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亡国のレギオン  作者: 高井高雄
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完結篇 後篇 第9章 最終決戦 夢の帰結

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 皇帝官邸の最も奥まった場所で、彼はただ1人玉座に座っていた。

 彼の周囲には、文官も近衛の兵もいない。

 彼自身が、官邸から退去するように指示を出したからだ。

 照明はすでに落とされ、窓の無いその場所は暗闇に支配されているはずだが、その場所は青白い光に包まれ、十分に明るい。

 彼は玉座から立ち上がり、自分の背後を見た。

 ハーケンクロイツ。

 あの日から、彼はずっと待っていた。この旗の前に立つべき最も相応しい人物が、自分の前に現れるのを・・・

[ミレニアム政策]を実現するのに、自分は力不足だった。

「・・・貴奴らが来る・・・」

 いつの間にか、その旗の側に1人の翼を持った女が立っていた。



 着陸に成功した第1任務団の普通科連隊1個中隊は第2普通科大隊と連携し、滑走路を制圧し、拠点を構築した。

 その後、米海兵隊のC(チャーリー)中隊も無事に着陸に成功し、兵力がさらに増員された。

 先任指揮官である南郷は第2普通科大隊の1個中隊を引き抜き、第1任務団普通科連隊の1個中隊と共に、ミレニアム帝国皇帝がいる皇帝官邸に突入させた。

 笠谷、イングリット、宮林、樹村、カーラも皇帝官邸突入部隊と同行した。

 第2普通科大隊の1個中隊が皇帝官邸の周囲を包囲し、普通科連隊の1個中隊が皇帝官邸内に突入した。

 しかし、官邸内は恐ろしく静かであった。



 官邸内に突入した久松の小隊と笠谷たちはその静けさに、背中から嫌な汗が流れていた。

「どういうことでしょうか。敵の姿がありません」

 慎重に進んでいた久松が笠谷に耳打ちした。

「ああ。俺たちは敵国の元首がいる官邸に入ったというのに、衛兵の1人もいない」

 笠谷は額の汗を拭いながら、言った。

「もしかして、皇帝以下、一部の親衛隊は逃げ出したとか・・・」

 樹村が64式対人狙撃銃を構えながら、つぶやいた。

「仮にも皇帝を名乗ってるんだ。そんなわけないだろう」

 来島が否定する。

「でも、誰にも会わないなんて、おかしいですよ」

 宮林も、樹村に同意し反論する。

「いや、奴はおる」

 そう断言したのはカーラだった。

「どうして、そう思うのですか?」

 笠谷が尋ねると、カーラは目を閉じて、答えた。

「奴の気配を感じる。どうやら、逃げる気はないようじゃ。そしてもう1人おるの。ここら一帯が嫌な気配を発しておるから、はっきりと探る事ができぬが尋常でない力の持ち主じゃ」

 カーラの言葉に笠谷たちは足を止めた。

「嫌な気配って、なんです?」

 笠谷の問いにカーラは首を振った。

「わからん。わからんが、正直妾でも長居はしたくない・・・そんな気配じゃ」

 笠谷たちは顔を見合わせた。

「その気配はどこから来るのですか?」

 宮林が尋ねると、カーラは前方の大きな扉を指した。

「そこの扉の向こうからじゃ」

 カーラが言うと、久松は手で突入準備を指示した。

 久松の部下たちが扉の左右に身を寄せる。

「突入!」

 久松の合図で、部下たちは扉を蹴り飛ばし、中に突入する。

 突入した部屋は謁見の間のようでかなり広かった。

「よく来た。黄色人種よ」

 謁見の間の奥で、王座に座っている白人の男がよく通る声で言った。

 彼の隣に白い翼を持った女性が立っていた。

 しかし、その顔はひどい火傷を負っていた。

 笠谷と宮林は、その女性を見て固まった。

「・・・エレオノーラさん・・・?」

 笠谷が、絞り出すような固い声でつぶやいた。

「いいえ、違うわ」

 イングリットが即座に否定した。

「ほう、我が妹に会うたか?」

「妹?」

「我は、エレオノーラの双子の姉。ウルテミアの王の娘だった者」

「・・・では、ナチス・ドイツ軍をこの世界に召喚したのは・・・?」

「我じゃ」

「・・・・・・」

 笠谷たちの表情を見て、彼女はうっすらと笑みを浮かべた。それは、エレオノーラとは似つかない、冷酷な嘲笑だった。

「どうやら、エレオノーラは全てを語ってはおらぬようじゃな・・・アレらしい・・・」

「どういう事だ?」

 しかし、彼女は笑うだけで何も答えない。

 時間が無い。今この瞬間も、市街地や官邸敷地内で敵味方関係なく、大勢の人間が命を落としている。

「これまで多くの人々が命を落とした。これ以上の戦闘行為は無駄である。降伏してくれないだろうか?」

 笠谷は冷たく言った。

「降伏?」

 王座に座る男は薄く笑った。

「この国の皇帝であり、ドイツ第3帝国ゲネラール・フェルトマーシャル・ルドルフ・フォン・ゲルリッツがお前たち黄色人種に降伏すると、思うか?」

 ルドルフと名乗った男は王座から立ち上がった。

「そのような不様な真似ができると思うか!」

 ルドルフはそう怒鳴った時、笠谷たちが入った扉とは別の扉が開き、武装したSSの兵士10数人が雪崩れこんで来た。

「閣下!!」

「ここは、我々が食い止めます!閣下は避難なさって下さい!!」

 双方が、小銃を構え睨み合う。

「貴官らには退去命令を出した!なぜ戻って来た!?」

「命令違反の罪は、後で償います。しかし、閣下さえご健在ならば我々に敗北は、ありません!!」

 G36Kを構えながら、笠谷はこのSSの兵たちが心底からルドルフに忠誠を誓っている者だと感じた。

 どちらも小銃を構えたまま動かない・・・正確には動けない。1人でも引き金を引けば、双方共倒れの撃ち合いになる。

 時が止まったかのような錯覚に陥った。



「1つ聞きたい。飛空の民の女よ・・・」

 その均衡が崩れそうになった刹那、カーラが前に進み出てきた。

「カーラさん、下がってください!」

 笠谷が、叫ぶ。

「・・・飛空の民って?」

 聞き慣れない単語に樹村が首を傾げる。

「妾の元の世界では、あの様な者たちの事をそう呼んでいた。お主らの世界でも違う呼び方があったであろう?」

「「「天使?」」」「天狗か?」

 全員が異口同音につぶやくなか、1人だけ別の表現をした。

「来島、こんな時にそういう冗談はやめようね」

「天使はキリスト教系や、ユダヤ教系の宗教に出て来る存在だろう。俺は仏教徒だ」

 注意する樹村に至極真面目に、来島は答えた。

「宗教的相違の表現はともかく、来島の言い分には一理ある。俺たちの世界でも空を飛ぶ神等の存在は、翼の有る無しに関わらず世界中の神話や伝承などで伝えられている、昔の日本人が西洋人的な顔立ちの彼女の様な存在を見て、天狗を想像したとしても無理はない」

「ありすぎです」

 変な所で来島に同意した笠谷に宮林が突っ込む。

 自衛官たちが微妙な脱線をする中、カーラとイングリットはウルテミアの女性と対峙していた。

「我も聞きたい。お主たちは本来様々な世界に生きる種族が、至高の神の意思から外れぬよう監視する役目を負うておるはずじゃ、場合によっては、神の意思の名の元に、それらを滅ぼしたりの・・・なのに、何故その者らの肩を持つ?」

「こやつらを気に入ったからじゃ」

「私は1人の女として、共に生きたいと思う男性に出会えたからよ」

「随分と下らぬ理由じゃの・・・まあ、好きにすればよい。どちらにせよ、この世界も滅ぶ・・・お主らの世界と同じくの」

「何だと!?」

 突然の宣告に、笠谷は驚きの声を上げた。

「平行世界のバランスが崩れた事で、大量の魔物が流入した事により、恐怖した一部の支配者が、愚かな考案物を使用して己が世界を炎の海に変えた」

「「「・・・・・・!!!」」」

 それが、何を意味するのか、何を指しているのかを理解した自衛官たちの表情が、絶望に固まる。

「・・・かつて、我は父に進言したのじゃ。お主らの世界に限った事ではないが、無数の平行世界の秩序を乱す害虫どもを根絶やしにせよと・・・それが、至高の神より全ての世界の管理を任された我らの使命じゃと。しかし、妹・・・エレオノーラは、害虫どもの肩を持った・・・そして、父は我の言葉を退け妹の言葉を選んだ。そして、我は我と意見を同じくする者たちと父と妹に戦いを挑み敗れた。我らは裏切り者として名を奪われ、ウルテミアを追われ平行世界を放浪する身になった」

 薄ら笑いを浮かべたまま彼女は自分の過去を語った。

 確か、聖書にそんな話があったな、細かい点は違うが、大筋は似ている。それに、世界の神話でも似たような、神々の戦いがあった。

 笠谷は、子供のころに読んだ、本の記憶を探ってそう思った。

「なんじゃ、要は父と妹への復讐のためにそやつらを利用しただけか?それこそ、下らぬわ」

「黙れ!!下位の神に仕える眷属神ごときが!!」

「・・・・・・」

 笠谷たちは、元の世界の状態に動揺していたが、SSの兵士たちも、互いに顔を見合わせていた。

「閣下、我々が別世界へ侵攻したのは、この地で総統閣下の理想を実現するためなのでは・・・この世界が滅ぶとは・・・一体?」

 彼らは知らないのだ、このまま双方の争いが長引けば、どんな運命が待っているかという事を。

 そう感じた笠谷は、思わず叫んでいた。

「聞いてくれ!このまま我々が争い続ければ、我々の元の世界だけでなくこの世界も滅ぶ。

それを防ぐには、貴官たちや我々が保有している兵器全てを破棄し、2つの世界の繋がりを絶たねばならないんだ!!」

「・・・・・・」

「貴官たちも滅びるために生きてきたわけではないだろう。それに、この世界は本来我々に関係の無い世界だ!この世界を滅ぼす権利は俺たちには無い。俺たちに協力してくれ!!」

 この1言を言うために、自分たちは互いに殺し合った。

 もっと早くこの1言が言えていたらとさえ思う。自分にこんな事を言う資格などない事を十分承知はしている。

 それでも・・・

「・・・あの方は、祖国を・・・国民を愛していらした・・・だからこそ、他国の圧力に苦しむ国民を救うために・・・この地で、新たなる祖国を造るために、異世界に我らを送り込んだのだ。私は、あの方の理想を実現するためにここにいる」

「ルドルフ!!貴方は、自分に忠誠を誓う部下を道連れに滅びの道を進む気か!?」

「アーハハハハー」

 2人の会話を遮るように、女の高い笑い声が響く。

「共に殺し合うがよい、滅ぶがよい。あ奴らが守ろうとする世界共々!それこそが我の望み。父と妹に自分たちの考えがいかに愚かであるかを思い知らせるために」

「女!妾の聞きたい事に、まだ答えておらぬぞ。この、ナチス・ドイツ軍を送り出した男はどうなった?」

「それなら、その男が知っておるはずじゃ、エレオノーラに会ったのなら、わかるであろう。何が必要であったか」

「!!」

 その言葉に、笠谷は愕然となった。

「しかし、彼はドイツが降伏する直前に自殺したはず・・・しかし、最初に彼らが送り出された時とは時期が合わない・・・」

「そんなもの、影の1つや2つを準備しておけば、どうとでもなる」

「・・・・・・」

「何の事だ?」

 押し黙った、笠谷に代わりルドルフが問うた。何となく察しがついたのか、彼の声は震えていた。

「本来交わることのない世界を繋げるには、必要な事じゃ。それに、あの男がそれを望んだ。だから、我はそれを叶えた。あの男の命と引き換えにの」

「あの方の命を奪ったのか!!」

 知らなかった、事実を知った衝撃にルドルフの声に、激しい怒りと絶望がこもる。

「望みを叶えるには、それなりの代償がいる。それだけの事・・・」

「・・・!!よくもっ!よくもっ!!」

 怒りのあまり、血管が切れたのか目を血走らせながら、ルドルフは護身用に持っていたPPKを抜き、女を撃とうとした。

「よせっ!!」

 パンッ!!

 突然、拳銃が暴発し、バランスを崩したルドルフは、玉座の階段を転がり落ちた。

「「「閣下!!」」」

「ルドルフ!」

 倒れたルドルフに、SSの兵士と笠谷が駆け寄る。

 助け起こされたルドルフは、暴発した拳銃の破片で傷ついたのか、右目から血を流していた。

「宮林!衛生員!」

 笠谷の叫ぶ声に、2人が救急キットを持って駆けつける。

「おのれっ!!よくも閣下を・・・殺せ!あの女を撃て!」

 指揮官の命令に、SSの兵士たちがウルテミアの女に向けて発砲する。

 しかし、その全てが見えない壁にあたるように、弾かれた。

「撃てっ!!」

 危険を感じた久松の命令で、隊員たちも89式5・56ミリ小銃の引き金を絞るが、結果は同じだった。

「無駄な事を・・・我は、あの男との約束は守った。短い間ではあったが、お主らは理想を叶えたはず・・・とんだ、邪魔が入ったがの・・・しかし、夢とはいずれ覚めるもの・・・終わりが来ただけの事・・・」

 玉座の檀上から、彼女は冷笑を浮かべて見下ろしていた。

 パンッ!!

 1発の銃声が響き、彼女は胸を押さえてよろめいた。

「何故・・・?」

「滅べ滅べって、うるさいんだよ。確か、どんな神話でも、人間を滅ぼそうとするのは、自分は神だとかってえらそうにほざいてる奴らばっかりだったな。まだ悪魔のほうがマシだな、奴らは人間を堕落させるが滅ぼしたりしない。俺たちが、おとなしく滅ぼされるのを待ってるなんて思うな・・・日本の神話に神殺しの矢の話があるんだよ・・・知らないだろうな」

 M1911A1MEUを構えた来島が、つぶやいた。

「来島、まさか、そんなの持ってたの?」

 樹村が驚いた表情で振り返る。

「持ってる訳がない。単なるマグレ当たりだ」

「・・・完治、変な事を弟に教えるなよ・・・」

 非常時に、とんでもない冗談を飛ばして、場をぶち壊すのは兄そっくりだ。もっとも、その凶悪さは弟の方が上だが。

「くっ・・・害虫が・・・」

 女の胸からポタポタと滴る血が、床に染み込んでゆく。

「「「!!?」」」

 青白い光に支配された、謁見の間がさらに明るくなった。

 ウルテミアの女を中心に、白く光る魔方陣が浮かび上がる。

「まずい!」

 カーラが叫び、慌てて詠唱を唱えた。

「久松、早く笠谷たちを、妾の結界の中へ!急げ!!」

「カーラさん。これはいったい?」

 久松は状況がつかめず、彼女に尋ねた。

「説明は後回しじゃ!急げ!!」

「2佐!!それに、貴官たちも早くカーラさんの後ろへ!!」

 久松の叫び声にはじかれるように、全員がカーラの後ろへ下る。

 笠谷は、SSの指揮官と共にルドルフに肩を貸し、カーラの許へ向かおうとした。

「○△□□××※※」

 聞いた事の無い詠唱と共にウルテミアの女から迸った白い光が、笠谷たちを飲み込もうとする。

 第1統合任務艦隊を、異世界に飛ばしたあの光に似ていた。

「尚幸さん!!」

「ナオユキ!!」

 悲鳴と共に笠谷に駆け寄ろうとする、宮林とイングリットを隊員たちが必死で取り押さえている。

「!!」

 その瞬間、ルドルフは笠谷たちの腕を振りほどき、渾身の力で2人を突き飛ばした。

「ルドルフ!?」

「閣下ァァァァ!!」

 ギリギリで光に飲み込まれずに済んだ笠谷の目前で、ルドルフは光の中に消えた。

「笠谷、時間が無い!!ここに、トマホークをありったけ撃ち込め!!」

「どういう事です!?」

「妾がかつて、異世界の出入口を塞いだ時の事を思い出せ、ここの真下にそれがある!あの時とは比べものにならぬほど、巨大なものがの。あの女はそれを暴走させようとしておる。トマホークの火力で焼き尽くせ!!急げ!!」

 カーラの怒号に、これはただ事ではないと思い、笠谷は無線員から無線機を取り、緊急連絡した。

「こちら笠谷!緊急支援要請!トマホークを今から言うところに撃ち込んでくれ!場所は・・・」

 笠谷は正確な場所を伝え、トマホーク発射を要請した。

「カーラさん!10分後にトマホークが来ます。今すぐ退避してください!」

 笠谷がカーラに言うが、彼女は首を左右に振った。

「残念じゃが、こいつを封印できるのは、妾だけじゃ。妾のことはいい。さっさと行け!」

「何を言ってるんです!!貴女を置いて行けるわけないでしょう」

 笠谷は無理やりカーラを抱え上げようとしたが、逃げられた。

「すまぬが、お主のこの時計を譲ってもらうぞ。力を借りたい、イングリット、早うこやつらを連れ出せ」

 いつの間に抜き取ったのか、カーラの手には笠谷の祖父の形見の、懐中時計があった。

「わかったわ」

 笠谷は止めようとしたが、イングリットは転移魔法の詠唱を唱え、笠谷たちを強制的に皇帝官邸の外へ転移させた。



「時間を奪われし者たちよ、妾に力を貸してくれ」

 カーラは結界を解き、激しい光の暴風の中にその身をさらした。

「其方らの悲しみ、永久(とこしえ)の平和への願い・・・それを、其方らの子孫、さらにその子らの未来のために使わせてくれ・・・」

 カーラの手の中で、止まった時計は70年以上の時間を取り戻すかのように、時を刻み始めた。

 パシン!

 音と共に時計は粉々に砕け、光の粒子となった。それは、かつての大戦で失われた多くの命、この戦いで消えた命が願う平和への祈りが、形となったもの・・・

「△○○×□※※・・・」

 粒子に包まれてカーラの詠唱が響く。

 その時、彼女の脳裏にある光景が流れた。

 雪のように降り注ぐ、薄いピンク色の花びら。

「美しいのう、これが直哉の言っていた桜吹雪か・・・」

 そして・・・

(なお)()

 満面の笑みを浮かべた高井直哉3等陸尉が目の前にいた。

 彼は彼女に手を差し伸ばした。

 カーラはその手を握ろうとした時、まばゆい閃光に包まれた。

 閃光に遅れて、熱い炎が広がった。



[フロリダ]、[ノースダコタ]、[ズムウォルト]から発射されたタクティカル・トマホーク12発が寸分の狂いもなく、全弾が皇帝官邸に命中した。

 皇帝官邸は跡形もなく消滅した。

「「「・・・・・・」」」

 笠谷、久松、イングリット、宮林、樹村、来島以下自衛官たちは消滅した皇帝官邸を眺めていた。

 笠谷たちは皇帝官邸のあった場所に挙手の敬礼をした。



 皇帝官邸が消滅した後、ネオベルリンで最後の抵抗していたミレニアム帝国軍、ナチス・ドイツ軍は一時、停戦を申し入れた。

 完結篇後篇第9章をお読みいただき、ありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 次回の投稿は今月の20日までを予定しています。

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