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番外編 ドラゴンさんの遠足

 アッシュとアイリーンは湖の側に広がる森に来ていた。

 後ろには子ドラゴンたちがゾロゾロとついてきている。

 村の子どもたちもゾロゾロとついてくる。

 引率としてベル、アイザック、カルロスもいる。

 子どもたちはレベッカでなれているのか子ドラゴンとすっかり仲良しになっていた。

 子どもたちのリーダーのクリスがレベッカと仲良しなのも大きい。

 村の子どもはクリスの子分なのだ。

 レベッカはクリスと手を繋いでご機嫌で歩いていた。

 ちなみにアッシュとアイリーンはレベッカよりだいぶ小さいドラゴンたちに抱きつかれている。

 アイザックの肩にも子犬くらいの小さいドラゴンがよじ登っていた。

 しばらく歩くとハイキングの目的である野生のアケビの木が見えてくる。

 するとレベッカが声を上げる。


「みんなーせいれーつ!」


「あーい!」


 ドラゴンはきちんと2列に整列する。

 わりと統率が取れている。


「みんないますかー♪」


「あーい♪」


 レベッカと子ドラゴンたちがピコピコと手を振った。


「アイリーン様……」


「なんだベル」


「わたくし萌え死にそうです……」


「……さよか」


 アイリーンは少し呆れるが確かにかわいい仕草だ。

 クリスも「きゃーッ!」と女の子っぽい声をあげている。

 レベッカはきりっとした顔をする。

 普段は甘えん坊なレベッカだが、本人よりさらに小さい子がいるのでちゃんとお姉さんをしている。


「今日のハイキングの目的のアケビの木に辿り着きました♪」


 レベッカはピコピコと手をふった。


「あーい♪」


 子ドラゴンたちも手をふりかえす。


「ここでおやつの時間なのです!」


 レベッカの目が輝く。


「おおおおおおおおおお!」


 子ドラゴンたちの目も輝く。


「今日のおやつは……なんだっけ?」


 レベッカは首をかしげた。


「はい。焼き菓子ですよ」


 アッシュがそう言うとアイリーンとベルがクッキーを配る。


「ありがとー♪ はいみんなも」


「ありがとー!」


 満面の笑みでしっぽふりふり。

 それを見た女性陣は萌え悶絶した。

 さてドラゴンたちがここまでいい子だと男の子も良いお兄さんをしなければならないという圧力と空気を感じていた。

 実際、クリスは「ドラゴン虐めたら殴る」という顔をしているし、村で一番偉いアイリーンも同じ顔をしている。

 たぶん逆らったらひどい目にあうだろう。

 さらにはベルに至っては「ドラゴン虐めたら一族郎党……あとはわかってますわね?」という怖いを越えてヤバイ顔をしていた。

 全員、一見すると笑顔なのがさらに怖い。

 さらに他の村の女の子たちもそれぞれが「ドラゴン虐めたらぶん殴るぞ」という顔をしている。

 男の子たちはアイザックの方へ駆け寄っていく。


「兄ちゃん俺たちなんにもしてないのに女どもが酷いんだよおおおお……」


 涙目である。

 アイザックは男のたちの頭を優しく撫でる。


「男の一生ってのはそういうものさ。今からなれておけ」


 前にも同じ事を言ったアイザックだがここでも同じ言葉を繰り返す。


「いつも思うけどアイザック兄ちゃんの言うことは夢も希望もねえよおおおおおおッ!」


「希望はあるぞ。そこのアッシュさんを見ろ」


「……お、おう」


「顔は……まああれだが。アッシュさんは代官様とつき合ってる」


「おおおおおおおッ! マジか!」


 すげえと男の子たちが歓声を上げた。

 ちなみにこれはあくまでお約束でアッシュとアイリーンがつき合ってるのはみんな知っている。


「ただしアッシュさんは一万の兵と戦って鼻歌交じりに全員倒す実力がある」


「人間じゃねえじゃねえか! 速攻で夢を奪うのかよ!」


「人間だぞー。あれでいてアッシュさんは強くて優しくて気が利いて料理が上手だ」


「何一つ勝てる気がしねえよ!」


「つまりだ。お前ら、一つくらい致命的な欠点があっても他で補える。お前らもがんばれ」


「無理だー!」


「だったら素直に女の子の尻に敷かれろ」


「現実なんて嫌いだー!」


 アイザックは容赦がなかった。

 これはわりといつものやりとりである。

 毎回彼らはだいたい同じやりとりをしている。

 なぜ男の子たちは同じやりとりをするのか?

 それは無駄なこととはわかりつつも男の子たちはまだ尻に敷かれていないアイザックに全てをかけていたのだ。


「でもアイザック兄ちゃんはクリスの尻に敷かれてないじゃん」


「はっはっはっは。お前ら、なんでどいつもこいつも俺とクリスの外堀を埋めていくのかな? なにかの陰謀か?」


 アイザックは笑顔だが目だけは笑っていない。


「だってー。アイザック兄ちゃんとちょうどいい年の姉ちゃんたちはみんな結婚しちゃったし、クリスは同じくらいの年のやつがいないしー」


「カルロスも独身だが」


 友人になすりつける姑息な手始動。

 ちなみにカルロスはアケビ取りを率先してやっている。

 意外なことにこの草食動物系男子は木登りが得意だったのだ。

 そんなカルロスを見ていた子どもたちはやれやれといった表情になった。


「だってカルロス兄ちゃんは騎士様じゃん。アイザック兄ちゃんは騎士やめたんだろ? それにカルロス兄ちゃんじゃな。クリスだって私のために騎士やめたんだからって言ってるぞ」


「うっわー! そういうからくりか!」


 アイザックは全てが陰謀のような気さえした。


「それに見てみろよ」


 子どもたちが指さす方向にはアッシュとアイリーンがいる。

 ふたりは手をつないで楽しそうに話をしていた。


「な?」


「な? じゃねえよ。俺にどうさせたいんだよ」


 子どもたちはアッシュとアイリーンを指さした。


「……お前らの気持ちはよくわかった。でも従わん!」


「うっわ、へそ曲がってるよこの人!」


「うるせー!」


 アイザックが子どもたちとボーイズトークをしていると、アッシュとアイリーンに飛びかかるものがいた。

 レベッカだ。

 レベッカはふたりに飛びかかると間に入ってふたりと手を繋ぐ。

 それを見てアッシュもアイリーンも微笑んだ。


 この日、アケビの収穫は大量だったという。

 主にカルロスのがんばりで。

誤字脱字の山をどうにかしないとなあ……

どうにかしないとなあ……

どうにかしないとなあ……


げふッ!


※ちなみにこれでもRealForce導入で誤字自体は減ってます……


そうそう元ネタ。


アイザック → デッドスペースから。(ただし性格は真反対)ニコルはさすがに出ないと思う。

カルロス → 昔のホラー映画(タイトル忘れた)

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