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未来予想Zu

赤い糸

作者: さきら天悟

ある日、赤い糸が垂れていた。

細い糸だった。

深紅というより、朱色がかっている。

背景の青によく映えている。


指で摘まもうとする。

赤い糸はよれはするが摘まめない。

糸を指で払おうとするが、赤い糸は元の位置に戻った。


今度は、赤い糸に沿って、上から下へ指で擦ってみる。

もう一度、もう一度。

すると、糸は下に届いた。

さらに指で擦ってみる。

上から下へと。

手繰り寄せた糸は、下でとぐろをまいた。


翌日もまた、赤い糸を擦った。

指で上から下へと。


7日目に自分が現れた。

俺は糸の中間に、

その下に何人もの男らが赤い糸にぶら下がっていた。

これは、蜘蛛の糸なのか。

俺はさらに赤い糸を擦った。



次の日、天の声が届いた。

俺はそれに答える。

それは、心に閉じ込めて置きたい質問だった。

「3人・・・」

俺は言葉少なく応じる。

その後、いくつかの質問に答える。

でもどうやら、第一関門は突破したらしい。

さらに赤い糸を上から下へと擦った。


5日後の事だった。

その日も、擦った。

すると、天井が見えた。

糸が垂れている部分が明るかった。

俺はさらに擦ってみた。

えッ?

糸が揺れた。

下にぶら下がっていた男らが暴れ出した。

その瞬間だった。

プッツン、という音はしなかったが、糸は切れた。

俺はゆっくり下へ落ちていく。

画面がスクロールし、これまで登って来た背景が逆行する。

俺は、先に落ちた男どもの上にのり、天を見つめていた。


「あ~、あと3人だったのに~」


俺は、俺を落とした理由を見た。

『浮気は許しません』

俺は顔をしかめた。

そう言えば、昨日他の女性のプロフィールを検索してしまった。

アプリの機能によってバレてしまったようだ。


「また、最初から~」


これは、出会い系アプリ『赤い糸』またの名を『蜘蛛の糸』。

ぶら下がっている男らは、その女性にエントリーしている男らで、

女性は一日一人男の糸を切っていく。

途中の第一関門を通過すると、やり取りができるのだ。

ほぼ相手からの一方的な質問だが。

3人と答えたのは経験した女性の人数だった。

そして、最後に残った男が女性をゲットできるのだった。



俺は隣の男をこっそりのぞいた。

左手につり革、右手にスマホ。

男はニュースサイトを開いていたが、

中心には赤い糸が垂れていた。

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