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第6話 そして衝撃の事実

 お気に入りの喫茶店で、衝撃の事実を知った。僕はいったいどうしたらいいんだ。自分の浅はかさが悲しい。いや、むしろ憎い。これからの雨期。僕は何を楽しみに、毎日を生きればいいと言うのだ。


 会社の帰り道。チェリコ先輩を乗せて帰る時、残業で遅い時間じゃない限り「からから」に寄るのがいつもの流れとなっている。

 まだ入社したての新人の頃、今日も一日ご苦労様でした、僕。と、そんな意味も含めてふと寄り道したのがきっかけで、いまや常連。チェリコ先輩も気に入っているみたいで車代としてのつもりか、いつもクッキーは奢ってくれる。お茶は奢ってくれないけど。


 「からから」は20代の姉妹(記憶が正しければ、お姉さんのマリカさんは5年前から20代後半、と言い続けている)2人で経営している小さな喫茶店で、お茶類が充実していて、特にミルクティーと日替わり手作りクッキーがおいしい。2人きりでお店をきりもりしているので、席数もカウンター4席、2人がけのテーブル2つと、この何もかもに手が届く感が僕のお気に入り。


 今日も帰りにチェリコ先輩と寄って、当然のように僕は「一番霧茶」の話題を切り出した。

 「からから」にはさまざまなお茶類が置いてあり、お茶担当の妹さんのマナカさんの厳選されたお茶は何を飲んでも間違いがない。この時期の期間限定で霧茶も用意されていたが、ふふふ、僕の「一番霧茶」にはかなうまい。なんて言ったって、一番だ。一番。一番最初の朝霧をたっぷり吸い込んだ「一番霧茶」だ。

 

 マリカさんもマナカさんもそれをぜひ飲んでみたいと言い、チェリコ先輩は、試してみる価値はあるか、などといつもの調子。素直じゃない人だ。本当は僕の部屋に忍び込んでも欲しいくせに。


 冷凍保存してあるから、明日持ってきてみんなで飲もう。


 この僕の一言で、マナカさんの楽し気な表情が曇った。彼女が言うには、霧茶はまさに生もので、カビはもちろんの事、水分がなくなってしまうのが保存に気をつけないとならない重要なポイント。そして小さな茶葉に水分を貯えているだけで、肉や魚と違って冷凍してしまえば、凍結した水分はあっと言う間に茶葉から染み出てしまうらしい。

 つまり、そういう事だ。

 さっき、確認した。

 昨日までのみずみずしい濃い緑色した茶葉は、パリパリに凍っていた。指先で摘んだだけでパラパラと砕けて粉茶のようになってしまい、僕の雨期の期間の唯一の楽しみも喜びも希望も、パリパリパラパラと音を立てて細かく粉となり、風に飛ばされてしまった。


 今年の霧茶、まだ売れ残っているかな。

 なんか、もう、どうでもいいや。どうでも。

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