逆襲 序章 異変
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新章です。お楽しみください。
ロシア領・北極海。
ロシア海軍北方艦隊所属[アクラ]型原子力潜水艦はいつものように領海内の警戒についていた。
深度300メートルを潜航し、速力6ノットで航行していた。
「ソナーより、ヤーコフ艦長。移動物体を探知しました!」
ソナー室から緊迫した声で報告が入った。
「アメリカの原潜か?」
潜水艦勤務20年目になる口髭を生やしたヤーコフ中佐は通信マイクを持って問うた。
「いいえ、潜水艦ではありません!」
「では、鯨か?」
「違います」
「では、なんだ?」
ヤーコフは怒鳴る。
「ソナー、かまわん。ピンガーをうて!」
ヤーコフの指示でソナー士官がピンガーのボタンを押した。
ピコォォォン!
「!」
ソナーから声にもならない驚き声がした。
「どうした!?」
「なんだこいつは、原潜並の巨大な生物です。コンピューター解析によると、全長100メートル以上です!」
「馬鹿な!」
ヤーコフは否定したが、完全には否定しなかった。
最近では、日本艦隊が2度にもわたって、謎の消滅が報告され、世界中で不可解な事件が続出している。
アフリカ各地で、謎の巨大生物が出現し、連合軍、政府軍、反政府軍、現地住民を無差別に襲っている。常任理事国は戦術核兵器の使用を検討しているそうだ。
アフリカ以外でも確認され、また某国の[キロ]級潜水艦が水中巨大生物と遭遇したり、某国の沿岸警備隊が大航海時代の海賊船と交戦状態になったそうだ。
これらの事例があるから、ヤーコフは完全には否定できなかったのである。
「距離は?」
「本艦前方距離2000、深度500から浮上中、速力20ノット、なおも増速!」
ソナーからの報告にヤーコフは迷った。その巨大生物が何にせよ[アクラ]型を目指しているのは間違いない。さて、どうするか。
「距離1000、速力30ノット以上!」
「艦長。回避を!」
副長が進言する。
「急速浮上!深度100!機関全速!」
ヤーコフの指示で操舵員が操作し、[アクラ]型は浮き上がる。
「距離300、250、200、150、100、50・・・衝突します!」
ソナー室からの報告に、ヤーコフは「衝撃に備えろ!」と命じる。
艦内に衝撃に備えるよう警報ブザーが鳴り響く。
ドーン!
すさまじい衝撃が艦内を襲う。まるで機雷が至近で爆発したかのような衝撃だった。
「しょ、衝突したぞ!」
「衝突、衝突!」
「喚いてないで!被害を報告せんか!」
ヤーコフの怒号で、艦内各所から被害報告が入る。
「魚雷室、浸水!」
「原子炉、異常なし!」
「電気室、異常なし!」
「機関室、蒸気パイプ破損!」
各所からの被害報告を受けると、ヤーコフは通信マイクを持った。
「目標は?」
「急速潜航中、現在、深度500」
「なんだったんでしょうか?」
副長の問いに答える者はいない。
ただ、驚くだけである。
その生物は世界のいかなる原子力潜水艦でも潜る事もできない深海の闇に消えていったのである。
逆襲序章をお読みいただきありがとうございます。
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次回の投稿は8月30日までを予定しています。




