リア充系ブサイク~作中で彼女は誕生しません~
イケメンになりたい、可愛くなりたい
誰もが羨むようなカオになりたい
人間として生まれ落ち、思春期を経験したものは誰しも一度は考えたことがあるだろう
しかし実際はどうだ?俺の顔は?もってのほかだ
本当に顔が良い奴なんてほんの僅かだ
だがそのほんの僅かな奴らがそいつら同士で幸せな男女交際をエンジョイしてやがる
クソったれもいいとこだ
女なんて嫌いだ そんな存在俺は知らない 知らなくてもよかった ダチとつるんでる方が楽しいに決まってる
それでもやっぱり思ってしまう あぁ、イケメンになって幸せな恋がしてみたい・・・
そんな思春期真っ盛りの嫉妬と煩悩に塗れた少年は、明日から大学生になる池田淳(18)
ピンク色の醜い嫉妬とは裏腹に彼の青春は誰もが羨むほど輝いていた
成績優秀、運動神経抜群、その上周りからの信頼も厚く、彼の周りには常に人がいた
ただ一点、彼はあらゆる人から心配されるレベルでブサイクだったのである
それでも、これまでの学校生活は何ら問題が無かった
今まで彼が居た田舎の学校は中高一貫の男子校だったからだ
つまり異性の目が無く、皆長い付き合いだったため、顔が悪くても大した問題では無かったのだ
大学も付属していたが、成績の良さから周りに勧められ、惜しまれながらも国内屈指の大学へと一人進学する事になり、今に至る
そう、多感な中高6年間も同じ人間たち、しかも男ばかりとつるんでいたブッッッサイクな少年が、たった一人で都会の共学の大学に通う事になったのである
彼は大学が始まる直前、オリエンテーションの時に改めて認識してしまった
周りに知り合いが居ないことと、6年間もまともに関わったことがない異性の存在がいること、そしてなによりも自分が信じられないぐらいブサイクであるということに・・・
「大丈夫~淳ならすぐ友達出来るって~、ほらやっぱ良い奴だし、なんといっても俺たちの誰から見ても 淳は凄い奴だと思うよ~」
そう言って長年の友人である賢はPC越しに俺の背中を押してくれる
「・・・お前はそれを俺の顔だけを見て言えるのか?」
「えぇ~何言ってるの、もう淳の顔なんて見飽きるぐらい見てるじゃん~今ならにらみ合っても笑わずに いられるよ~」
賢は(本人以外)誰もが認めるTHE・天然である 悪意のない返しが俺の心を抉っていく
「そういう問題ではなく・・・それにさ、女子もいるとやっぱり顔が悪いと周りからも避けられるのはい 否定できないというか」
自分で言っておいて恥ずかしくなり段々と小声で早口になってしまう まるで少女漫画の世界の友達に恋愛相談する女の子だ 自分に置き換わってると思うと凄く気持ちが悪い
「女の子ならこっちの大学だって入ってくるよ~?あ~でも僕もそれは緊張するかな~家族以外の女子な んて久しぶりだよね~女の子と同じ学校で授業なんて考えられないよ。大丈夫大丈夫、皆淳のことを 知ってくれたら仲良くなってくれるって~、淳と同じぐらい頭が良い人ばっかり居るところなんだよ? そんな気にすることないとおもうけどな~」
「世の中所詮顔だろ!!!お前はなんかもうそのキャラと童顔でやっていけるだろうしダチもいっぱいい るからいいじゃないか!」
賢は(本人以外)誰もが認めるTHE・童顔だった 何をどう間違ったかトチ狂った先輩から告白されたことがあるレベルの整った顔立ちをしている
「そんなこと言っちゃ淳を尊敬してる皆に失礼だよ~僕だってもっと男らしくなりたいんだからっ 皆 も淳のこと応援してたよ~ みんなの誇りだって ちゃんと淳自身が頑張らないとダメだよ~皆も困っ たらなんでも相談してやるって言ってたしいつでも誰かに相談しなよ~ じゃぁねっ」
勝手に言いたい事だけ言って切りやがった
なーんて簡単に言ってくれてもねぇ 今日のオリエンテーションのショックは俺以外には伝わるまい
凄く良い奴らだし俺の誇りだ 賢も、他の皆も
中学に入って一番初めに友達になった賢でさえ俺の顔のことをフォローはしてくれない
それ程に俺の顔は酷いのだ
中学での入学式、たまたま俺の隣だったのが賢だ
彼は出会ってすぐに「面白い顔だねっ」とサラッと俺の顔を罵倒し何故かそのまま自然と友達になった
賢は持ち前の天然キャラと人当たりの良さであっという間に友達を増やしたが、俺は一部の集団からイジメにあった
人付き合いが苦手な法では無かったが、ただひたすらにブサイクという理由でイジメられたのである
そんなときに賢は俺に手を差し伸べた・・・わけではなかった
賢は俺をイジメてる奴らにこう言ったのだ
「淳くんの顔、見るだけで面白いよね、もっと一緒にいたいと思わない?」
そう、単にアイツはイジメが悪いことだと認識してなかっただけなのだ
だが俺は結果的にその言葉によってイジメから解放された
もともと人づきあいが苦手なわけでも無ければ運動神経だって遊びだってなんでも出来た
顔のことは自分でも小学校時代からどうしようもないことが分かっていたから自分からネタにしていた
気付いたら何故か俺は中高時代を皆から羨まれてしまうぐらい満喫していたのだ
俺の事をイジメていた奴らも、初めて同じクラスになった奴も、普段ほとんど言葉を発しない奴も、皆関わって色々知ってみると面白い奴らだったし、それぞれ凄いと思えて尊敬できる奴らだった
話が合わなくたって、性格が合わなくたって、良い所さえ見つけたらあとはもうそれだけで仲良くなれた
だから、新しい環境なんて余裕だと思っていた
きっかけさえあれば、友人も出来るし、それなりに楽しい大学生活は普通に送れると思っていた
だが今日のオリエンテーションで俺は悟った
まだ授業どころかオリエンテーションすら始まる前なのに、何故か会場の中にいる周りの奴らは自然と打ち解けあっている 俺は話しかけられすらしない
それならば自分からいかねばと思い話しかけたが皆そっけなかった
なんで中学高校とここまで応対が違うのか悩んだ俺は気付いてしまった
大学では関わらなければいけない人の数が、学生数に対してグッと少ないのだ
だからこそ俺みたいな見た目が悪い奴とわざわざ関わろうとする人間はいないのだ
っふ、なるほど、それなら見つかるまで片っ端から話しかけるまで!
そう思った俺は手あたり次第話しかけていこうとしたもののその熱意は決意してから二人目で挫けることになる
「あの、教育学部の方ですか?僕地元から一人で出てきて知り合いいなくて・・・」
「ヒッ!?」
数年ぶりに話しかけた女子だった しかしその反応は俺の心を砕け散らせるにはあまりにも十分過ぎだ
「突然すいませんでした」
思わず俺は頭を下げて謝り立ち去ってしまった 周りを見渡すと基本男同士女同士で話しているものの中には男女で楽しげに談笑している者たちも多く居た 彼らは皆、自分と比べると圧倒的に美男美女だった
「ふぅ~~~~~~」
一通り思いを巡らせたあと大きく息を吐いた
所々からちょっと辛い視線を感じる
俺の楽しいキャンパスライフはまだまだ遠そうだ
淳のキャンパスライフはこうして残念な幕開け・・・となったわけでは無かった
散々なオリエンテーションを経験し、友人と通話を終え、もう今日の予定は特に無く、修羅の道まった無しの大学生活初日を迎えるために安らかに一日を終えようとした彼の家に、チャイムの音が鳴り響く
ピンポーン
「はーい!誰だよ、もう夜だぞ」
ガチャッ
どうせ配達か何かだろうと思いながら淳が玄関のドアを開けると、そこには今日初めて出会った謎のイケメン男性が微笑しながら立っていた
「O大学の方・・・ですよね?」
そう、会ったのは今日、オリエンテーションの会場だ、とはいえ話もしていない、ホントに姿を見かけただけの男性だった
「初めまして、池田淳さん、私は政経学部一年の本多脩と申します」
何故自分のことを知ってるニヤケ面の男性が突然自分の家を訪れているのか何一つ理解が追い付いていない様子の淳を気にする風もなく、本多修を名乗る男性は、コンビニの定員がお弁当をレンジで温めるか確認するぐらいの勢いで続けた
「あなたの知識と私の顔、貸しあいっこしませんか?」
淳は目の前の男の言葉を簡単に理解出来る程バカにはなれなかった
ただ一つだけ出た結論は、幾ら自分の顔を見慣れた友人達でも今の自分の顔を見たら堪えられないだろうなということだけだった