読書感想#14「さるのこしかけ」(さくらももこ)
書籍名:「さるのこしかけ」
著者:さくらももこ
出版社:集英社文庫
ジャンル:エッセイ本
※食事中の方は読まないことをお勧めします。
お気をつけ下さい。
<「痔の疑いのある尻」の感想>
ある者は痔のことを「尻の穴で壇ノ浦の合戦が始まったようだ」と言う……と語るさくらももこさんですが、あまりにも意表を突かれたのと「壇ノ浦の合戦って……」と笑ってしまいました。
文章のトーンがシリアスだったので、余計に。
痔でこうむる身体的苦痛の激しさを的確に表した表現な気がします。まだなったことないけど(今後もなりたくない)。
また、その後のさくらさんが語る「私の尻の穴はまだ壇ノ浦の合戦までは始まっていないが、農民の一揆くらいは行われている気がする。」という発言も、ちょっと吹き出してしまいました。
その後も一度笑いました。奇妙な味わいの文章と、全体的に不思議かつ個性的な感じの内容が、なんとなく読んでいて笑ってしまいました。
<「遠藤周作先生」の感想>
遠藤周作さんといえば、「沈黙」という、「キリシタン迫害」というキリスト教徒への迫害がなされていた頃の日本での信仰心みたいなものと棄教みたいなものを描いた、個人的に大好きな作品しか思いつかなかったので、まさか、そんな訳……! という気持ちになりました。
けっこうおちゃめというか意地悪で、けっこういたずらっ子(?)というかどす黒い雰囲気の遠藤周作さんの姿をさくらももこさん視点で書かれているのですが、「嘘だあああ! 私のなかの知的でシリアスで優しい繊細な遠藤周作先生のイメージを返してくれうわあああああ!」となりました。
でも読んでいてびっくりして、楽しかったです。
<「インド旅行計画」の感想>
インドを案内してもらう人から貰った名刺に書かれた名前が「大麻豊さん」で、愕然としたさくらももこさん。大麻さんにさくらさんは「私、名前は大麻ですが、麻薬はしませんからご安心下さい」みたいなことを言われて、大爆笑してしまうのですが、その描写と一緒になって私も小声で笑ってしまいました。
面白いです。まさかここまでさくらさんのエッセイが面白いとは。個人的にさくらももこさんは毎週休日に放送していた子供向けアニメの「ちびまる子ちゃん」のイメージしかなかったので、アニメよりエッセイのほうが格段に面白いなと思ってしまいました。
<「インド駆けめぐり記」の感想>
インドって大変な場所だと聞いてたし、「生きて帰ってこいよ!」と知人に言われまくったさくらさんが、デリーのホテルで「インドってすごくホテルが綺麗で、とてもキチンとしたところですね(※要約)」みたいなことを案内人の大麻豊さんにつげる。
すると「いやぁ、インドがデリーだと思っちゃいけませんよ」という大麻さん。
衝撃的な発言だなぁと思いながら、どうなるのだろうとページをめくっていきました。
また、インドに旅行に行くのは(お金と時間があったとしても)絶対にやめておこうと思いました(今も旅行先チョイスとして良くない場所なのかどうかは不明ですが)。
<「集英社に行く」の感想>
大都会東京にて。
お茶は何にしますか、と編集部の人に言われて、「お茶はお茶ですよね」と返して「いや。お茶というか、たとえばオレンジジュースとか……」みたいなことを言われるシーンが笑えました。
私も緊張したら同じことを思うかもしれないです。
<全体的な感想>
世代が違うなァ……という感想が出る内容の話も結構ありました。「お嫁に行ったらもう我が家の子じゃなくて旦那さんの家の子なんだから一人で帰ってくるな」なんて、我が家の母なら絶対言いません。
我が家の母なら照れ隠しに「こむぎちゃんは無理して帰ってこなくていいし、定期連絡も無理にしなくていい」とか「やーっと一人で暮らせる」とは言うかもしれませんが、仮に私が結婚して一人で帰省しても、「帰ってくるな!」とは絶対に言わないという確信があります。
また、さくらさんの夫が「髪を伸ばせ。短い髪は嫌いだ。お前は色気がない。ボディコンが似合う女になれ。お前は猿みたいだ、人じゃない(※要約)」とさくらさんに過去に言ったというシーンがあるのですが、セ、セクハラー! というかモラハラー!
ちょっと白目を剥きそうになりました。
まさしく、ジェネレーション・ギャップ……!(真っ青)
あと飲尿が流行ってたとか……マジか……。
ジョジョの奇妙な冒険のストーンオーシャンで飲尿してたお爺さん(敵キャラクター)が出てきてはいたけど、ま、まじでやる人が居たのか……。絶対身体に悪いから止めたほうがいいですよ……! という気持ちになりました。
尿は老廃物と毒素の塊だと思います。
飲まないほうが、良いと思います。
1992年に出版された本なので、私が生まれる前の本なんだなと思いました。そしてボディコンうんぬんは、さくらさんがもっと若かった頃(さくらさんが27歳くらいの頃)の話なので、ずっと前の話なんだなと思いました。
色んな意味で強烈な個性の輝く本でした。
赤裸々だなぁとも感じました。
色んな意味で、「おお……」と圧倒される本でした。
共感できない部分もあるし毒気も強いけど、きらいではないです。たくさん笑えるユニークなエッセイ本でした。