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番外編 そのころクリスタルレイクでは

 クリスタルレイク。

 アッシュたちが自覚なく国の乗っ取りを仕掛けた一方で、レベッカたちはベルとピクニックに出ていた。

 引率はベル。

 護衛はアイザックとガウェイン。

 それに悪魔の騎士たち。

 大きなドラゴンのコリンも一緒である。

 アイザックと悪魔と脳筋ガウェインがいれば危険性はない。

 悪魔だって勝てるはずがないのだ。

 レベッカは原っぱに行くとシロツメグサの花を摘んで花冠を作る。

 最近レベッカはクリスや淑女亭の影響で器用になっている。

 レベッカは花冠を作り終えるとベルの頭にかけた。


「えへへへ~♪ ベルお姉ちゃんお姫様みたい」


 レベッカは得意げだ。

 ベルはレベッカに抱きつく。


「レベッカちゃん。かわいい!」


 ベルの頬ずり攻撃。


「いやああああん♪」


 レベッカは尻尾を振る。

 他の子たちもそれを見て一斉に花冠を作る。

 皆、レベッカほどは上手ではない。

 コリンも真似をする。

 農家出身のコリンは結構上手だ。


「コリンくんすごい!」


 レベッカがしったんしったんと跳ねる。

 コリンはニコニコするとレベッカに花冠をかける。


「はい。女王さま」


「コリンちゃんありがとう!」


 レベッカは尻尾を振る。

 コリンも穏やかに微笑んでいる。

 ベルはそれを目を細めて見ていた。

 他のドラゴンたちも花冠の交換をしている。

 みんな楽しそうだった。

 青龍は上手く作れないようでモタモタと花を組んでいた。

 すると他のドラゴンが組み方を教える。


「こうなんだよー」


「こうなのか。なるほどなるほど……」


 ドラゴンも向き不向きや個性があるのだ。

 青龍も花冠を完成させた。

 青龍はコリンに近づいていく。


「ほれ、コリン」


 青龍はコリンによじ登るとコリンの頭に花冠を乗せる。


「うわー。ありがとう」


 コリンは尻尾をブンブンと振った。

 そんなのどかな光景を見ながら、ガウェインは寝っ転がって草をブチブチと抜いていた。

 暇だったのだ。

 それを見てアイザックは言った。


「ガウェインさんって騎士の名家の出身ですよね?」


 同じ騎士階級の出身であるアイザックは『休め』の体勢をずっとしていた。


「ああ、ブッ潰れたけどな。俺のせいでな」


 ブチブチとガウェインは草を抜く。

 良く見ると雑草だけブチブチと抜いていた。

 怒られないギリギリのラインを攻めている。


「お前もわかるだろうけど、騎士ってのは限りなく庶民に近いんだよな。金も権力もねえし」


「まあそうですけど」


 心あたりは無数にある。

 特にアイザックには耳の痛い話だった。


「だから外部から騎士になったやつの方が真面目なんだよ」


 たしかにカルロスは真面目ではある。

 存在が規格外なだけだ。


「まあ、俺はもう騎士じゃねえし。村長だし。だからこうやってサボってもいいんだよ」


 悪魔たちも「休め」をしているのにいい根性である。

 だが速攻で罰は下る。


「おじちゃんに突撃ー!」


「「おー!」」


「うん?」


 ガウェインが声の方を見るとドラゴンたちがガウェインに走ってきた。


「え? ちょっと、おい、待て」


 コリンがガウェイン目がけてジャンプする。

 コリンにしては珍しく素早かった。

 ガウェインは潰される。


「きゃいん!」


 とは言っても、ガウェインは魔術的に強化された人間だ。

 この程度ではダメージなどない。


「よしみんな行くよー!」


 レベッカたちもジャンプする。

 一斉にガウェイン目がけて飛んでくる。

 ガウェインはドラゴンまみれになる。


「がおー! なにすんだよ!」


 ガウェインは人狼に変身してドラゴンから逃げ出すとレベッカたちを追いかける。


「逃げろー♪」


 レベッカたちは逃げる。

 コリンもよたよた逃げる。

 それを見てベルもアイザックも悪魔たちも笑う。

 サボっていた人の仕事が増えたのだ。


「待てーい!」


 ガウェインは追いかけっこに付き合う。


「ふみゃーん♪」


 レベッカは逃げ回っていた。

 青龍も一緒になって逃げる。

 その隙にベルとアイザックはお弁当を広げる。

 アイザック特製弁当である。

 アイザックは先に悪魔に弁当を渡す。


「かたじけない」


 悪魔たちもニコニコしていた。

 食い意地が張っている。

 するとドラゴンたちが一斉にベルを見る。

 お弁当のにおいを嗅ぎつけたのだ。


「おべんとう?」


 レベッカが聞く。

 するとベルは言った。


「お弁当ですよ!」


「お弁当!」


 レベッカが言うとドラゴンたちは一斉に走ってくる。

 ガウェインを置いて。

 ドラゴンに解放されて疲れたガウェインはその場に倒れた。


「お弁当♪ お弁当♪ お弁当♪」


 ドラゴンたちが小躍りする。

 最近のドラゴンたちはちゃんとダンスを習っているせいか、動きにキレがある。

 ドラゴンたちはクルクルとまわる。

 お弁当を配り終えるとドラゴンたちは一斉に言った。


「いただきます♪」


 こうして楽しい時間は過ぎていく。

 レベッカはアッシュやアイリーンがいればもっと楽しかったかもと思った。

 今日もクリスタルレイクは平和なのである。

明日は床工事と荷物搬入のためお休みします

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