読書感想#6「自分を変える読書術 学歴は学<習>歴で超えられる」(堀紘一)
書籍名:「自分を変える読書術 学歴は学<習>歴で超えられる」
著者:堀紘一
出版社:SB新書
<概要>
「学歴を凌駕する知的武装の方法」を教える本。
<序章の感想>
生まれがその後の人生を大きく変えてしまう国の一例として、イギリスが出ていたのですが、イギリスにはまだ身分制度があります。そしてオックスフォード大学とケンブリッジ大学に入る最短コースと呼ばれる「イートン校」「ハロー校」という学校に入るには、貴族身分の人間である必要があります。
どんなに勉強ができても庶民身分である時点で受験した所で落とされるという話を聞いて、ろくでもないなと思ってしまいました。詳しいことは知りませんがもしそれが本当だとするなら、イギリスにそんな闇があったとは……という気持ちです。
驚きました。
もちろん、そう思うのは私が日本に住んでいて、日本という国は貧富の差こそ広がりつつありますが、建前では(皇族を除いたら)全国民が同じ身分だからです。貴族とか公家とか華族とかないですし(実態がどうであれ)。
昔国王が離婚したくてカトリックをやめてイギリス国教会を勝手に作ったみたいな面白い歴史があるけれど、けっこう保守派の国なんだなと思いました。
イギリスといえばハリー・ポッターと、女王が前に亡くなったのと、昔オリンピックがあったのと、りんごが生産されてるぐらいしか知らなかったのですが、BBCみたいな優れた放送局があるからって、その国ぜんぶが素晴らしい訳じゃないんだなと(当たり前ながら)思いました。
ハロー校が映画『ハリー・ポッター』の撮影に使われたということで、私はハリー・ポッターと映画のホグワーツ魔法学校の見た目が大好きなので、ちょっと悲しい裏話を知った気分になってしまった。
なんとなく、映画原作である小説「ハリー・ポッター」シリーズの作者JK・ローリングさんが保守派の人間らしくてLGBTQの人達に対して余計な発言をして英語圏で炎上してたという話を(※発言の真偽のほどや、詳しいことは私は知りませんが)聞いた時ぐらいショックでした(JK・ローリングさんはシングルマザーで生活保護を受けながら、小さな子どもの世話をしながらハリー・ポッターを書いたという話などもあり、また純粋に好きな映画の原作を書いた作家だったから、私はJK・ローリングさんのことはきらいではないんだけども)。
それはさておき。
作者の堀紘一さんは、「幸せに生きたければ、お金持ちの子供に生まれるか、有名人の子供に生まれるか、もしくは読書をするしかない」と説きます。
そして、前者ふたつは自分の力では叶えられませんが、読書をすることは(今この文章を読んで下さっている時点で)これを読んで下さっている方の誰でもできることと言えるかなと思います。図書館なら無料ですし、古本屋もありますし。私は、読書をすると、どのように読書習慣が人の幸せをつかむのか? という疑問が浮かびました。
私が自分なりに考えてみた「読書習慣が人の幸せをつかむ理由」は以下の5つです。
・読書をすると状況をシミュレーションできて、しなくてもいい失敗や危険を避けることができる。つまり、大きな不幸を経験する回数が減るかもしれない。よって、幸せになれるといえるのかもしれない。
・読書をすると読書した内容をネットで感想を書いて、その本が好きな人と文章で喋れる=コミュニケーションが生まれる。人間は楽しくコミュニケーションをするとオキシトシンが出る。ようするに幸せになれるのかもしれない。
・純粋に本を読むと楽しいから。読書はストレスが下がるという研究があったはず。また、イギリスでは本が心療内科で処方されることがあるらしい。そのくらい病んだメンタルに読書は効く。つまり、心の健康がよくなるということは、幸せになるのかもしれない。
・ノンフィクションは経験を、フィクションは想像力をはぐくんで、どっちを読んでも賢くなれるから、最終的になにも読まないよりは幸せになれるのかもしれない。
・本を読んでいると、読んでいる時間は別のことをできないので、スマホをチェックする時間が減る。よって、デジタル・デトックス(スマホとかパソコンとかタブレットから離れてリラックス)できる。これは、SNSを長時間使えば使うほどメンタルに悪影響があり、幸福度が下がるという研究結果があったはずなので、本を読めばインターネットから離れる時間を少し持てる。よって、心にゆとりができ、より幸せになれるのかもしれない。
<本編の感想>
なるほど! 本を読むことで人間関係が変化したり、仕事ができるようになったり、人生観が変化して人として成長したり、失敗しなくていい場所で失敗しなくなるのか! と思いました。また、生存確率が上がるという話も、確かにそうだなと思いました。
教養を身につけるととてもたくさんの良いことがあるが、本を読んだからといって簡単に速攻で効くものではない、という話が印象的でした。
(著者の堀紘一さんいわく「いかがわしい」)ハウトゥー本や速攻! 最短! みたいなことを書いてある本を読んだからといって、すぐに変化が起きる魔法みたいなことはない、じっくり変化していく、という部分が勉強になりました。
俗語でいうコスパを求めてしまうのが現代人というか私みたいな若者ですが、もうすこし長い時間が経ってから報酬を得られるようなことに対して、慣れないといけないなと思いました。
短期間ですぐに効果が出るものも良いけど、やっぱり長期的に見て役に立つものもそれ以上に大事なんだなと思いました。
最初の一、二冊では差は出ないかもしれないけど、年間に50冊読むとして、10年後には500冊、20年後には1000冊ぶんの差が本を読む人と読まない人の間にできるという話が確かにそうだなぁと思いました。
また、途中まで横ばいだけど、途中から一気に数値がぶちあがることを「クリティカル・マス」とマーケティング用語で言うそうですが、こういうのってイラストの練習にも言えてるよなと思いました。さいとうなおき先生が「画力の成長は、右斜あがりの棒線じゃなくて、階段状です!」みたいなことをYouTubeの動画でおっしゃっていて、まさに「横ばいの期間がある」のが同じだなと思いました。絵の練習の効果も、読書の効能も、すぐには効果はでないけど、ちりも積もるように(絵の練習とか、読書の)量が累積されていくと、いきなり途中で変化が訪れる、というのを忘れないようにしたいです。
読書やイラストの練習などが、すぐに効果が出ないからといって、やめてしまうのはもったいないんだなと思いました。
また、すぐにやめてしまう人と、「もうちょっとだけ続けようかな」と思う人では大きな差ができるなと思いました。もちろん、続けるためには自分が好きだと思える分野のことをする必要があると思うし、サンクコストという概念もあって、「続けりゃいいってもんじゃない。引き際も大事」という考えもありますが、でも「自分が好きなことで、自分に良い影響を与えそうな習慣なら、すぐに効果や良い結果・成績がでなくても、コツコツ続けるのは大事かも」と思いました。
また、控えめに言っても大成功を収めている堀紘一さん(今回読んだ書籍の執筆時点で70代)が大学生の時にほんとうは法学部じゃなくて文学部に入ってインド哲学を学んで作家になりたかったという話と、その後についての後悔、そしてそこから私みたいな若者に対するアドバイスで「後悔がないように生きたほうが良い」というようなことをこの本でおっしゃっていたのですが、すごく切実に自分ごととして感じました。
というのも、私もいつか小説執筆で生計を立てる人になりたいなぁと思っているからです。小説家になりたくて、ムーンライトノベルズで成人女性を対象にした成人向けの年齢制限のある恋愛小説を書いて投稿しています。
そして、このnoteというブログなどが投稿できるサービスで、読書感想を投稿しているのは、読んで下さっている人に本の良かったところをお伝えしたい(ひいては私、本が大好きなので、出版業界がもういっかい、すっごく盛り上がることで、最終的に本屋さんにもっと本が増えないかなと思っている)のと同じくらい、将来的に自分のためになると良いなぁと思っているからです。
あわよくば、5年後とか、10年後に、なにか自分に読書記録をつけることで良い変化がないかなぁ! という期待もこめて書いています。
というわけで、著者の方の夢の話をきいて、一気に堀紘一さんが身近に感じました。
もちろん夢を追いかけても失敗するかもしれないけど、やりたいことをやらないと後々、老後にものすごく後悔するという話は、すごく聞く価値のあるアドバイスだなと思いました。
また、著者の経歴を語る部分が自分にとってはまったく異なる世界で、面白かったです。
「コンサルティングの仕事をひとことで言い表すならばグラフを書くことだ」というような部分も知らなかったのでそうなんだ、と思って楽しかったです。
また、知人を褒めるスタイルの著者の姿勢から、なんとなく周囲の人々への敬意みたいなものを感じて好感を抱きました。
長い目で見た時に、自分をしっかり支えてくれる土台になることを期待して、これからも読書を続けたいなと思いました。
<特に大事だと思った所>
・読書の効果が現れるのは、すぐに結果がわかる受験勉強や資格勉強などとは違って、時間がかかるものだと知っておき、地道に読書を続ける。
・ぜんぜん成長しないと感じるかもしれないが、世の中には「クリティカル・マス」というものがある。ようするに、成長は右肩上がりの棒線グラフではなく、階段状で、ある時急に変化と成長を感じるものなので、停滞してるかもと思ってもいちいち落ち込まない。
・後悔しない人生を送ろう。
「すぐには結果は出ないかもしれないけど、地道に本を読んでインプット積み重ねていこう」と、勉強になる本でした。