷ついちゃった?うそだろ?


「ごめん、そんなつもりなかった・・・ほらだって、ちゃんと話すようになったのこの前のクリスマスからだし!」


「そうだけどぉ・・・初めて会ったのはもっと前だろぉ・・・それなのに仲良くないとか言われたら悲しいじゃんか」


何泣きそうな顔してんだよ。

そんなつもりなかったとはいえ、傷つけたのは事実だ。

謝らなきゃ。


「ごめん、普通にごめん・・・じゃあ、友達になろう」


「じゃあってなんだよ・・・いいよべつに」


そう言ってまた口を膨らませた。


「ごめんごめん、じゃあじゃなくて、ほのかちゃんと友達になりたいよ」


「・・・やだ、アキラのアホ、バカ」


「そんな事いうなよ、ごめんね」


ほのかちゃんの頭を優しく撫でた。


「うぅぅ・・・やめろぉ・・・撫でるのは卑怯だぞぉ」


たしかに撫でればこうなると思って撫でた。

でも、拗ねてる表情が可愛くて撫でたくなったのもある。


「そうだね、卑怯だね、でも、可愛かったからしょうがないだろ?」


「可愛いとかいうなよぉ・・・う、うぅぅ・・・もういいよ・・・マオちゃんが見てる・・・恥ずかしいよ」


何て顔してんだよ。

顔どころか耳まで真っ赤にして。

ちょっと気持ちよさそうじゃん。


「友達になってくれる?そしたらやめる」


「やだぁ・・・ならないもん」


お、おい。

何甘えた声出して上目遣いでこっちみてんだよ。

やばい、やばいぞ。

凄く可愛い。

抱きしめたくなってきた・・・さすがにそれは我慢しよう。


「・・・あつくなってきた」


ほのかちゃんがダッフルコートを脱ぎ始めた。

中には紺色のセーターを着ていた。

ほのかちゃんもそれなりに胸あるよな。


おいおい、女の子の胸見るのクセになってるな。

まずいクセついちゃったなぁ。


「んぅ?胸見てんの?やらしー」


これはからかわれても仕方ないな。


「見てないよ・・・ごめん、見ました」


視線で完全にばれてると思い、すぐに訂正して謝った。


「中も見せてあげよっか?」


やめろ、何うっとりしてんだ。

いつもの顔して言えよ!!


「うぷぅぅ」


マオちゃんが小さく呻いて片手で鼻を押さえてる。

もう一方の手でリュックから箱ティッシュを取り出した。


「やめろって、マオちゃんが鼻血だしちゃっただろ」


「アキラは出さないの?・・・私の胸じゃ興奮しない?」


自ら両手で胸をつかんで押し上げるような感じで強調して見せて来た。

やめろやめろ、何考えてんだよこんなとこで。


「わぷぷ」


マオちゃんが鼻に紙を押さえた、みるみるうちに一部分が赤く染まっていく。


「やめろって、マオちゃんが出血多量で倒れちゃうぞ」


「アキラも鼻血出したらやめる」


「無理いうな・・・出てないけど出そうだよ・・・それぐらいドキドキしてるからそれで勘弁してくれ」


そうだ。

俺は今凄くドキドキしてる。

顔が熱い。

ほのかちゃんの胸が気になってしょうがない。

鰻のせい?いやいや、これは俺がただスケベなだけだ。

鰻は悪くない。


「ねぇアキラ、私も仲間に入れてよ・・・あかりちゃんとおねーちゃん、そして私で、みんなで抱き合いながら一緒に寝たりとか今度しよ?」


「こら!マオちゃんの前でそーいう事いうな!!」


「いーじゃん別に、マオちゃんは友達だし、いずれバレることでしょ?」


「そうかもしれないけど、話すの早いって!」


マオちゃんを見ると、よくわからないといった感じの表情をしている。

鼻血はどうやら止まったようだ。


「マオちゃん聞いて~アキラね、ハーレム作ろうとしてるんだよ!」


「おいっ!誤解を招くような事いうなっ!俺達の関係はそーいうんじゃない!!もっとまじめなお付き合いだから!!」


「はーれむ?・・・それは、どーいう事ですか?」


あーあ、興味もたれちゃった。

14歳に話しても理解してくれるだろうか?


「あのね~アキラね~彼女が二人いるんだよぉ」


「え?・・・それって・・・浮気してるってことですか?」


驚いたような、悲しんでるような、なんとも複雑な表情をされた。


「んーん違うよ、二人とも彼女なの」


「え?え?え?」


そんな説明じゃわからないだろ。

物凄く混乱した顔してるじゃん。


「マオちゃんにはまだ難しい話かもしれないけど、彼女っていうかね、俺には凄く仲良しな女の子が二人いてね、どっちとも仲良しでいたいから、3人で仲良くしようねって事になったの」


「・・・よくわかりません」


少し眉をひそめ、首を傾げられた。

そりゃそうだよな。

14歳に理解できるわけない。


「うんうん、難しい話だよね・・・簡単に言うと、凄く仲の良い女友達が二人いるって思ってくれればいいから」


「あれ?わたしはー?」


「まてまて、ほのかちゃんはそーいうのじゃない」


「むぅぅぅ!そーいうのじゃないって何!」


またむくれてるし。


「今さっき友達になったばかりだろ?」


「友達になるなんて言ってませーん!」


あれ?そうだっけ。


「アキラさん、一つ聞いてもいいですか?」


「あ、はい、どうぞ」


凄く神妙な面持ちのマオちゃんの顔を見たら、こっちまで変に緊張してきた。


「その方たちはひょっとして・・・」


鼻を紙で押さえだした。


「・・・セフレとかいうやつですか?・・・うっ」


紙の一部分が赤に染まった。

マオちゃんの顔が真っ赤だ。

とっても恥ずかしそう。


「違う違う!!俺達はそーいうのじゃないんだ!!何にもしてない!そーいう事は全くしてない関係だよ?」


しかけた事はあったけど。

あれはしてないって事で良いよな?


「・・・やっぱりよくわかりません・・・」


マオちゃんが眉をひそめ、鼻に丸めた紙を詰め込みながら顔を強張らせ、かなり強く不快感を露わにした。


「マオちゃんはまだ子供だから、もう少し大きくなれば理解できるように・・・」


「・・・子供扱いしないでください」


静かな声で睨まれた。

こーいう言い方はよくなかったな。


「ごめん、言い方が悪かった・・・俺達って凄く複雑な関係で、上手く説明できなくてごめんよ・・・とにかく、マオちゃんが考えてるような事は何もないから!」


「・・・でも彼女なんですか?」


「ま、まぁ一応」


「・・・変ですよそれ、そーいうのって彼女って言わないと思います」


「そそ!マオちゃんの言う通り!こいつアッタマおかしいの!!」


そう言いながらうな重を美味しそうにモグモグ食べている。


「・・・ごめんなさい、事情もよく知らないのに変とか言ったりして・・・」


マオちゃんが申し訳なさそうにうつむいてしまった。


「気にひないで実際ふぇんだからしょうがないよ!わらひだって理解するのに結構時間かかったからね」


「呑み込んでから喋れ」


湯呑を持って差し出すと、それ受け取った。


「ごくっ・・・それが今じゃ、私もその中に入りたいとか思っちゃったりしてるワケよ~・・・自分で言うのもなんだけど、私も頭おかしくなっちゃったのかなぁ・・・ていうか、誰かさんにおかしくされちゃった」


そう言って俺をみつめてきた。


「ねぇアキラ、私アキラの事好きになっちゃったかも」


「うぇ!?・・・急に何言ってんだよ」


びびるわホント。

突然すぎるだろ。


「・・・だってさぁ、クリスマスの日以来、アキラの事いっつも考えてるし・・・今だってこうして隣に座ってるだけでもすっごいドキドキしてるし・・・やばっ、私キモイ事言ってる!・・・はずい」


そう言って俺と真逆の方向を向いた。

かと思うと、少しだけコチラに向きなおし、頬を赤くしながら俺を見た。

かと思うとすぐに視線をはずした。

かと思うとまた俺を見て、軽く笑みを浮かべた。


なんなんだよぉ!!!


すげぇ可愛いからやめろよそれ。

マジか、こんなにわかりやすい視線を送られたら、妙に意識してしまう。


「わたしさぁ・・・こんな風に誰かを想う事って初めなんだよねぇ・・・だからこれが恋とかそーいう気持ちなのかよくわかんないの・・・ねぇマオちゃん、マオちゃんは恋したことある?」


「へっ!?・・・えっと・・・あり、ますぅ」


手を組んで人差し指をくるくる回し始めた。

14歳にもなればそりゃ恋のひとつやふたつしてるよな。


「えっまじで!?・・・それって今してる恋なの?」


「は、はいぃ・・・今してますぅ・・・」


うつむき加減で瞬きを素早く繰り返し、回していた人差し指で擦り合わし始めた。


「年上?下?」


「・・・としうえぇ」


「ほうほう!・・・マオちゃんひょっとして・・・」


ほのかちゃんが身を乗り出してマオちゃんの方を見つめ出した。


「へっ・・・ちちち、違いますよ!!」


慌てて動揺し、両手を振り始めた。


「まだ何も言ってないよ?・・・マオちゃん援助交際とかしてないよね?」


「ぷふぅ!!」


マオちゃんの鼻の穴に入ってた紙が吹っ飛んでいった。


「してませんよ!」


少し怒った顔で鼻の穴両方に紙をつめだした。

両方から出ちゃってるんだ・・・。


「ごめんごめん、いやほらマオちゃんの年頃ってそーいうのあるでしょ?援助交際から始まったお付き合いが、いつのまにか恋になってたり・・・」


言いたい事はなんとなくわかるが、それはないんじゃないのか?


「私がマオちゃんぐらいの歳だった時には、そーいう子まわりにたくさんいたからさぁ・・・相手はそんな目で見てないからやめとけって言っても恋は盲目って感じで、言う事全然きかないの・・・まぁこの話は置いといて・・・」


実際いるんだそんな子。

いろんなことに興味津々な年頃だしなぁ。

何か凄い遠い過去のような感じで話してるけど、ほんといくつなんだよほのかちゃん。


「その人の事考えるとどんな感じになる?」


「え・・・うぅ・・・どきどきします」


「いっつも考えちゃったりしてる?」


「・・・考えすぎて昨日は全然眠れませんでした」


「わお!一緒一緒!!私も昨日全然寝てないの!!ねぇ!責任取って一緒に寝てよ!!」


服を掴まれ、ひっぱられた。


「別に一緒に寝なくていいだろ・・・」


「なんでよっ!・・・このあとホテルいく?」


「うぅぅ!!」


マオちゃんが呻いて、鼻につめていた紙が真っ赤に染まった。


「マオちゃん違う違う!変な事考えすぎぃ~」


「・・・かんがえてないですぅ」


とは言ったが、鼻血を出すって事はそれなりに想像しちゃったんだな。


「マオちゃんが考えてるような事はしないで、ただ寝るだけ、それならいいでしょ?」


「・・・いいわけないだろ・・・ほのかちゃんホントに寝るだけで済む?俺だって男だし、ほのかちゃんみたいな可愛い子に迫られたら、色々まずい事になっちゃうよ」


「ヴぁっ!ヴァカッ!!」


頭を思い切り叩かれた。

今までで一番痛いわ。


「私の事そーいう目でみてんの?すぐにやっちゃうような女だと思ってんの?」


怒ってるような、悲しんでるような、なんともいえない表情をされた。

今のはよくない発言だったか。

でもこの前裸で迫ってきたじゃないですか、それを言いたかったが、マオちゃんの前で言えば誤解と鼻血がやばい。


「思ってるよ、そう思われるような事をこの前してきたでしょ?」


直接的な言葉を避けた。

俺の言葉になんともバツが悪そうな顔をした。


「・・・あの時はなんか気持ちが高ぶっちゃって・・・でもアキラ凄く優しくしてくれて・・・あんな事されたら・・・ね?」


誤解されるような言い方してこっちを見つめてくるな。

マオちゃんの方を見ると特に慌てた様子はない。

誤解されずに済んだようだ。


「あの時何もしなくてよかった、アキラが拒否ってくれてホントによかった・・・もしあの時えっちしちゃってたら、今頃後悔してたと思う」


「はぷぅっ!」


直接的な言葉にマオちゃんの鼻の穴から紙が吹き飛んだ。

そしてすぐに鼻に紙をつめこんだ。

よくみると丸めた紙を何個が握りしめている、用意がいいな。


「あんな事もうしないから・・・私の事、もっとちゃんと見てほしぃ・・・淫乱って思われるのなんかヤダ」


伏し目がちに淫乱とかいうな。

マオちゃんが何も反応してない。

もしかして淫乱って言葉の意味がわからない?

それとも、鼻血ラインに達しなかっただけか?


「ねぇ私の話ちゃんと聞いてる?」


「ちゃんと聞いてるよ、わかったよ、ほのかちゃんの事そんな目で見ないよ、その代わり、今後一切俺をからかわない事」


「それはむりぃ~」


くそぅ、可愛い笑みを浮かべやがって。

別にそれはいいやって思っちゃう。


「じゃあせめて頻度を減らせ、ほのかちゃんは俺の事をからかいすぎだぞ!」


「しゃーねぇな!!・・・その代わり、こっちも条件を出す!!」


なんでだよ!話がおかしいだろ!!

見ない代わりに頻度を減らせって事なんだけど。

まぁいいや、それより条件が気になったのでスルーしよう。


「なんだよ」


「あ、あのさ・・・わ、わたし・・・わたしのこと・・・」


頬を染め、潤んだ瞳でじっと俺を見つめて来た。


「・・・好きになってください」


震える声でそう言われ、俺の胸が締め付けられた。

まさかそんな事をお願いされるとは思ってもいなかった。

なって「ください」ってなんだよ・・・。


「だめぇ?」


涙声だし、今にも泣き出しそうな表情で俺の事をじっと見ている。

やべぇなこれ。

いいのかこんな事。


色々まずくないか?

俺はあかりちゃんが好きだ。

恋愛的な意味じゃないけどやすちゃんも好きだ。


それに加えて、ほのかちゃんの事まで好きになってしまったら・・・。


いやもう手遅れだ。


この子の事好きだ。

我ながら超スピードで好きになってしまったな。


でもなんだろうこの気持ち。

やすなちゃんを想う気持ちに近い?

またそれか。


姉妹そろってこのわからない感情を抱いてしまったのか俺は。


「ほのかちゃん、俺はあかりちゃんが好きだ」


「うん、わかってる」


「俺はダメな男だ、そのせいであかりちゃんや、君たち姉妹を苦しめてしまった事もあった、それは君自身よくわかってるよね?そんな男を好きになっちゃダメだと思う」


「なんでだめなのぉ?・・・おねぇちゃんは良いのに、私はダメなのぉ?」


目に涙を浮かべられた。


「ほのかちゃんはそれでいいの?俺はあかりちゃんが好きなんだよ?・・・辛い事にならない?」


「だからさっき頭おかしくなったって言ったじゃん・・・そーいう部分も含めて、ちゃんと理解して、私はそれでもいいかなって思っちゃったの・・・だからさっき仲間に入れてってお願いしたんだよ?」


そうか。

だったらいいのか?

しかし、ほかの二人は何て言うだろうか。


「とりあえず、ほかの二人にまず相談してから・・・」


「あ、それならもう大丈夫、私がこーいう気持ちだって、おねぇちゃんに昨日話したから、今頃はもうあかりちゃんの耳にも入ってる頃だと思うよ」


「えぇ・・・やすなちゃんは何て言ってたの?」


「びっくりはしてたけど・・・その気持ちはよくわかるって言ってくれた・・・で!私の事好きになってくれるの?くれないの??」


あれ?俺がこーいう話をしだした時点で、そーいう気持ちを持ってるって事理解してないんだ。

ちゃんと言わなきゃだめかなぁ。


「さっき好きになったよ」


「うぇぇ!?さっきっていつ!?」


そんな驚かなくても。


「好きになってくださいって言われたあたり」


「わ!やった!!・・・がんばって言ってよかったぁ・・・じゃ、好き同士って事で、さっそくこの後ホテルでえっちする?」


はいはい、いつもの表情してるから、からかってるってわかるよ。

からかう頻度減らせって言ってるのにこれだもんな。


「ほのかちゃん!そんなのだめですよ!!よくないですそーいうの!!」


え?

あ、そうか。

マオちゃんにはこれが冗談で言ってるってわからないんだ。


「それって・・・せ、せふ、せふれですよ!!だめですそんなのっ!!」


鼻につめ込んだ紙が赤く染まっていき、すぐにそれを新しい紙に詰め替えるマオちゃん。


「マオちゃんうそうそ!しないしない!冗談だから」


少し慌てた様子でほのかちゃんが両手を振った。


「えっ・・・冗談?・・・冗談でそんな事言っちゃダメですよ!!・・・私には難しい事はよくわかりませんが・・・ほのかちゃんの真剣な好きって気持ちはよくわかりました!!だからこそ、そーいう事は冗談で言っちゃだめなんです!!」


怒ってる。

そんなに怒る事かな?

まぁでも、こうやって怒ってくれる人でもいなきゃ、俺をからかう事やめてくれないよな。


「いいぞいいぞ!マオちゃんもっと言ってやれ!」


「えっ・・あっ・・・ごめんなさい!!私こんな偉そうな事言うつもりじゃ・・・ほのかちゃんが凄く真剣に告白してたから・・・だから・・・もっとまじめに付き合ってほしぃなって思って・・・」


あぁなるほど。

友達として心配してくれてたわけか。

やっぱこの子良い子だな。


「マオちゃーん!私の事心配してくれたんだぁ!!・・・いいこだねぇ!!」


ほのかちゃんが立ち上がって、マオちゃんの側へ行き、寄り添った。


「ひゃっ!」


「いいこいいこしてあげるぅ~!いいこいいこ!」


物凄い勢いで頭を撫で始めた。


「やっやめっ・・・あっめがね!!」


眼鏡がほのちゃんの手にぶつかってテーブルの下の掘りごたつ空間に落ちてしまった。

それを取ろうとするが、ほのかちゃんに邪魔されて取れないでいた。


「俺が取るよ」


テーブルの下に頭をつっこんで、落ちたメガネに手を伸ばした。

も、もうすこし・・。


「いやあああんっ!!」


「ほれほれ、いいチチしとんなぁねーちゃん」


何やってんだよもう。

声だけでその光景が目に浮かぶ。


ん?

マオちゃんが物凄く足をバタつかせたのつい見てしまった。

黒いスカートがおもいきりずり上がってしまっており、その足の間から黒いストッキングに透けた、白い下着をモロに見てしまった。


あーあーあー。


見ちゃダメだ。

眼鏡をとらなきゃ。


よし、取れた。


「暴れる子にはおしおきしちゃうぞぉ!!さわさわ~」


「やっ・・・あうぅ・・・はうぅぅ・・・うっぷ」


「わわわ・・・ごめん!やりすぎました!!」


テーブルの下から頭を出すと、真っ赤になって胸を両手で隠すマオちゃんの鼻に詰めた紙から、少し血がしたたって唇に少し垂れていた。

そして、同じく顔が真っ赤になり、なぜかお手上げポーズをしているほのかちゃんが目に入った。


どこさわったんだよ。


それより。


「ほのかちゃん!!鼻血鼻血!!」


「あ、うん!!」


ほのかちゃんがマオちゃんの鼻の穴の紙を詰め替えた。

そして、唇についた血を拭きはじめた。


「ほのかちゃん・・・女の子同士でこーいうことしたらダメだと思います・・・」


「はい、ごめんなさい」


あれ?やけに素直だな。

反省してるような表情してるし。


「ダメですけど・・・えい」


なんと、マオちゃんがほのかちゃんの胸を人差し指でつついた。


「おかえしです」


「マオちゃん!いいよ!!もっと突っついて!!」


ほのかちゃんがマオちゃんに向かって胸を突き出した。


「もうしません!!今のはやり返しただけです!」


「つまりもっとやればやってくれるって事!?」


「やりません!!もぉ触っちゃだめです!!」


マオちゃんがコートを取って、胸を隠した。


「むむむ、今日のところは諦めてやろう・・・だが、そのチチがある限り、私の指からは逃れられないぞ!」


そう言って俺の隣に戻ってきた。

なんだよそのセリフ。


「あ、そうだ、眼鏡」


マオちゃんに眼鏡を差し出した。


「ありがとうございます」


それを受け取ってかけた。

が。

微妙にフレームが歪んでいいる。

違和感からか、メガネを外した。


「ごめんねマオちゃん!弁償します!!」


さすがに大慌てなほのかちゃん。


「いえ、この眼鏡そろそろ買い換えようかなって思ってた所なんです、なのでいいですよ」


なんと心の広い優しい子なんだ。

眼鏡を壊された相手に微笑みかけるなんて。


「ねぇマオちゃん!コンタクトにしなよっ!その方が絶対可愛いって!!」


「・・・うーん、どうしよう・・・あれを入れるのって怖いんですよね」


「だいじょぶだいじょぶ!!怖いのは最初だけだって!!」


「ほのかちゃんコンタクト入れた事あんの?」


「ないよ!でも大丈夫だって!」


ないのかよ。


「わかりました、今日で眼鏡を卒業します!!」


「やったー!!」


両手をあげて喜ぶほのかちゃん。


「なので、これから眼科に行かないといけません!今行かないと、明日からその病院お休みになっちゃうので」


年末年始の休みか。


「じゃ、そろそろ出ようか」


俺達は店を出た。


_________________



「アキラさん!美味しい鰻、ごちそうさまでした!このお礼は必ずしますので」


「いいよいいよ、気にしなくていいから」


「いいえ、必ずします!」


表情から察するに意志は固そうだ。


「うん、わかったよ」


頭を撫で、そうになったが堪えた。

代わりにほのかちゃんの頭を撫でた。


「ふぇ・・・なにぃ?・・・何で撫でるのぅ」


「マオちゃんが良い子だから、マオちゃんは鼻血出しまくってるし、これ以上出させるわけにはいかないからね」


「なにそれぇ・・・代わりに撫でられてもうれしくないよぉ・・・」


とは言ってるが、嬉しそうな顔をしている。


「じゃあ代わりに私がなでるー!ほら!流れてるから!私の頭を伝って流れてるから!」


そう言ってマオちゃんの頭を優しく撫でるほのかちゃん。

何が流れてるのかわからないが、言いたい事はなんとなくわかった。


「ありがとうほのかちゃん!いっぱい流れてきました!!」


何か流れたらしい。


「それでは、眼科にいってきます!」


「うん、またね」


「マオちゃんまたねぇ~」


俺もほのかちゃんも手を振った。


「あ、はい!またね!!」


嬉しそうに手を振り返してくれた。

マオちゃんと別れた。


「あっ!またちゅーするの忘れたぁ・・・チチしか目に入ってなかったよぉ・・・」


その気持ちはわかる。


「ほのかちゃん、これからどうする?」


「アキラとデートしたい!!」


「デートって・・・どっか行きたいとこある?」


「うーん・・・アキラと一緒ならどこでもいい」


可愛い事言うなよ。


「どこでもいいんだな?じゃあほて・・・」


じゃあホテル行くか!っていう冗談を言おうとしたが。



:そーいう事は冗談で言っちゃだめなんです!!:



というマオちゃんの言葉が脳裏をよぎったのでやめた。


「・・・火照るぐらいの運動をしよう!!・・・卓球とかボーリングとかビリヤードとか出来るとこあるからそこ行こっか」


「ウン!いくいく!!」



そのあと、いろいろなスポーツで対決してみたが、見事に全敗した。

ほのかちゃんは運動神経がとてもよく、何をやってもうまかった。


初めてやったというビリヤードでは、すぐにコツをつかんで穴にポンポン弾が入るようになった。





入るたびに喜ぶ無邪気な笑顔を見ていると、なんだかこっちまで嬉しくなった。


その笑顔がやすなちゃんと瓜二つだった。








やすなちゃんに会いたくなってきちゃったよ。





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