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横たわる老婆の胸に、そっと手を置いた。
「言い残したことは、ありませんか」
老婆を囲むように座る親族たちは、皆一様に頭を垂れている。黒い紬の衣擦れの音が時折空気を揺らすだけで、大広間にはなんの音も響かない。四つ目の面越しに参列者の顔を確認した在太は、その沈黙を是と受け取る。
老婆は心地よさそうに寝息を立てている。さぞいい夢を見ているのだろう。これからこの老婆の息の根を止めるのが憚られる程であった。この職に就いた当初こそ、心が痛み眠れない夜もあったが、慣れとは恐ろしいもので、わずか数回の執刀を経ただけで感覚が麻痺してしまった。
「では、始めさせていただきます」
そう述べる在太の声は、年齢の割に妙な落ち着きがあった。慣れた手つきで道具箱の引き出しを、すう、と開ける。きっちり揃った仕事道具の中で一際きらめくのは、黒い短刀。
柄に指を這わせた、その時だった。
「待て、来迎屋」
年の頃は四十を過ぎた頃だろうか、在太のことをじっと見ていた男が泣きつくような声を上げる。老婆の息子だろうということは部外者の在太でもゆうに推測ができた。
「本当に、やるのか」
男の顔には、恐れとも悲しみとも怒りともつかぬ表情が浮かんでいた。
もう、何度も見た顔だった。仕事を受けるたびに、出会う表情。
「それは、あなた達が決めることです。やめるというのなら、ここで止めても構いません」
するすると言葉が出てくる。究極の選択を迫られたとき、人は誰しも惑うものだ。時間をかけてゆっくりと決めさせたほうがいい、とは師匠の言だった。急いても後悔が残るものだから。
永遠にも似た、時が流れた後。
「……殺ってくれ」
男の口から漏れたのは、覚悟を決めた呻きだった。
「わかりました」
在太はこくりとうなずき、柄に手をかける。
一千年も昔のことだ。容易に人は死ねなくなった。刀で切ろうと脳が破壊されようと、すぐに再生する。寿命が尽きたとしても、死んだように眠り続けるだけで、息を引き取るということがなくなった。体は腐らず、ただ昏々と夢の中をさまよう。永遠の眠りというのは比喩ではなくなった。しかしそうなると、非情な話ではあるが、半分死んだ者たちの処理に困るのが社会というものだった。
そんな時代に呼ばれたのか、はたまた人々が望んだのか、本当の死を与え、正しい輪廻に戻すことを仕事とする職業が生まれた。僧とも医者とも葬儀屋ともつかぬこの職業はいつからかこう呼ばれるようになった。
来迎屋。
死出の使いを来迎させ、人々に終わりを与える生業。
「三宝に帰命す」
在太は刃に意識を集中させた。ふ、と息を止める。
幾度となく繰り返してきた作業。師匠から譲り受けた、手に馴染む短刀は、もう体の一部のようになっている。流れに身を任せるだけでいい。念仏の許に、慈悲を乞う。
「せめて、安らかな輪廻を」
そして、老婆の胸に、迷いなく切っ先を突き刺した。
一同が息を呑んだその部屋に、静寂が訪れた。
「あー」
空に向かって吠えた。吠えたところでどうにもならないのはわかっていた。でも声に出さなきゃやってられなかった。
いつものことだった。自分たちから指名したくせに、なんで殺したの、などという小言をちくちくと背中に頂いた。血飛沫も金臭いのも全部慣れたのに、こういった人の機微みたいなことは全く慣れなくて、言葉や雰囲気に刺されるたびに胸の奥が痛む。本当に損な職業であり、在太自身合わない職だというのはわかっていた。
しかし騒いだところで、特に共同体に属しているわけでもない、孤児の在太が自分で食いぶちを稼げる仕事は来迎屋しかないのだった。死に損なった人間を殺す仕事。来迎屋、それは当然侮蔑も含んだその名前。師匠は仕事に誇りを持てと言っていたが、在太が矜持を持つまでにはまだ時間がかかりそうだった。
真っ赤に染まった木々の隙間から、からりとした秋空がのぞいている。はらはらと紅葉が落ちる。気持ちよさそうに鳶が周遊している。在太の事情も心情も、なんにも知らないくせに、随分と機嫌の良い空だった。
山道をしばらく登って、もう先ほどまでいた集落は見えなくなった。座りやすそうな大木の下に腰を下ろす。着物の裾で手の汗を拭うと、お弁当にと宿の女将が分けてくれたおにぎりを頬張る。塩の効いた銀シャリは、もちもちとしていて、卒直に美味い。貴重な食料だ。これは今後のために残しておこう。次いつ食べ物を得られるかわかったものではないし。
仮面を上にずらし、竹の水筒を傾けて、少し喉を湿らす。
今夜は野宿になりそうだなあ、と秋の山相手につぶやいた。
一眠りしたら、また歩き詰めだ。次のリンガまでかなり遠い。今のうちに体力を回復しておかなくてはならない。在太は小柄な体を大木に寄せ、まぶたを落とす。しかしどっぷり疲れているはずなのに、全然眠れなかった。何か胸がざわついていた。心中は泡立つ波濤が寄せては返す様相を呈していた。虫の知らせというやつだろうか。思えば幼い頃からこの類の感覚は聡いほうだった。しょうがない、今はこの感覚に従おう。旅用の脚絆を丁寧に巻き直し、また歩き始めた。
道なき道を縫っていくと、突如、眼前に大きな湖が現れた。随分な山の中なのに湖はこっくりと深く、落ちたらひとたまりもなさそうだった。しかし不自然なのはそこではなかった。湖は季節外れの蓮で、びっしりと覆われていた。淡い桃色をした蓮は、紅葉にはあまりにも場違いだった。明らかに、前に来たときはこんなものなかったはずなのに。
在太はただ呆然と湖を見つめた。あまりにも幽玄な光景に、背中の棺桶を落としそうになっていた。慌てて背負い直す。
がさり。
遠くの方で、何かが蠢く音が聞こえた。気になる。音がした方へ足を向ける。湖の泥の浜に、足跡がついていく。
浅瀬に、少女が寝そべっていた。
在太は昔師匠と旅をしていた時に見た絵を想起した。齢十二くらいだろうか。折れそうなほど細くたおやかな四肢。湖水に溶ける栗色の長い巻き髪。蓮の花の間から覗く頬は淡い朱に染められて。まるで、絵巻から飛び出てきたお姫様みたいだった。ありえない湖に、幻想のような少女が浮かんでいる。あまりにも疲れすぎて幻覚でも見ているのだろうか。助けた方がいいのか戸惑っていると、少女が呻いた。
「うーん」
少女は身を起こそうと、体をくねらせた。しかし少女の下にあるのは固い敷布団ではなく、湖水である。当然体は沈み、もがいてざばざばと水飛沫が立つ。
濡れるのも構わず、在太は急いで湖に足をつけた。少女の浮かぶ場所は思ったほど水深はなく、同世代の中では身長が低い在太の腰に水面がくる程度だった。少女の体は羽のように軽く、簡単に抱き抱えられた。
少女はようやく目を開け、在太を見た。状況を理解していないのだろう、一瞬ぼんやりと動きを止めたと思ったら。
「下ろしなさいー! 私の体に触る無礼者です! 離してー!」
甲高い声は湖じゅうに響き渡った。水に濡れた髪は、少女が暴れるたびにそこらに水滴を撒き散らす。
「おい、暴れるんじゃない」
「いやー! ……あれ?」
少女は驚いたように大きく目を見開く。少女の攻撃が止む。いつの間にか在太の体はずぶ濡れになっている。
急に、糸が切れたように少女から力が抜けた。今までの元気は嘘のように、ぐったりと身を預けている。
いてもたってもいられなかった。在太は急いで岸から上がり、湖畔で野宿の準備を始めた。
夜もとっぷり暮れて、暗闇が紅葉の森を包み込んでいる。
在太は河で釣ってきた魚を串に刺し、焚火に立てかけた。持ち物の中に食用の塩がないか探していると、横で静かに寝息を立てていた少女が、気だるそうに身を起こした。慌てて着せ替えた服の感触が合わないのか、不思議そうに袖を擦らせている。元々着ていた白い絹織物は、木の枝で簡易的に作った物干しにかかっていた。その着物だけでも在太の一ヶ月分の飯代に勝るものだということは、旅暮らしの在太でもわかる。
「大丈夫か」
面越しに在太が声をかけると、少女はぼんやりとした眼を擦った。
「貴方は」
「在太。太く在れで、アルタ。流しの来迎屋だ」
「あるた……変な名前ですね」
それがあまりにも純粋な感想だったものだから、在太は少し狼狽した。在太自身、自分の名前を気に入っているかというとそうではないのだが。
「それは名付け親に言ってくれ。そういうあんたはなんなんだよ」
「私、私は……」
少女の顔が陰った。その顔には戸惑いが浮かんでいる。
「私は、なんでしょう」
「覚えてないってことか」
少女はこくりと頷いた。
「はい、名前も、過去も、実感のあるものとして今ここに存在しないのです。教えてください、私は、誰ですか」
まんまるな眼は不安そうに揺れるが、それだけではなかった。髪と同じ色の栗色の瞳には、強い意志が宿っている。在太は少し圧倒されてしまい、たじろぐ。
「いや、俺もそこの湖で溺れかけているのを引き揚げただけだしな。あんたが誰なのかは知らない」
「そうですか」
少女は折れそうなくらい細い足を体に寄せた。
「その、本当に何も覚えていないのか」
少女は、眉根を寄せてしばらく考えた後、自信なさげに在太を見つめた。
「……柱」
こぼすように、吐き出した。
「天を突くような柱がありました。すごく、大きくて、果ては見えないほどの柱が。私はそこにいかなくちゃならないんです。そこで、大変なことが起こっているから、私がなんとかしなきゃって、その焦燥感だけ、胸の中にあります」
抽象的な情景だった。在太にとっては、天を突くほどの柱、といえば思い浮かぶものは一つだった。
「リンガのことか?」
リンガとは人間が暮らすには欠かせない、空を支えるように立つ白い柱だ。リンガは溢れる生命力の塊。リンガがあるところに木は育ち、水は湛える。いわば肥料を絶え間なく噴射する柱みたいなものであり、多くの都市はリンガを中心として栄えていると言っても過言ではない。
「わかりません、そうかもしれないです」
消え入りそうな声だった。全てが曖昧な濁流に飲まれ、「柱」という唯一の藁に縋っているような風だった。少女は再び俯いてしまい、在太はなんとなく返事ができなかった。串刺しにした魚に塩をかけ、少女に手渡す。
「食べろ。食べたらなんか思い出すかもしれない」
少女はおずおずと魚を受け取った。小さな口で焼き魚にかぶりつく。口に入れた瞬間、少女の曇り顔に、一条の光が差した。
「これは……?!」
「鮎の塩焼き」
「おいしいです! こんなおいしいもの食べたことありません!」
先ほどとは打って変わって、少女の瞳は波間に反射する陽光のようにきらきらと輝いていた。
「そりゃ、どうも」
多分あんたが暮らしていた場所の方が、良いものがあるだろう、という言葉を在太は飲み込んだ。いくら上質な着物に、品のある佇まいだとしても、この少女には記憶がない。
小骨も構わず一心不乱に魚にかぶりついている少女を見ていると、在太は不思議な感覚に見舞われた。この感情の激しさといい、丸い瞳といい、人間というよりは猫を感じさせるのだ。気づいた時には、口をついて言葉が出ていた。
「たま、はどうだ」
「たま?」
「あんたの仮の名前。猫みたいだし、ピッタリだろ」
少女の口に着いた魚の皮が、ぼろぼろと地面に落ちる。
「えー、在太より変な名前じゃないですか。名付け親さんのこと悪く言えないですよ。第一、女の子に動物の名前つける親なんていません」
「そんなことはない」
少女は風船のように頬を膨らませた。
「まあ……響きがかわいいんで及第点です。私のことは、たま呼びを許します」
在太はいいのか悪いのかどっちなんだ、と思いながら面を少し上に傾けて焼き魚を咀嚼した。
「で、あんたこれからどうすんだ」
「どうするも何も、決まっています」
少女、もとい、たまは、身を乗り出して、言った。
「その、リンガとやらに、私を連れて行きなさい、在太」
焚火が、ぱち、という音を立てて、火の粉を噴いた。
落ち葉の積もった山道を歩いていくうちに、ぽつり、ぽつりと民家が増えていく。この辺りは王都から随分あるので、簡素な木造住宅ばかりだった。
とりあえず、たまを一番近くのリンガに送っていくということで話はついた。リンガにさえ連れて行けば何か記憶の手がかりはあるだろうと考えてのことだった。
在太の後ろで引っ付くように歩いていた、たまが声を投げかける。
「お面、なんだか被り慣れないです。つけてなきゃだめですか」
たまの顔には、猫の面が被せられている。在太が木を掘り出して急造したものだった。
「来迎屋が面をつけていない人間を引き連れていたら変に思われる。我慢してくれ」
「むう」
たまは猫の仮面の下で頬を膨らませた。
歩く度、背中の道具箱につけた鈴が鳴る。在太が背負っているのは、長方形の棺桶だった。見てくれは棺桶だが、人が入るのにはいささか手狭な大きさである。わざわざ棺桶を模しているのは、自らが来迎屋であるという目印にするためであり、店の看板がわりでもあった。在太だけでなく、旅暮らしの同業者は大抵同じものを背負っている。
「来迎屋、名前は微かに覚えているのですが、どういった職業なのかいまいちわからないんですよね」
「そんないいもんじゃないよ」
正直、たまのような無垢な人間に説明するのが億劫だったため、それからは口を閉ざした。いくら王に黙認されている生業とはいえ、平たく言えば人殺し稼業に他ならない。人に自慢できる職業ではない。
黙々と足を進めると、いつの間にやら山間の小さな村に到着した。住民たちは、仮面をつけた二人を見ると、目を逸らしたりいないふりをしたりする。永遠の眠りや死、病、血。いわゆる「気枯れ」に直接関わっている者は、なぜか歳をとる速度が普通の人間より早く寿命が短い。直接関わっていなければ寿命に問題ないとはいえ、一般の人々は気枯れそのものを忌むため、程度に差はあれども快く迎えてくれる場所はそもそも少ない。在太自身、二十歳手前くらいの外見だが、実際の年齢は十五、十六かそこらである。
来迎屋は大きな括りでは人間ではない。獣や化物と同じ類だ。人を殺す異能を持った鬼、王の法からあぶれたマレビトの就く職業だった。人は生まれを選べない。賎民は賎民として仮面を被り細々と生きるしかないのだ。
「おい、来迎屋」
鋏を持った若い男が二人に話しかけてきた。泥に塗れているところを見るに、つい先ほどまで果物か何かの収穫をしていたらしい。
「弟が眠ってしまったんだ。診てくれないか」
「承知しました」
男が案内するままに藁葺き屋根の民家に入ると、畳に少年が寝かされていた。まだたまと同じくらいの歳の頃だろう。少年は心地よさそうに寝息を立てているが、起きてくる気配は全くと言って感じられなかった。
「つい五日ほど前に、滝の上で遊んでいたら足を滑らせてしまった。強く頭を打ってな……傷はすぐに回復したが、意識はこの通りだ」
人間の寿命とは、生命力——気の貯蓄量と言い換えられる。元来その人間が持っている気が枯渇した瞬間に、人間の意識はなくなる。千年前なら死に直結するような傷を修復するのは、その人が元来持っている気の大半を使ってしまうのに等しい。死なない世界、なんてまやかしだ。ただ呼吸をしているか、していないかの違いでしかない。
「再び目を覚ますのは、難しいか」
「そうですね……」
在太は唇を噛んだ。この様子では、まだ気を使い切っていないとしても、かなり少なくなっている状態だろう。もしかしたら何らかの形で気が回復して目を覚ますこともあるかもしれない、という希望もある状態でもあった。執刀の判断に迷う。殺してしまうか、否か。
「ちょっと、いいですか」
在太の様子を後ろから見ていたたまが口を挟む。
「この子は、気が一時的に少なくなっているだけです。この分なら、周囲に漂っている気をかき集めれば、何とかなるんじゃないですか?」
「そんな簡単に言うな。ここはリンガからも遠いし、空気中の気が薄いんだ。高名な巫者じゃあるまいし、気をかき集めることなんて到底無理だろ」
「そうですか? これなら、私、できそうです」
「は?」
「そもそも、気は揺り動かして再生するものです。揺り動かしさえすれば、少量の気でも回復することできる」
たまは在太を押し除けて少年の胸に手を当てると、その小さな口を開いた。
「ひと、ふた、み、よ、いつ、むゆ、なな、や、ここのたり」
たまの声で揺らいだ空気が、部屋に吹き込む秋の風に乗る。
在太でも耳にしたことのない経文だった。師匠の口からも、こんな歌うような節回しの経文が出てきたことはない。来迎屋の系統化された経文というよりは、民間で信じられている呪文のような響きだった。
「ふるべ、ゆらゆらと、ふるべ」
たまが唱え終わると、暗く落ち窪んでいた部屋の空気が、何故か清々しいものになったように在太は感じた。水が流れ、魂がゆり動き、生命自体が新しいものに再生するような感覚。
「維摩!」
青年が叫んだ。在太はふと我に帰る。少年のまぶたが空いて、ぼんやりと空を見つめる。
「兄ちゃん?」
呼ばれた兄は、両の目から涙を流している。少年はそれを見て、不思議そうに首を傾げている。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
青年は千切れるぐらいに何度もお辞儀をした。
収穫されたばかりの果物を抱えながら、在太とたまは街道を歩いていた。あの兄弟だけでない、村の者たちからもどっさりと謝礼をもらったため、しばらく食べ物には困りそうにない。在太は物心ついた時から師匠に引っ付いて来迎屋をやっていたが、こんなに感謝されたことはない。
「たま、お前、何をしたんだ」
「浮かんできたんです。何を唱え何をすればいいのか」
たまが行った行為は来迎屋の職務の範疇ではなかった。むしろ逆だ。その術は自然の摂理に逆らった、死者の蘇生と言っても過言ではない。死者の霊魂を口寄せできるヒムアラヤの巫女たちでさえ、気が枯渇した者を生き返らせることなんてできないだろう。在太はこのたまの術に、不穏なものを感じざるを得なかった。
「多分、さっきのあれ、あんまりやらない方がいいと思う」
「なぜです? 苦しんでいる人を助けるのは道理でしょう」
「それでも、だ」
在太は師匠のことを思い出していた。在太の師匠は、破天荒な性格はともかく、腕と知識量は在太が今まで出会ったどの来迎屋よりも優れていた。その師匠がたまの術を使ったことがないということは、公的に禁止されているものではないのか。あの術を使うことにより何かが起こる、何かとてつもなく悪いことが。そんな気がしてならない。
枯葉を踏み締める足取りは、起こった幸運に対して、随分と重かった。




