二つの顔
作者なりに頑張りました。
しかしフォローしきれませんw
もう、ホントごめんなさいm(._.)m
−−バタン−−
驚くほど大きく、屋敷と呼ぶのに相応しい立派な家から勢いよく飛び出した中肉中背の男子高校生は学校へ続く道を全力で走っていた。
−キーンコーン………
「ハァ…ハァ…ま、間に合った」
午前8時40分。その男子高校生は教室内で切らした息と安堵の言葉を吐きながら席に着いた。
彼の名は水野とおる。
何処にでも居そうなごく普通の高校二年生。
………と言うのは日があるうちだけ。
日が落ちると、とおるは一本の刀と一匹の豚のような生物をつれて夜の学校へ行く。
"妖"を討つ妖退治の為に……
何故そんな事しているかと言うと……
−−−時は遡り−−−
とおるの屋敷の敷地には水野家に代々伝わって来た小さな祠があった。
その祠には井戸のような穴があり、その上に蓋がしてあった。
その蓋だけは外してはいけないと、祖父や親に毎日しつこく言われ続けてきたとおるだったのだが、
半年程前にとおるは我慢が出来なくなり、とうとう蓋を開けてしまった。
しかし、その穴の中には四匹の妖が封印されていたのだ。
とおるは後悔したがもう遅く、四匹の妖のうち三匹は封印を解いた反動でそれぞれ散り散りになってしまった。
その時、一匹の大きな"火炎龍"と呼ばれる龍がとおるに話しかけた。
火炎龍は一本の刀を吐き出し、とおるに、
「この世の妖を退治しろ」
急展開にも程がある。とつっこみたいくらいの急展開で妖退治をする事になった。
−−−−−−−−−
「あいつは白烏だな」
と、とおるが連れていた豚が言った。
この豚はサポートブタ通称サポブタと呼ばれる妖の属性や能力を見通す事が出来る豚である。
手足がなく、羽が付いているという奇妙な形をしている。
「白烏?」
「何らかの原因で鳥と鳥とが合わさった妖だ」
「とにかく二つにすればいいな」
とおるは腰にかけてあった刀を抜き、
「…ハァ!」
と、地面を蹴り、白烏に切り掛かる。
白烏は翼で身を守った。
が、その瞬間とおるは高速で移動し、白烏の後ろに回って、背後から白烏を縦に一刀両断。
とおるは地面に降り立った。
しかし、
「な…なんで?」
振り返ると半分に切り裂いたはずの白烏が、白と黒の二羽の鳥に分裂していたのだった………。
黒と白の二羽の鳥……
それを見たとおるは
『もはやただの鳥にしか見えない....。』
などと考えていた。
−−そんな時…
「今日はホンマありがとねー」
………はい??
白い鳥が喋ったように見えた。
そんなはずは無いと、もう一度良く考えていると、
「人前でその喋り方するなって」
次に黒い鳥が確かに声を発した。
………はぁぁあ!?
その後も二羽揃って会話をしている鳥を見ていると「ハッ」と気付いたようにこちらを振り向き、白烏になってしまった経緯と暴れた訳を話してくれた。
「いや、実はね…我々は夫婦なんだが、ある日変な奴達に押されてくっついてしまったんだよ。」
「で、その混乱で暴れちゃった訳。」
「いやーでも本当にここにきてよかったな」
「ええ。本当に真っ二つにしてくれるなんて」
二羽揃って頷きあっていた。
そしてとおるに、
「本当にありがとねー」
と、お礼を残してガミガミと言い合いをしながら去っていった。
手を振りながら見送っているとおるにサポブタが話しかけた。
「それにしても…」
くるりととおるに振り向き、
「成長したな!」
と目を輝かせながら言った。
−−−がさがさっ
後ろの物陰から音が聞こえた。
「ちょっとぉ、なになに?」
「アオイ?」
アオイと呼ばれた一人の少女と一匹のイタチが姿を現した。
岸野アオイ
高校一年生
訳あって氷鼬に出会い、それ以来妖退治をしている。
とおるとは同じ妖退治をする仲間である。
髪の毛は肩程で、身長はとおるの頭半分くらいまである。
「そんなとこでなにしてんだよ。」
「なにって、妖を探してたのよ。」
「…もうたおした」
「え?そうなの?」
じゃあ帰ろっ!
と言ってアオイと氷鼬が帰っていくとき、氷鼬は不意にサポブタを見て
あっかんべーと挑発した。
そして氷鼬はアオイについて帰って行った。
サポブタがプルプルと震えているのに気が付いたとおるは恐る恐るサポブタに声をかけてみた。
「…サポブタ?」
「………。」
「ちょ、サポブタ?」
「…あぁ?」
サポブタは返事をしたと思ったら物凄い殺気を放ちながら振り向いた。
−−すげぇ殺気……
と、とおるでさえも思ってしまった 。
「ちょっ!オレを殺すなよ。その殺気で!」
「…ふふふ、ころさねぇよ。おまえはな」
「いや、他人も殺すなよ!殺すのは悪い妖だけにしてくれ!」
そんな感じのいつも通りな1日を過ごしたとおるであった。