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 たまが最初に蘇生術を使ってから、在太たちはいくつもの集落を過ぎた。その間に何件か依頼を受けたが、たまはその度にできると駄々をこね眠った人々を生き返らせた。正直、在太の出る幕はあまりなかった。たまのお陰で収入は増えたが、理由のない不安は深まるばかりだった。


 秋は深まり、山はより一層燃えるように色づく。一歩一歩踏み締める枯葉の量も増え、爽やかな風は次第に冷たくなっていく。


 ひと柱のリンガを中心として生物の生存可能地域を設定したものを郡といい、それ以外は荒野が広がっているのが常である。しかしこのハーヴァ郡は王都から少し離れているためか砂漠化がそこまで進んでおらず、郡内に広大な山脈と森林を有している。在太たちは時に野宿をしながら、リンガを目指して街道を進んだ。


 白樺の林を抜けると、湖を縁取るように盆地が広がっている。そこはこの郡で一番栄えた、宿場町リーティだった。山岳の村々を繋ぐ交通の要衝でもあり、信仰の篤い都市としても名高い。


 通りに沿うように立派な木造家屋がこれでもかと密集し、旗やランプで彩られた路地は人通りも多い。旅装の者についても、行商人だけでなく、在太以外の来迎屋もちらほら見かけるようになってきた。それでも差別がないわけではなく、相変わらず仮面の者は避けられるが。


「この騒ぎは、なんですか?」


 たまは不思議そうに露店や見せ物がひしめき合う大通りを見ている。


「もうすぐ新年祭(ディワリ)なんだよ。この時期はどこのリンガもこんな感じ」


「お祭り……!」


 たまは長いまつ毛を瞬かせた。


「お前、祭りが好きなのか」


「よく覚えていませんが、なんだかワクワクします!」


 そう言うと露店の一つに向かっていき、店先に並べられた装飾品を眺める。色とりどりの装飾品は子供用のちゃちなものばかりだが、たまを興奮させるには十分だったらしい。


「世界にはこんなに美しいものがあるんですね! あれもこれも、キラキラしていて、華やかで」


 たまの目は獲物を見つけた猫のように輝いている。


「欲しいのか」


「え! いいのですか!」


「一個だけだ」


「在太のケチ! むむう、悩みますね」


 顎に手を当てて、たまは真剣に考え出した。


 結局小一時間ほどこれでもないあれでもないと悩んだ挙句、たまは小さな鈴のついた赤い石の首飾りを選んだ。楽しげに歩くたびにチリンチリンと鈴が鳴るので、在太はますます猫に近づいたなと思った。


 露店を巡り歩いているうちに、昼になって腹も減った。屋台や食堂から香る香辛料の匂いに誘われ、在太とたまは大通りに面した食堂に入った。どうやらこの辺りでも有名店らしく、大衆向けの酒場を兼ねた店内は、旅人でごった返している。ハーヴァ名物の辛い蕎麦を頼み、茶をすすって待っていると、周囲の客の会話が耳に入ってくる。


「知っているか、南の方のリンガがまた倒れたらしい」


 前の席の短髪の男が言った。どうやら行商人のようだ。


「倒れるだけだろう、逃げればいいだけじゃないか」


 向かいに座るいかつい男が言う。この男も同業だろう。


「そんなことはない。リンガが倒れると、森が燃え、天が落ち、気枯れがそこら中に広がるらしい。とても生きていける場所ではなくなるそうだ」


「しかしまあなんでそんなことが起こるんだ。王の治世は完全無欠で安泰だろう」


 短髪の男は、周囲に気を払って声をひそめた。


「……噂じゃ、賎民の仕業らしいぜ。王に楯突いて反乱軍なんて作るからバチが当たったんだとよ」


「それで普通の民衆まで酷い目に遭うだなんて、とばっちりじゃねえか」


「しっ、声が大きい」


 在太はまた俺達のせいか、と思ってそこで聞くのをやめた。賎民に責任を押し付けたがる輩はどこにでもいる。幸いたまは初めて食べる蕎麦に夢中で、周りの会話は聞こえていないようだ。また気を悪くするのではないかとヒヤヒヤしていた在太は、ほっと胸を撫で下ろした。


「ハーヴァのリンガはもうすぐだ。食べ終わったら行くぞ」


 たまは蕎麦をモグつきながら、んー、と返事をした。




 目の前に、白い柱が屹立している。


 一口に柱と言っても、その太さは城郭一つ飲み込めるほどもあるだろう。表面は陶磁器のようにつるりとしており、その柱の果ては雲の中に吸い込まれ、肉眼で見ることは不可能だった。澄んだ湖畔に寄り添うように立つ柱。これこそが、ハーヴァ郡のリンガであり、郡都リーティを支える支柱だった。


 なぜ、ここに立っているのか、いつから立っているのか、誰も知らない柱。万物の生命力である「気」を発生させるため、と言われているが、それすら学者の中で言われている仮説である。そもそも気を見ることはできないため、研究のしようがない。しかしこの柱を中心として植生があり動物が繁殖し文化が栄えるのは紛れもない事実であり、リンガがないところに生命は長く維持できないのは自然の摂理であった。リンガはその雄大さから、民衆の信仰対象にもなっており、参拝客も後を立たない。在太たちは五体投地する巡礼者を横目に、その麓に到着した。


 たまは柱の前に立ち、食い入るように見つめている。


「なんか思い出したか」


 在太が聞くと、たまは首を横に振った。栗色の緩い巻き髪がふわりと広がる。


「何も。そもそもこれじゃありません。私の知ってる柱は、もっと、大きくて」


 記憶をたぐるように、言葉を選ぶ。


「そう、赤かったです。なんというか、一本の柱というよりは、寺社建築が何層にも折り重なっているような形をしていました……塔と言ったほうがいいのかもしれません」


「塔?」


 在太は今まで旅した場所を色々思い起こしたが、寺社の塔は多々あれども、天まで突くような赤い塔などは思い浮かばなかった。そもそも、リンガより大きい建築物など見たことがない。一気に振り出しに戻ってしまった。


 逆立ちしても塔には見えないよなあ、と思ってぼうっと見ていると、後ろに並ぶ参拝者が詰まってきてしまった。リンガに向かって慌てて一礼をする。


「いくぞ、たま」


 在太は降ろした棺を背負い直すと、次の参拝者に道を開けた。たまもそそくさと続く。人混みを縫いながら、ぶつからないように歩く。


「これから、どうしましょう」


「どうするも何も、赤い塔を探すしかない。まずは手始めに……」


 その時だった。


 天がごうと鳴き、雲が揺れた。


「え」


 見間違いかと思ったが、そうではなかった。どこまでも続く青空を切り裂くように、黒く亀裂が走っていた。まるで、氷がひび割れていく様を見せつけられているかのようだった。参拝客たちは起こった出来事に対し、ただ呆然と空を見つめている。目の前で何が起こっているのか、理解できなかった。


「リンガの倒壊だ!」


 誰かが叫んだ。この声を聞いた民衆は一気に混乱に陥った。まさに食堂で聞いた、あの話だった。まさか城郭のような太さの、天まで伸びる柱が倒れてくるだなんて、それが目の前で起こるだなんて、そんなこと起こるはずがないと思いながら、しかし現実に不可解なことが始まっている。背中に汗が伝う。咄嗟に在太はたまの手を掴んだ。


 そうこうしている間にも、空の亀裂が大きくなっていく。亀裂は稲妻のような軌跡を描き、リンガに向かって一直線に伸びる。


 先ほどまで快晴だったはずなのに、どこからか湧いた黒雲がリンガを包み始めた。雨粒が一雫、地面を濡らしたと思ったその瞬間に、周りは桶をひっくり返したような豪雨となっていた。


 逃げなければ。


 さもなくは大変なことが起きる。


「在太」


 雷鳴が鳴り響き、真っ黒に染まった空が光った。一目散に走り出した在太に、たまは不安そうに声をかける。


「大丈夫」


 その言葉は自分に言い聞かせるためでもあった。在太は懐の黒い短刀を握りしめた。


(来迎屋は、師を看取ってはじめて一人前になる。介錯刀は先代の気が乗り移ることよって、切れ味が鋭くなるからだ。俺が死んだら、この刀を俺だと思って使うんだよ、在太)


 師匠は眠りにつく少し前に、在太にこの短刀を預けた。以来、この銘のない介錯刀は、師匠である釈天の形見だった。いまいち信用ならない師匠ではあったが、在太にとっては唯一の身内で、家族だった。賎民である在太を危機から守ってくれる者は、王ではなく釈天だった。


「釈天、俺とたまを守ってくれ、頼む」


 眩い白さだったリンガが、毒に侵されたように黒く染まっていく。亀裂はリンガの表面までに及び、軋みあげ遂には真ん中からぱっくりと割れた。


 リンガが大きく傾いて、地面に落ちてくる。


 天が落ちてくる。


 神聖なものが崩れ去る瞬間は、こんなにもあっけないのかと在太は思った。巨大な柱は地面に影をつくり、民衆は悲鳴を上げながらリーティの街を四方八方に逃げ惑う。


「あぶない!」


 たまが叫ぶ。鼓膜が破れそうなほどの雷鳴が鳴り、周囲は昼間のように光った。


 雷を纏った柱が、在太の頭上に落ちてくる。


 死ぬ、と思った。


 この場にいた全員が悟った。これは生優しい永遠の眠りなどではない。これは死だ。リンガの崩壊は、死という感覚が麻痺した人類にとって、初めて体験する死の恐怖


だった。自分自身が、壮絶な痛みと共に消えるという恐怖。


 ひとつの世界が終わるという、恐怖。


 在太とたまの真上に柱が迫ったその時だった。


「くわばら、くわばら」


 どこからか師匠の声が聞こえた気がした。その瞬間、在太には世界の刻が止まったように感じた。全ての物体がゆっくり動き、自分だけが通常の時間を過ごしているような感覚。在太はその世界の中、覆いかぶさるリンガの影から、やっとのことで脱出した。


 腐り落ちたリンガは、雷電を撒き散らしながら地面に広がった。


 轟音は鳴り止まない。森は燃え、人々は泣き叫ぶ。焦げ臭い匂いと、鉄の匂いが満ちていた。在太とたまは息を切らしながら地面にへたり込んだ。


 人は死んだら、この世界の他に、違う世界に転生することもある。その一つに地獄があった。死が充満し、炎が燃え、黒雲は空を覆う。二人の目の前に広がっている光景は、まさにその地獄さながらであった。


「報いだ」


 誰かが言った。


「王に楯突いた者たちへの罰だ」


 その声は、涙で濡れている。それは全てを平らげる、絶対的な王への叛逆。


「賎民のせいだ!」


 誰かが投げた石が、在太の頭に当たる。


「なんで、賎民のせいで俺たちがこんな目に遭わないといけない!」


 いつの間にか在太の前に立っていた男が、在太の襟首を掴んだ。小柄な在太は、男の腕力で簡単に持ち上がる。


「やめて!」


 たまの叫び声は、しかし騒音にかき消された。


 在太には何が起こったか分からなかった。ただ、頬に鈍痛を感じた。


 在太の四つ目の、角の生えた面が、少しずれた。


「うわあああああ!」


 男はのけぞった。在太から手を離す。まるで、穢いものに触れてしまったかのように。


「化け物!!」


 男は在太に向かって叫んだ。その声に釣られるように人々は混乱し、在太から、面を被った者たちから体を遠ざけ、散っていく。


 どさくさに紛れて在太はたまの手を強く握り、引っ張った。全力で走った。頬が痛むが、そんなことは障害にはならなかった。誰も二人の行末など気にしていなかった。


 叩きつけるような雨が、体を濡らしていく。


 在太は、唇を強く噛み締めた。




 在太たちは命からがら地獄と化したリーティの街を抜け、森の中に逃げ込んだ。ちょうど入れそうな岩の切れ目があったので、雨除けのためにしばらくここで腰を落ち着かせることにした。切れ目は二人やっと身を隠せるほどの小さな洞窟になっていた。


 乾いた地面にしゃがみ込んだたまは、くぐもる声で言う。


「なんで、在太が殴られなきゃいけないんですか」


 その声は細く震え、今にも泣きそうだった。


「しょうがないだろう。賎民とはそういうものなんだから」


「おかしいですよ。賎民だって同じ人間じゃないですか。なのに、なぜ全部賎民のせいになるんですか」


「……王は手のひらの上で水と土塊をこね、人間をお作りになられました。人間たちは手のひらの上で、王が分け与えた不死の薬を飲み、死ぬことのない体を得ました。しかし、王が慈悲を与えてくださったにも関わらず、指の間から零れ落ちた者たちもいました」


 それは誰でも知っている神話だった。王がこの世界を作り、治めるまでの物語だ。


「その者たちは、不完全な人間になりました。ある者は生まれながらにして傷を持ち、ある者は不治の病を持ち、ある者は獣が混じり半獣になりました。その者たちは不死の薬を与えられず、地獄に落ちたため、短い生で死を撒き散らす鬼になりました。のちにその鬼たちは、賎民の祖となったのです」


 在太はずっと顔を覆っていた面を、ゆっくりと外した。


 その顔は黒い痣が全体に走り、皮膚は引き攣り半分に割くように大きな傷跡を形成していた。化膿した肌はじゅじゅくと歪み、べとついていた。かろうじて顔の部位は原型を保っているが、形が整っている分肌の醜悪さが際立っている。直視するのが億劫になるほど、痛々しい顔だった。


「普通、傷や痣なんてすぐ消えるだろ。だけど俺は、生まれつきこの顔だ。わかるだろ、俺は生まれながらにして不吉な物なんだよ」


 そういうものなのだと受け入れるしかないほど、当然のように差別されてきた。避けられるのも、いじめられるのも、汚い場所に詰め込まれるのも、在太にとって日常でしかなかった。傷のない美しい肌が当然とされる世の中に、在太の居場所はどこにもなかった。


「これでも同じ人間だと、言えるのか」


 在太にとってみれば、たまだって「そちら側」の人間だった。欠けることのない月、欠けたとしてもすぐに満ちる月。どれだけ足掻いても、手に入れられない物。


 たまは決意したように、しばらく伏せていた顔を上げた。


「言います。だって、在太は生きているじゃないですか」


 仮面越しにも伝わるほどの気迫が、そこにはあった。


「一生かかったとして、私は在太や気枯れに関わる人々のことを完全に理解はできないでしょう。でも、理解する努力はできます。だって、在太はそこに存在するんですから。心をもつ人間として、存在するんですから。だから皆みたいに、仮面から目を背けることなんて、絶対にしません。私の心が許しません。もう一度言います。在太は、私と同じ、人間です」


「俺と一緒にいたせいで、たまが早く死ぬとしても?」


「ええ」


 あまりにも毅然と言うものだから、在太は狼狽えた。


「嫌なことをされたら、在太だって怒っていいんです。在太も同じ人間なんですから」


 在太の人生は、人間への絶望と諦めでできていた。感情は抑えるしか方法はなかったのに、なぜ今更こんなことを言われるのだろう。まだ年端も行かない少女に。


「……なぜ、俺にそんな執着をするんだ」


 いつの間にか在太の手は震えていた。たまは、その痣だらけの手の甲に、そっと手のひらを重ねた。


「在太が助けてくれなかったら、私はあの湖で溺れていたかもしれません、焼き鮎の味も、一生知らなかったでしょう。私は、在太が優しい人だって知っています。だから、優しい在太が不利益を被るのは嫌なんです。これって、変でしょうか」


 在太は怖いと思った。今まで在太に優しく接した人なんて、いなかった。強いていえば師匠くらいだったのに、見返りを求めず真っ直ぐ見つめてくる人間がいるだなんて、理解の範囲外だった。


「変だよ、すごく変」


「え〜そうですか?」


 たまは何も動じていない。在太の傷だらけの体に触れるのだって臆さない。それは気枯れに無知であるだけではない。ひとえに彼女の純粋さが成せることだった。


 在太は、恐る恐るたまの手を握り返した。ほんのひとときであれ、その手の暖かさを知ってしまったら、もう戻れない。






 無数の足音で、在太は目を覚ました。


 岩の隙間から、一筋の光が差し込んでいる。いつの間にか朝になったのだろう。岩壁に切り取られた空は秋の青さを取り戻している。たまは在太の隣で幸せそうにいびきをかいて、大の字で眠っている。


「いたか!」


 それは怒号と言っても過言ではなかった。在太はその声を聞いて、一気に眠気が飛ぶ。追手かはわからないが、外に人間がいる。それも一人や二人ではない。その者達は誰かを探している。昨日のリンガ倒壊関連だとしたら、倒壊を聞きつけた王の軍勢かもしれない。王の配下の者だとしたら、倒壊に関わっていると噂されている賎民は、捕らえられてしまうだろう。しかし、小さな洞窟に潜り込んでしまった在太とたまに、もう逃げ場などどこにもない。在太は急いでたまを起こし、気付かれないよう呼吸を浅くする。


 じっと息を潜め、何事もなく人が過ぎるのを待つ。しかし二人の希望は虚しく、足音が一つ、こちらに近づいてくる。


 岩の隙間から漏れ出る光が、影で埋められる。


「誰かいるのか」


 男の声だった。光が男の禿頭を切り取った。男は二人を視認すると、後方に声を投げた。


「姐さん! 来迎屋が二人いるぜ!」


「今行く」


 今度は凛とした女性の声だった。若い声だが低く落ち着きがあり、耳に心地よさが残る声音だった。


 ザッ、ザッと軽い足音が聞こえる。在太は思わずたまを抱き寄せた。たまはまだ状況がわかっていないのか、ぼんやりした顔で洞窟の入口を見つめている。


 影がもう一つ増える。逆光になり、どちらも顔まではわからない。もう一つの影は奇妙だった。まるで、狐の耳と尾が生えているかのように頭部と腰に突起がある。女は迫害され絶滅したとも言われる獣人だった。髪は男のように短く刈り上げられており、その華奢な体つきだけが女を女たらしめていた。


 暗闇でも光る赤い瞳が、たまを見据える。


幸姫(さちひめ)様……?!」


 女は、幽霊でもみたかのように目を見張ると、急いでたまに駆け寄った。たまは、警戒して体を強ばらせる。


 女は片膝をつき、たまに首を垂れる。まるで、忠実な臣下が主人に礼を尽くすかのように。


「ずっとお探ししておりました。幸姫様」


 女の白い髪が、日光を反射する。その声はやはり落ち着いていたが、溢れる嬉しさが隠しきれていない。


「あなたは」


 たまが問うと、女は居住まいを正した。上げた面に、赤い瞳が爛々と輝く。


「申し遅れました。私は荼鬼(だき)。反乱軍「断頭衆(だんとうしゅう)」の首領です」


 自分の前に跪く狐耳の女を、たまはキョトンと見つめていた。

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