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あの後俺たちは連絡先を交換しあい 次の日遊ぶ事となった
そして俺達はファーストフード店に来て食事をとっていた
「あ、やっぱり漢字一緒だったんだ~」
なんという偶然だろう 俺の名前の漢字が明であかりちゃんの本名は明で漢字が同じだった
明ということで明かり(あかり)という名前にしたと教えてくれた
「じゃあめいちゃんって呼んだ方が良いかな?」
「だめ!あかりのほうが魔法少女っぽい!魔法少女めい!魔法少女あかり!ほら!」
違いがよくわからなかった どちらもそれっぽいんだけど
「ねぇさっきから聞こえるあの音って何だと思う?」
さっきから聞こえる音といえばあのポテトが揚がったお知らせ音の事なんだろうけど
あかりちゃんの目が俺に何かを期待していた
「俺のレベルがあがった音だな」
「ふふふ、アキラくんて今レベルいくつなの?」
「99だったけど、この限界突破の実を食べたから106ぐらいにはなってるはずだぜ」
ハンバーガーを食べながらドヤ顔でそう言った
「あははっすごい!もう魔王なんて余裕で倒せるでしょそれ」
「それがさぁ~アイツ今どこにいるかわからんのだよ~居場所わかんなきゃ倒せるもんも倒せんなぁ」
「そうなんだぁ~なにか手かがりとかないの?」
「酒場で聞いた話だと、サーカスっていうゲームセンターで魔王を見たって話を聞いたな」
「えっ!魔王ってゲームするの!」
このあとゲームセンターにでも行こうって意味で言ったんだけど そう解釈されると何か面白いな
「サーカスには精霊がたくさんいるんだ、それを捕まえて部屋に飾って鑑賞する趣味があるらしい」
精霊とはゲーセンにあるぬいぐるみとかその他諸々の景品のつもりで言った
「精霊!わたしの欲しかった召喚獣とかもいるかもしれない!早く行こうよ!」
まわりから見ればアホな会話にしか聞こえないだろうけど 俺たちは楽しかった
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「うーん!ケットシーが私の声に耳を傾けてくれない!」
あかりちゃんがさっきからキャッチャーゲームでケットシー(猫のぬいぐるみ)を取れないでいた
俺が取ってあげようか?と聞いてみたけど自分で契約しないと意味ないと言っていた
今日も白い猫のイラストがプリントされた半袖黒Tシャツを着ている事から察するに猫好きなんだな
シャツのサイズがかなり大きめではいているデニムの短パンが少しだけ見えた状態になっている
背中には小さめの黒いリュックを背負っていた
黒色のニーソから見える絶対領域に目を奪われた だが、あまり見てるのはよくないと思い目を逸らした
あまりにも失敗するので店員さんが来て取れやすい位置に場所移動してくれた
「と~れたっ!契約完了!」
ニコニコしながらぬいぐるみを抱く姿がとても可愛く見えた
次に俺たちは卓球をやってみる事にした
今まで卓球を数回しかやったことがなかったけど
あかりちゃんは俺の打つ球を全く返せないでいた
見ていてすぐにわかった、ラケットを振るタイミングが遅すぎる
動体視力も反射神経も悪いみたいだ
「ん~!なんでぇ!手加減してよぉ!」
すでに手加減してるんだけどな
「ほかのやつやる?」
「んー!やらない!私が勝つまでやる!」
あかりちゃんが駄々をこねはじめた なんとかしてあかりちゃんを勝たせないとダメみたいだ
「もうちょっと早く振ってみてよ」
俺はそう言って球を打った
「ふんっ!」
あかりちゃんが気合の入った掛け声を出し、俺の言った通り早く振ったけど、球が来る前に振ったのでラケットにはあたらなかった
「早すぎる!ちゃんと球見て!」
「見てるよぉ!むむむむ」
かなりイライラしているご様子だ
「そうだ!そっちの世界のルールでやってるから勝てないんだよ!私の世界のルールでやろ?」
「私の世界のルールって?」
俺がそう聞くと あかりちゃんはラケットに球をのせて上にコンコンを弾き始めた
「これ!どっちが長く続けられるか勝負だよ!」
「わかった!」
二人並んでの勝負が始まった
単純な動作だけど長く続けようとすると案外難しいな
自分で提案したぐらいなのだから自信があったのだろう
あかりちゃんも全然球を落とさない
お互い真剣だ、わざと負けようかと思ってたけど 勝ちたくなってきたぞ
「う~腕いたい!しんどくなってきたぁ~ あぁっ!よっと!」
あかりちゃんが一瞬球を落としそうになった
俺も結構しんどくなってきたぞ これはもう技術どうこうより体力勝負だな
「えいっ」
「うわぁっ!」
突然あかりちゃんが俺のお腹を軽く押してきた
球を落としそうになったが何とか堪えた
「妨害ありなの?」
「ありあり!じゃないと終わんないよコレ!」
たしかにそうだな
かといってあかりちゃんの体に触るのはどうだろうなぁ
再び妨害しようとあかりちゃんの腕が伸びてきたのでそれを手で防御した
難しい!難しいぞこれ!防御しつつ球を弾く事に集中するのが難しい
「あっ、あはは!うふふっ!ふふふっ」
その攻防を楽しんで笑っているあかりちゃんを見ていると俺も楽しくなってきた
「とった!」
あかりちゃんに手を思いっきりつかまれ握りしめられた
指と指が絡み合ったつなぎたかに一瞬ドキっとしてしまったが 今はそれどころではない
あかりちゃんが手に体重をかけて押してきた 俺も負けじと押し返した 結構力強いな
互いに額から汗が吹き出してきている
俺は手の力を一気に抜いた
「わぁっ!」
その拍子にあかりちゃんがバランスを崩し、何とか球弾きを継続させようと無理な体勢を取ったため
コケそうになったあかりちゃんの体を俺はラケットから手を放して抱きかかえるように支えた
落ちたラケットから音がした あかりちゃんもラケットを落とした
あかりちゃんの少し荒い息遣いが聞こえ、俺は今の状況を把握した
抱きしめてはいないものの、かなりあかりちゃんと密着した状態になっている
「あっごめん!だいじょうぶ?」
俺は慌てて離れた
あかりちゃんの顔が赤い そして鼻息も荒い
「ふぅふぅ・・・ねぇこれ、どっちが勝ったの?」
「えっ?あぁ・・・俺が先にラケットから手を放したから俺の負けかな?」
「や、やった!勝った!ふぅ~でも疲れたよぉ~ちょっと休憩」
近くにあった長椅子にあかりちゃんが座ったので、少し間を空けて俺も座った
思った以上に俺も疲れた 壁にかけられた時計を眺めると午後4時21分だった
そういえばあかりちゃんが五時からメイド喫茶のバイトの面接があるといっていたな
メイド喫茶にはお客と連絡先を交換してはいけないというルールがあるらしく
別にバレてもいないのに自己申告してバイトをやめたと言っていた 結構律儀だな
突然左目の視界が遮られた これは・・・ハンカチ?
あかりちゃんが俺の額の汗をハンカチで拭いてくれていた
「あ、ありがと」
こんな事女の子にされたことがなかったのでドキドキした
「楽しかったね!またやろうね!」
「あ、うん!でもしばらくはいいかな」
そうだね、と言ってあかりちゃんが笑った
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面接するメイド喫茶の前まで来た
「それじゃギルド試験に行ってくるね!」
「うん、それじゃまたね」
俺は軽く手をふった
「えっ」
あかりちゃんがちょっと驚いたような顔をした
「待っててくれないのぉ?」
あかりちゃんが寂しそうな顔をした
「あぁ、別に待っててもいいけど」
「うん!たぶんすぐ終わると思うから!それじゃっ!」
あかりちゃんがそう言って行ってしまった
俺は携帯ゲームをやって時間をつぶすことにした
メイド喫茶の中から聞き覚えのあるアニソンの曲が小さく漏れて聞こえる
誰かが歌ってるような感じだ
「ちょっといいですかぁ?」
女の子の声 俺は携帯の画面から顔をあげると
そこにはメイド服を着た金髪碧眼ロングストレートのロリ美少女がいた 身長ちっせぇなおい
ここの店で働いてる子かな? 働いてるって事は見た目以上の年齢だよな ぱっと見中学生にしか見えないな
「こちら割引券になりますぅ~どうぞ」
差し出された割引券を受け取った
「今ちょうど金髪メイドコス、アニソンカラオケ大会をやっています!もしよかったらどうですか?」
だからそーいう見た目してるのか
「えっと、人を待ってるんでごめんね」
店内にもこんな可愛い子がいっぱいいるのかな?
と入りたい衝動に一瞬駆られたが仕方ないので断った
「あらら残念、ではまたの機会にでも」
そう言ってロリメイドさんは別の男の人に話しかけに行った
待ってる間そのロリメイドさんを見ていると話しかける人全員がどんどん店内に引き込まれて行った
物凄い勧誘率の高さだな まぁあの見た目で誘われたら用事でもない限り断りにくいかもな
数分後
「やったよアキラくん!ギルド試験に一発合格してきたよ!」
「おぉ~やったね!」
ほんとにすぐ終わったな あかりちゃん可愛いし愛想もいいから即決だったんだな
「じゃあお祝いに夕ご飯おごってあげるよ!何食べたい?」
「えぇ!どうしっよかなぁ~う~ん・・・あっ!ここの人ですか?」
気付くと側にさっきのロリメイドさんがいた
「そうですよぉ」
「私明日からここで働く事になったので・・・よろしくお願いします!」
「あぁうんよろしくねぇ~・・・ところで~」
ロリメイドさんが俺をチラっと見た
「彼氏?」
「あっ!ちがいます!友達です!」
「そっか、違うんだぁ~それじゃ、また明日ねぇ~」
ロリメイドさんは手を振って店内に入っていった
「ねぇアキラくん!ここ、チムメン衣装も可愛いし、ギルド報酬もかなりいいよ!やる気でてきたぁ!」
あかりちゃんは物凄く気合が入ってるみたいだ
「ところで食べたい物は決まった?」
「あっ・・・・えっとねぇ~お米!お米が食べたい!」
「米かぁ・・・丼・・・あっ!うな重とかどう?」
「えっ!いいの!」
「いいよいいよ、明日はギルドクエストでたくさん魔法使いそうじゃない?スタミ・・・じゃなくて、魔力をたくさん貯め込んでおかないとね?」
あかりちゃんの表情がパァっと明るくなり、満面の笑みを見せてくれた
「嬉しい!ありがとう!ほんとにほんとに凄く嬉しい!」
うなぎ好きだったのかな?そこまで喜ばなくても
「うなぎぐらいで大袈裟だよ」
「違うよ!うなぎも嬉しいけど・・・私ホントに魔法少女なんだ!って思えてきたら嬉しくなってきちゃって」
中二病のごっこ遊びのようなものかもしれないけど あかりちゃんを見ているとそれ以上の何かを感じた
現実世界でみれば、妄想癖のある危ない少女に見られるのかもしれない
でも俺にとっては純粋で可愛い黒髪ツインテメイド、魔法少女あかりちゃんなのだから