番外編 レベッカの一日
帰って来たの夜の11時越えてて書けなかったのでショート番外編を投下します。
短いです。
番外編 レベッカたんのいちにち
レベッカたんの一日は早い。
早朝、誰よりも早く目を覚ます。
ぱちり。寝起きはとてもいい。
がばりと飛び起きる。
そのまま添い寝をしているアッシュの体をよじ登る。
「おーきーてー。ねえねえねえねえ」
とんとんとんと、アッシュをつつく。
「にいたーん! 朝ですよー!」
今度は揺さぶる。
「うーん……」
最初こそ二度寝をしていたアッシュだが農作業になれるに従って早起きスキルを体得していた。
「おはよ」
「おはようなのです♪」
アッシュは顔を洗おうと井戸に向かう。
レベッカは顔を洗うアッシュの背中によじ登り一緒について行く。
そのまま井戸まで背中に貼り付いている。
井戸につくとアッシュの背中から飛び降りて農作業の道具を取ってくる。
お手伝いである。
そのままアッシュと農作業をはじめる。
昼。
この地域の農民は一日二食が普通である。
だがそれは間食を含めていないだけで実際は合間合間に食事を取っている。
アッシュの場合、アイリーンたちの昼食を自主的に作るので昼食をとることにしている。
ちなみに昼食は幽霊メイドのメグが作ると言って聞かないが、アッシュはあくまで厨房は自分の領土であると意味不明の主張をし、昼もアイザックもしくはアッシュが自主的に作っている。(そもそも屋敷はアッシュの所有物であるしアイリーンは家賃を払っている)
この日はアイザックが作っていた。
貴族と言っても武官として教育を受けているアイリーンはそれほどの贅沢はしない。
というより性格的に小さいことは気にしないのだ。
なにかが根本的に間違っているがアイリーンは男前である。
そしてレベッカはアイリーンの膝の上にいる。
たまにベルの膝の上の時もあるが、ほとんどはアイリーンの膝の上でランチを食べる。
「はいレベッカあーん♪」
「あーん♪」
アイリーンも全力で甘やかしている。
完全に甘やかしきっている。
そろそろレベッカの教育を真剣に考えるべきだとわかっているが、もとがいい子なのでつい甘やかしてしまうのだ。
昼食が終わると子どもたちがやってくる。
最初はレベッカの見た目を気にしていた子どもたちも最近では村の子どもとしてレベッカを受け入れている。
考えるのをやめたとも言う。
それどころか瑠衣の眷属の蜘蛛とも遊んでいる。
遊びは湖での釣りや森での採集など実生活に直結したものが多い。
だが子どもらしい非生産的な遊びもたくさんする。
木登りやゴミを拾ってきて基地を作ったり、一見すると大人には意味不明な遊びだ。
この日は基地作りだ。
「基地を作るぞー!」
「おー!」
男の子が騒ぐ。
「基地?」
「おう、俺たちの居場所だ!」
レベッカは目を丸くする。
「ダンジョンですか?」
レベッカの目はキラキラとしている。
「そ、そうなんじゃね?」
子どもは適当なことを言う。
「うおおおおおおおおー♪」
レベッカは小躍りする。
「ダンジョン♪ ダンジョン♪ ダンジョン♪」
ドラゴンにとってはダンジョンや秘密基地は『巣作り』に入るのだが誰もそれを知らなかった。
レベッカは農具置き場からショベルを取ってくると一心不乱に穴を掘る。
「お、おう。レベッカ。そんな本格的なのじゃなくていいんだけど……」
「おおおおおおおおお!」
完全に聞いていない。
レベッカは凄まじい勢いでダンジョンを掘っていく。
しかも小一時間ほどで本当に洞窟を作ってしまう。
かなり本格的なダンジョンである。
「ふう。完成です」
泥だらけになりながら満足げな顔をするレベッカだった。
ちなみにこのダンジョンは悪魔の集合住宅として有効活用され、本当にダンジョンになってしまうのだがそれはまた別のお話。
夜。
泥だらけになった体を洗い、晩ご飯を食べ、アッシュの寝床に潜り込む。
そしてレベッカはアッシュと一緒に眠るのだった。