死神は悪者ではないという現実
ジオがヘドロシティの危険区域に入って行った後、ノイン達は一度
リベリータウンで体制を立て直すことにした。
しかし、ノインはジオが危険区域に入って行った人物だと知った時、
ノインは絶望してしまった。
あの時ジオを止めていれば...
そんなノインは気分晴らしにリベリータウンの散歩をしていた。
「...はぁ」
僕はノイン・スロウス、青い体の竜人
関西弁が目立つとよくガルに言われた事がある
...いつもは関西弁じゃないんだけど
関西弁は相手を笑顔にする為に使ってると言うか...
...まぁそんな事どうでもいいか...
...ジオ...
「...はぁ」
本日二回目の溜息
今、僕はリベリータウンの広場のベンチに座っていた
気を晴らす為に来たんだけど...
全然晴らせない...
ガルや市長さんも悲しいのは知ってるけど...
...それでも...いつまでも悲しいよ...
僕は、広場で涙を流した
(...だめだ、泣いてちゃ...)
僕は涙を拭いた
僕は広場の真ん中にある噴水を見ていた
いつも綺麗な噴水だ
この噴水を見ると...少しだけ、気が晴らせる気がした
すると、噴水を見ていると、噴水越しに竜人の姿が見えた
最初見た時はどうとも思わなかったんだけど...
...よく見ると
...ジオ・ヒポクリットだった
「...!」
僕はジオを追いかけた
ジオは逃げる気はさらさらなかった
僕は、ジオを捕まえた
「ジオ!」
僕はその竜人の名前を呼んだ
「...ノインさん」
「ジオ...!生きてたんだ!」
「...関西弁じゃなかったでしたっけ」
「そんな事はどうだっていいんだ!」
「...はぁ」
「よかった...」
僕は、目の前に居るジオを抱きしめた
「むぐ...苦しいですよノインさん」
「ごめんごめん...会えたのが嬉しくて...」
「そうですか...」
「それで...ジオ、何でこの街に?」
「あぁ...それは」
僕達が話している最中に、聞き覚えのある声に呼ばれた
「おーいノイン」
「あ、ガル」
「大丈夫か...って...え?」
「...どうかした?」
「いや...その竜人って...」
「どもです」
「え、えぇぇ!?」
「あー、やっぱりこうなるか」
「予想はしてましたけどね」
「それにお前体も青に戻ったじゃないか!」
「あぁ、色々ありましたからね」
「心配したんだぞ...馬鹿...」
ガルは、泣きながらジオを抱きしめた
「く、苦しいですよ」
「うるさい...もう少しさせろ」
「ガルが泣く事滅多にないのにー」
「うぅ...」
*****
広場のベンチに座り、事情を聞いた
「...この街に帰ってきたのは...皆さんに会えると思ったからです」
「そして...何故体が青に戻ったのか...それは僕がヘドロじゃなくなったからです」
「ヘドロ...確か危険区域に入る為に必要だったな」
「...僕がヘドロになったのはある少年に出会ったからです」
「港町でガルさんの家に泊めてもらった時、散歩に行ったとは言いましたが...あれは嘘です」
「僕は遠く外れた洞窟で少年に、僕の体をヘドロにされました」
「そしてヘドロで危険区域に入ると...そこは地獄でした」
「少年の家族が皆殺し...いえ、前の姿の危険区域に立ち行った人々の死体がありました」
「危険区域を何故少年が作ったのか...それはそんな地獄を見せない為です」
「少年は生まれつき体がヘドロで...その為周りの科学者等はその少年を狙ったそうです」
「そして科学者達は少年の家族などを殺した...」
「少年は哀しみでヘドロシティの科学者を全員殺したそうです」
「少年はもう誰にも会いたくないと言う気持ちが表れ、危険区域に立ち入った人々は全員殺したそうです」
「...そして、何故少年は僕を元に戻したのか」
「...少年はこう言いました」
「君には大切な人が沢山いる...そんな君は、この場所に相応しくない」
「そう言って、僕の体を元に戻しました」
「少年は笑顔で「さよなら」と言ってくれました」
「僕も少年にさよならと言いました」
「...そして、危険区域から出ると...危険区域があった場所にはなにもありませんでした」
「広い穴はなくなり...広場が出来ていました」
「花が咲き...木も生えていた」
「...僕はその広場から出て、このリベリータウンに戻りました」
「...僕は死神としての力がある為...この街では自由ではありませんが」
「...僕は皆さんと一緒に居られるのなら構いません」
「例えその先が地獄だったとしても...」
*****
「...長話申し訳ございません」
「い、いや、いい話だったし...いいよ別に」
「...あ、そういやノイン、市長さんが話があるって」
「へぇ...何の話?」
「何でもジオの事だそうだ」
「僕...?」
「じゃあジオもついていっていいのかな」
「...大丈夫だといいんだがな」
暫くして
市長さんの部屋の前でジオは待機することになった
「どうぞ」
「失礼します」
「...ノインさん、来てくれましたか」
「それは市長さんのお願いなんですから」
「...そうですか...では、話に入りますが」
「...ジオ・ヒポクリットは死神だと言う事はご存知ですね」
「はい」
「ヘドロシティにてあらゆる街の市長があつまりましたが...その際の会議によって決まりました」
「...?」
「...」
『ジオ・ヒポクリットの指名手配及び死神を罰する事は断じて却下』
「...え!?」
「...ジオ君は死神としてあらゆる人を殺害してきましたが...その全てを許される事になりました」
「...」
「条件は...死神の力を世界安全の為に使えとの事です」
「...へぇ」
扉の向こうからそんな声が聞こえたと同時に、黒いコートを着た竜人が入ってきた
「お邪魔します」
「君は...」
「...市長さん、あの時ヘドロシティで会ったのはその為だったんですね」
「...その声は!」
そうして、竜人は黒いコートを頭の帽子部分から脱いでいった
そこに現れたのは...
死神の友人、ジオ・ヒポクリットだ
「ジ、ジオ君!」
「お久しぶりです、テオ・グッドネス市長」
ジオは笑顔でそう言った
「まさかそうなるとは...嬉しい限りですね!」
「は、はぁ」
「それで...条件の話なんですが、まず何をやればいいのですか?」
「簡単に言うと...人助けでしょうか」
「おぉ、それなら何時もしてるから大丈夫ですね、これからもすればいいだけだし」
「...あ、ガルさん、ノインさん」
「何だ?」
「何?」
「お二人とも...」
『何時もありがとうございます!』
そう言って、ジオは街に出た
そう、この世界の為...
人助けをする為に
Happy END
まさかの最終回、如何でしたでしょうか?
不評?結構結構。
と言う訳で獣人達の冒険物語をご閲覧ありがとうございました。
色々急展開だったかもしれないけど気にしない。
それではありがとうございました。




