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亡国のレギオン  作者: 高井高雄
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救出 終章1 フリーダム諸島

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 救出篇も終章をむかえました。楽しんでいただきありがとうございます。亡国のレギオンはまだまだ続きます。

 本章では終章は2つあります。

 自衛官たちの世界では、難民の人権の尊重が、国連憲章において定義されている。

 では、この世界ではどうかと言われれば、判らないと答えるしかない。

 元々、群島諸国と呼ばれる国々は、はるか昔に大陸全土を巻き込んだとされる

大戦において、その戦火から逃れた人々によって、建国されたと言われている。

 その為、大戦後に建国された大陸の国家群に比べれば、移住者に対して寛容というより、ぶっちゃけ来るもの拒まず、なところがある。

 しかし8000人となると、とてもではないが、1国では無理である。

 簡単に言うなら、[難民保護法]では、難民と認定された人々の生活等の保障は、保護した国家が行うのだが、今回の場合、救助の要請を出したのはノインバス王国のリオ王だが、実際、救助のための行動を起こしたのは自衛隊と米海軍である。

 しかし、日本もアメリカもこの世界には無い。

 そして、困った問題が1つ、キスカの元島民は、ヒト種やエルフ、ドワーフといった、人々だけでなく人間の姿で耳や尾等が動物といった獣人族、ファンタジー世界では悪役が定番の、コボルト、リザードマンもいるのだ。(ただし、彼らは邪悪ではなく多少価値観の違いはあっても、善良な人々だった・・・見た目はともかく)

 彼らの健康状態を、診察した医官の1人が「こんな、経験は初めてだ」と、つぶやいたそうだ。

それに、彼らの元の世界では難民と受け入れ国の先住民との間で、様々なトラブルを抱え、国際的に問題になったりしているし、それがテロの遠因になったりもしている。

 この世界で同じ事にならないとも限らない。

 そういった諸事情から、リオ王を中心とした各群島諸国の国々の首脳たちからの提案で、ノインバス王国領の中の1つの諸島を、レギオン・クーパーへの褒賞という形で譲渡し、そこを、キスカ島の島民たちの新たな定住地とするという案が出された。

 褒賞というのは正直断りたかったが、自分たちにも仮であっても母港は必要だ。そう考えて板垣はそれを、受け入れた。

 

 

 そして今、板垣たちは[やまと]の幕僚室でちょっとした問題に頭を悩まされていた。

「イタガキ提督。この諸島の名前はレギオン・クーパーに命名してほしい」

 リオ王の言葉がフレア王女から伝えられたものの好き勝手に付けていいものかどうか。

「諸島の名前、か」

 板垣はノインバス王から譲り受けた無名諸島地図のコピーを見下ろした。

 幕僚室には板垣とその幕僚、ケイリ―、がいた。

「どうします?」

 笠谷が言った。

 彼の頭の中で色々案は出たが、どれも時間がかかり過ぎるとして却下した。

 すると、ケイリ―が1つ名前を出した。

「フリーダムって言うのはどうでしょう」

 彼女の候補名に板垣は腕を組んだ。

「自由、か」

「そうです。この島には人種、種族、宗教の違いは関係ない。ましてや奴隷制も存在しない自治区。だから、フリーダム諸島です」

 ケイリ―の言葉に自衛官たちは薄く苦笑した。いかにもアメリカ人が考えそうな事だと思ったからだ。

 だが、他に意見がないので・・・

「では、フリーダム諸島に決定!」

 佐藤が声を上げ、黒いペンを持って、地図にフリーダム諸島と書いて、さらにペンを走らせる。

 夏島、秋島、冬島、春島、月曜島、火曜島、水曜島、木曜島、金曜島、土曜島、日曜島、四季群島と佐藤は勝手に島名を決めたが、誰も何も言わなかった。島の命名は早く終わらせたいのが、彼らの本音だ。

 しかし・・・

(トラック諸島かよ・・・)

 笠谷が心中で突っ込んだ。



「それは、本当か!?」

 ノインバスの王城の執務室でリオ王は大声を上げた。

「あくまでもその可能性がある・・・と、冠が付きますが・・・」

 その報告に、同じ部屋に控えていたフレアとアーノルは一瞬顔を見合わせ、

王の前で片膝をついている男に視線を戻した。

「実際、彼らに確認をしてもらわねばなりませぬが、話で聞く通りであれば・・・」

「でかしたぞ、エルンスト!!早速イタガキ提督に連絡せねば!!」

「お父様、落ち着いてください、まだそうと決まったわけではありません」

 喜びのあまり、このままパスメニア港どころかフリーダム諸島までも飛んでいきそうな父を窘めた。

「ウ・・・ウム、そうだな、俺としたことがつい・・・」

「とにかく、まずイタガキ提督に報告するとして、専門の知識がある方々に調査していただいたほうがよろしいかと思います」

「そうだな、そうしよう」

 冷静な娘の言葉に頭を掻きながら、リオ王は我が事のように喜んでいた。

「ユデンなるものが、よもや我が領内にあるなど思いもしなかったぞ」

「土地の者が申すに、酷い臭いがして、誰も近寄れぬ場所がある・・・と聞き、よもやと思いました」

 エルンストの言葉にリオ王は、何度も頷いた。

「しかし、この困難な任務をよく遂行してくれた」

 エルンストは、若いながら宮廷魔術師としても、宮廷錬金術師としても優秀な男だが、性格的に堅苦しい宮仕えが性に合わず、パスメニアの兵器廠で魔道砲の開発と研究に勤しんでいた男だ。

 ユデン調査に自分から、進んで調査に加わったのには、正直驚いたくらいだ。

「ありがたきお言葉・・・しかし、あの方の為ならばこのような苦労など・・・」

「「「あの方?」」」

「アマネ殿、私はやりましたよ。貴女に喜んで頂けるのなら、たとえ火の中水の中、世界の果てへも行ってみせます」

 突然自分の世界に飛んで行ってしまった彼に、全員の目が点になった

 後で話を聞いてみると、ジエイタイの中に一目惚れした女性がいるらしい。

 一目惚れだけで、1人の女性のために、ここまでの発見をするあたり、女の影響力はどこの世界でも変わらないらしい。



 1週間後、ノインバス王国領の最南端の孤島で、油田の存在が自衛隊と米海軍の調査隊によって、確認された。


 救出終章1をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 次回もよろしくお願いします。

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