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未来予想Zu

赤い糸

作者: さきら天悟
掲載日:2016/11/15

ある日、赤い糸が垂れていた。

細い糸だった。

深紅というより、朱色がかっている。

背景の青によく映えている。


指で摘まもうとする。

赤い糸はよれはするが摘まめない。

糸を指で払おうとするが、赤い糸は元の位置に戻った。


今度は、赤い糸に沿って、上から下へ指で擦ってみる。

もう一度、もう一度。

すると、糸は下に届いた。

さらに指で擦ってみる。

上から下へと。

手繰り寄せた糸は、下でとぐろをまいた。


翌日もまた、赤い糸を擦った。

指で上から下へと。


7日目に自分が現れた。

俺は糸の中間に、

その下に何人もの男らが赤い糸にぶら下がっていた。

これは、蜘蛛の糸なのか。

俺はさらに赤い糸を擦った。



次の日、天の声が届いた。

俺はそれに答える。

それは、心に閉じ込めて置きたい質問だった。

「3人・・・」

俺は言葉少なく応じる。

その後、いくつかの質問に答える。

でもどうやら、第一関門は突破したらしい。

さらに赤い糸を上から下へと擦った。


5日後の事だった。

その日も、擦った。

すると、天井が見えた。

糸が垂れている部分が明るかった。

俺はさらに擦ってみた。

えッ?

糸が揺れた。

下にぶら下がっていた男らが暴れ出した。

その瞬間だった。

プッツン、という音はしなかったが、糸は切れた。

俺はゆっくり下へ落ちていく。

画面がスクロールし、これまで登って来た背景が逆行する。

俺は、先に落ちた男どもの上にのり、天を見つめていた。


「あ~、あと3人だったのに~」


俺は、俺を落とした理由を見た。

『浮気は許しません』

俺は顔をしかめた。

そう言えば、昨日他の女性のプロフィールを検索してしまった。

アプリの機能によってバレてしまったようだ。


「また、最初から~」


これは、出会い系アプリ『赤い糸』またの名を『蜘蛛の糸』。

ぶら下がっている男らは、その女性にエントリーしている男らで、

女性は一日一人男の糸を切っていく。

途中の第一関門を通過すると、やり取りができるのだ。

ほぼ相手からの一方的な質問だが。

3人と答えたのは経験した女性の人数だった。

そして、最後に残った男が女性をゲットできるのだった。



俺は隣の男をこっそりのぞいた。

左手につり革、右手にスマホ。

男はニュースサイトを開いていたが、

中心には赤い糸が垂れていた。

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