表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
254/254

番外編 その後……。

その後……。



アッシュ


 かつてクリスタルレイクと呼ばれていた村があった。

 記録ではアッシュ王による帝国からの独立後。

 周辺にある集落を合併しクリスタルレイク市に昇格。

 アッシュ王の友人である学者たちが大学を設立し大いに賑わった。

 今では学園都市、学生街、そして観光地としても有名である。

 記録によるとアッシュ王は帝国から独立。

 新大陸とその周辺を領土とした。

 帝国からは円満に独立。経済、外交ともに関係は良好。

 数百年後に起こった革命も無血にて乗り越え、王国は民主政に移行。

 王家は政治に関わらない形で今も存在する。

 初代国王アッシュ王の物語は今も語り継がれる。

 アッシュは生涯妻を愛したという。

 一部地方では軍神、それに学業の神として信仰されている。



アイリーン


 アッシュ王の妻として有名。

 芸術文化を保護し、商売を奨励した。

 実子を成人させた後に、数多くの養子も育てたことでも有名である。

 彼らは王国を支える重臣へと成長する。

 それには悪魔の影響が大きいと言われている。

 城下へ買い物に行く姿も目撃され、庶民的王族と言われている。

 一部地方では地母神、芸能の神として信仰されている。



アイザック


 騎士の中の騎士と言われる伝説の存在。

 理知的なアッシュ王の右腕と言われている。

 その伝説を作った連中はアイザックを知らなかったのだろう。

 数多くの冒険と恋が語り継がれている……が、恋の部分は捏造である。

 伊達男として有名であったが、生涯ただ一人を愛した。

 アイザックの子孫は多く、クリスタルレイク市にはクラーク姓が数多く暮らしている。

 またクリスタルレイク市にはアイザックにちなんで彼の名前を取った酒場がいくつもある。



カルロス


 長年にわたり提督として帝国海軍を支える。

 引退後は外交官としてクリスタルレイクに常駐する。

 船医であり聖騎士であったことでも有名である。

 なにより有名なのは女帝セシルの婿だったこと。

 海賊が女帝の伴侶にまで成り上がったことは、今でも海の男たちのあこがれである。

 夫婦仲はよく子煩悩だったと言われている。

 今でも海に面した街ではカルロスの像が建立されている。



クリス


 アイザックの妻にしてクリスタル市商業ギルドの初代マスター。

 その時代のファッションを牽引したことで有名。

 悪魔と人間との和解を成し遂げた偉人とも言われている。

 歴史家の中には彼女の力を欲したアイザックが政略結婚したという人間もいるが、実際は逆。

 結婚してから権力を持ったのが真相である。

 商売の神様とも言われている。



セシル


 帝国中興の祖にして悪魔との和解、ドラゴンとの契約を成し遂げた女帝。

 奴隷解放や福祉政策など功績多数。

 文化を尊び、帝国を豊かにした功績が評価される。

 その逆に女帝になる前にできちゃった婚。

 兄弟を皇位継承から引きずり落としたなど悪役にされることも多い。

 これはセシルの時代にかなりの数の貴族が身分を剥奪されたからだろうと思われる。

 生涯において夫は一人。夫婦仲は良かったと記録される。



ベル


 元皇子と結婚し、帝国の文官としてクリスタルレイクに常駐する。

 ドラゴンの世話に奔走。

 ほとんど記録に残っておらず謎に包まれた人生だが、幸せだった。



ジェイン


 女帝セシルの兄。

 ベルと結婚後、ドラゴンの世話に奔走する。



オデット


 音楽の歴史を変えたと言われる天才。

 数百の曲を作り、そのどれもが世に残っている。

 反面、酒席の失態、借金、夜逃げなどの伝説も数多く残す。

 人格的問題はあるが偉大な音楽家であった。



ガウェイン


 彼はクリスタルレイクの初代市長を務める。

 市長引退後もクリスタルレイクに住んでいたという。

 


瑠衣


 クリスタルレイク大学初代総長。

 ……と、いうのが公式な記録である。

 だが広く世間では「子育ておばけ」で有名な悪魔である。

 王国最初の孤児院を作り、その孤児院で今でも子どもたちを育てている。

 彼女の子どもたちは多くの物語に出現し活躍している。

 最近では心の底から笑うことができるようになったらしい。



クローディア(花子)


 女帝セシルの即位の際に起こった事件により正体が発覚。逃走。



「その後の足取りは不明……ですよね。クローディア?」


 そう言うとメグはペンを置いた。

 幽霊のメグ。

 今は幽霊作家として初代皇帝の時代の証人として活躍していた。

 傍らで勝手におやつを食べているのは、赤い髪の女性。


「お久しぶりです。クローディア」


「おひさー!」


 なにも変わってない。

 いや若くなっている。

 クローディアは微笑む。


「それで、なに? 用事って?」


「ええ。そろそろあの世に行こうかと」


「……そう」


 クローディアはしょんぼりしている。


「そろそろ記憶の欠損が出てきました。

リッチになっても限界はあるようです」


「……うん」


 あれからメグは地縛霊状態から魔法をおぼえ、アンデッドの王リッチにまで昇格した。

 悪魔化せずに悪魔の近くまで来た。

 だが永い刻の中でとうとう限界が見えてきたのだ。


「メグ? 悪魔になる気はない?」


「もう……そこまでの熱意はありません」


「そっかぁ……いえ聞かなかったことにして。

それじゃあ、いつごろあの世に行くつもり?」


「そうですね。数年か、数十年か……なにせ特殊な例なので。

でも限界までは挑戦してみようと思います。

私にはまだ時間がありますが、クローディアからしたら一瞬ですから」


「そっか、うん、そうだね。

おばちゃん、年取った気分だわ〜」


「ふふふ。年のことを言うと瑠衣さんに怒られますよ」


「そっか、そうだね」


 クローディアが笑った。

 その後メグの書いた歴史書は大いに売れたという。

挿絵(By みてみん)

https://www.es-novel.jp/newbooks/#doranii05


ドラさび最終巻 発売中です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。 [気になる点] ありません。 [一言] 気持ちよく読み終えました。 ゴンザレス先生、ありがとう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ