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30分小説

理解

作者: 雨月 嶽

ニュースの画面に

「宇宙人の姿が今確認されました!」

というアナウンサーの台詞と共に、画面がホワイトアウトする。

次の瞬間画面の中には宇宙人がいた。

そんな衝撃的な出来事から50年。

宇宙人は私たちの日常になった。

私たちは宇宙人たちに日本の文化を教えた。

換わりに彼らは、技術を与えてくれた。

彼らの技術はすばらしいものだった。

私たちの知り得ない新たな科学の恩恵をもたらした。

それにより、私たちは体を動かすことなく生活をすることが出来るようになった。

私たちは、次第に太っていた。

今では宇宙人に教えてもらった技術で作った、箱のような部屋で一人一人が生活をしている。

もちろん、その部屋にはほしいものが何でもあったので、部屋から一歩も出ることはおろか、体を動かすことなく、生活が出来た。

宇宙人は、時々私たちの様子を見に部屋訪れることはあるが、もう新しい技術を教えてくれることは無くなった。

彼らいわく、もうこれ以上の科学の発展は必要ないということらしい。

私も彼らに賛成だった。

だって、何もしなくても生活が出来るのだ。

本当に、これ以上の技術は必要ないくらいに。

私たちは、次第に足が無くなっていった。

なぜなら、歩かなくとも運んでくれるから。

手も無くなった。

なぜなら、全て口で命令すればいいから。

こうして私たちは、太った芋虫のような外見になった。

宇宙人たちはそんな私たちを『グリム』と呼んだ。

彼らの言葉で、芋虫という意味らしい。

考える必要の無くなった私たちにとって、なんと呼ばれようが気にしなかった。

私たちは脳まで退化していたのだ。

そのうち、宇宙人は私たちを番号で呼ぶようになった。

もちろん、そんなことなど気にはしない。

それよりも、目の前にのテレビに私たちは夢中だった。

不意に、私の名前が呼ばれた。

宇宙人は私たちの誰かを一日に一回呼ぶ。

呼ばれたものは部屋から連れ出され、二度と帰ってこない。

宇宙人は最高の娯楽施設へ移したと言っていた。

私もそこへ行ってみたい。

ふいに私のなまえがよばれた。

わたしはよろこびいさんでとびらのそとへでた。

わたしはべるとこんべあーというものにのせられ……


「おい、今回のはどうだ?」

「ああ、いい感じに太っている」

「そうか、それじゃあ高く売れそうだな」

「お、休み時間らしい」

「まってました昼飯にしようぜ」

宇宙人たちが出てきた部屋の表札にはこう書かれていた。


『食材育成および加工室』


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