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ドラゴンは寂しいと死んじゃいます ~レベッカたんのにいたんは人類最強の傭兵~  作者: 藤原ゴンザレス
第四章 新大陸探索編

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 とりあえず討伐には準備がいるため、アッシュたちは地図の作成だけをしていた。

 その辺をお散歩して図面に描いていく。

 方法は昔ながらの歩数からだいたいの距離を測りそれを図にしていく方法である。

 今求められているのは簡易地図なのでこれで充分である。

 ちなみに瑠衣の魔術とアッシュの圧倒的筋力ならば人工衛星の打ち上げとGPSの作成も可能なのだが、両名ともにその考えには至っていない。

 技術的には可能なのに『その発想はなかった』なのである。

 技術はあるが、それをどう使うかがクリスタルレイクの大きな課題である。


 カルロスは羊皮紙に図面を描きながら歩く。

 その後ろをレベッカがピコピコとついていく。


 カルロスの足が止まる。


 じいいいいいいいいいっという視線をカルロスは感じる。


「レベッカちゃん」


「あい!」


「お手伝いする?」


「あい!」


 カルロスはクスクスと笑う。

 どうにもドラゴンという生き物は人なつっこい。

 カルロスと目が合うとレベッカはニコニコとしながら尻尾をぶんぶん振った。


「じゃあレベッカ。地図を書いてね」


「あい!」


 レベッカはカルロスにペンと羊皮紙を渡されてシャキーンとする。

 レベッカはサラサラと羊皮紙に描きこんでいく。


「あい!」


 それをカルロスに渡す。

 カルロスは落書きだろうと思いながらレベッカに渡された羊皮紙を見る。

 そこには今まで見たことのないような精細な地図が描かれていた。


「……マジで?」


「あい! 地図を描きました!」


 しゃきーん。


「……どうやって?」


「えっと、鳥さんが空から下を見たそのままを写しました!」


 魔法を使った航空写真である。


「……レベッカってすごいんだね」


 実はカルロスはそのすごさを完全にはわかっていない。

 地図を作るのが楽だ程度である。

 こうして一瞬で仕事は終わってしまった。

 一瞬で終わってしまうと暇である。

 一行はダラダラと散歩をする。

 その最中、アッシュはしゃがみ込んではごそごそと何かをしている。


「にいたん、なにしてるんですか?」


 レベッカがアッシュの手元をのぞき込む。


「ああ、珍しい色の木がいくつもあったから、種を採取してるんだ」


「おいしいの?」


「たぶん、食べられないと思う。でもきれいなお花さんだぞ」


「あい!」


 レベッカは尻尾をブンブンと振った。


「にいたん手伝います!」


「お、おう。(うるし)に気をつけろよ。かぶれるからな」


「あい!」


 レベッカは元気よく返事をすると種の採取をはじめる。

 しばらく採取を続けるとあっと言う間にアッシュが持ってきた袋がいっぱいになる。

 これが後に宝の山だと判明するのだが、まだアッシュはちょっとしたお土産程度にしか思ってなかった。

 かくして一行は早くもやることがなくなったのである。

 アイリーンはベルに言った。


「ベル、街に行くまでなにをしようか? 暇で暇で仕方がない」


 するとベルは疲れた顔でため息をついた。。


「……はあ」


「どうした?」


「ドラゴンちゃんたちが心配で……」


 現在保母さんをやっているのはクリスとセシルである。

 しかも二人は結構評判がいい。

 クリスはそのうち子どもができるだろうから予行演習と思ってたし、セシルはわりとなんでもこなすタイプだったのだ。

 ベルの立場がない。


「ドラゴンちゃん成分が足りない!」


 完全に危ない人である。


「生活に潤いが……潤いが……ない……」


「そ、そうか……」


 女性たちは女性たちでいろいろあるのだ。

 だからアイリーンは言った。


「帰るぞ……」


 こうして撤収したのである。

 散歩から帰るとエルフの村の村長が笑顔で出迎える。


「お帰りなさいませ」


「ああ、出迎えてもらったようですまない」


 アイリーンが警戒しながら言った。

 オデットがクリスタルレイクに来たときの服を着ているからだ。


「街との交渉の席をもうけることになりました。至急準備をお願いいたします」


 ずいぶんと早い。

 だがここまでは想定内だ。

 それから一日を掛け街に向かう。

 街道が整備されていて馬も使えたため快適だった。

 ちなみにアイリーン、ベル、レベッカ、オデットの女性陣が荷馬車、あとは徒歩である。

 アッシュが引く荷車案も出たが「他人が見たら外の世界の人間はなんという野蛮な生き物だ」と思われかねないので却下になった。

 男たちにもさすがにプライドやメンツというものがある。

 歩いた方がまだマシである。

 街の近くまで来ると潮の香りがして海が見えてきた。


「これが海か……」


 アッシュはしみじみと言った。

 海賊たちが一斉にアッシュを見る。


「海を見たこと……ない……だって……」


 海賊たちから見ればアッシュは海を見たことない珍獣である。


「いや、空からは見たことあるんだって!」


 大気圏からの眺めである。

 海賊たちは『空からってなによ』って顔をしている。


「お前らなにを張り合ってるんだ。ほら、行くぞ!」


 『もう! 男の子ってバカなんだから』といった様子で学級員みたいにアイリーンは言った。

 男衆は大人しくアイリーンに従った。

 海賊たちはアッシュのことがよくわかってきた。

 アッシュは、なんというか単純に『いいやつ』なのだ。

 迫力はあるが馴れればどうってことはない。

 街に着くと村の時と同じように、街の若い衆が出迎えた。


「『約束の村』の村長だ。約束を取り付けてある。」


 鉄製の槍を持った若い男がアイリーン一行を街に入れる。

 装備がやたらいい。

 こちらは村とは違い、自警団や騎士団などの治安組織なのだろう。

 一行が中に入ると壁のあちこちが崩れ、穴が空いていて、それを職人が足場を組んで修理していた。

 アイリーンが職人たちを見ていると村長が声をかけた。


「イノシシの被害ですよ。イノシシがたまに牙を削りに来るんで壁がぼろぼろにされるんだそうです」


「なるほど」


 やっていることは普通の動物であるが、ただ大きいだけでこの被害である。


「今回はイノシシを捕らえたことを報告すると言っております。その際に交渉しましょう。なあにこの街ももう何十年もギリギリの状態でやってます。商談なら断らないでしょう」


 村長は笑いながら言った。

次回から海賊たちが動き始めます。

ちなみに現在、マイコプラズマ肺炎の疑いで半分隔離されてます。

出仕に及ばず状態です。

しかも貰った薬がまったく効きませぬ。げふり……

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