表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

逃げ道

「森川のくせに、なに直樹くんに見られてんの?うぜぇ。」

「いつもいつも、なんで平然としてられるわけ?

いつんなったら登校拒否してくれんの?」

「つーか、クラスにいらない。邪魔。」


トイレに連れ込んだと思いきやこれだ。

何もトイレじゃなくてもクラスでもどこでもいいじゃん、とか思ったけど、よく考えたらクラスでこんなことやったら武井くんに見られるよね。それを避けてるから女子はこんなとこ、つまり、男子が入れない場所に連れ込んでんだろうけど。


「おい、聞いてんのかよ。」

「聞いてるよ。


だから何?って話なんだけど。」


そう言って腕を組めば、明らかにイラつくのがわかる。


「あんたらの意見なんて興味ない。

次の授業、遅れたら先生に感づかれるんじゃない?」


そうトドメまでさしてしまう。

あー、馬鹿らし。

こんな風に、自分気にしてませんアピールをする自分自身が。

それに何よりもムカつく。





あんたらの意見なんて興味ない。




まぁ、嘘、だよね。

興味ないわけじゃないし、むしろ気になる。

人間誰しも、みんなに嫌われたいなんて願望を持つやつなんていない。

どちらかといえば好かれたいはず。

そんなの私だってそうだ。


でも、いつも冷たくものを言ってしまい、誤解されて、、、それでも治らないんだから中々よね、私って。


「まじあんた神経おかしんじゃない?」

「もうめんどくさい。行こ。」

「こんな女に関わってるとろくな目にあわないよ。」


だったら最初から絡んでこないでよ!

彼女たちが消えたのを確認した途端、唇を噛みしめる。




悔しい。




ただ泣きそうになるだけの自分が、悔しい。

悔しがってることしかできない、自分が悔しい。


「森川、さん。」


いつの間にかトイレに来ていたのか、同じクラスの女子の一人が近くまで寄ってくる。


「大丈夫?何かされなかった?」

「うん、大丈夫だよ。」

「そっか。辛かったら相談乗るから、遠慮なく言ってね。

じゃあまた。」




辛かったら、、、、、?

消えていく彼女の背中に全てを吐きたくなる。


今、現在辛い。

辛くないわけないでしょ!?

クラスでは話しかけない、でも誰もいないとこでは心配してくれる。

最初は話しかけてくれて嬉しかった。

でも、だんだんイラついてきた。




なんだ、この子誰にでもよく思われたいだけじゃんってね。

仮にいじめがばれたとしても、この子には逃げ道があるんだ。







影で心配して話しかけてたっていう逃げ道が。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ