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読書感想#11「死は存在しない 最先端量子科学が示す新たな仮説」(田坂広志)

 書籍名:「死は存在しない 最先端量子科学が示す新たな仮説」

 著者:田坂広志

 出版社:光文社新書


 ジャンル:科学と宗教のその先



<感想>


「這っても黒豆」ということわざを初めて知りました。水掛け論みたいな意味だと思います。



 本の内容は、とても知的好奇心をくすぐる内容で、面白かったです。現代科学の唯物論的な考え方の限界についても、分かりやすく語られていて、とても興味深いです。


 最初は一瞬、似非科学の本かな……? と疑う気持ちもあったのですが、科学的な話が(量子の話とかが)たくさん出てきます。


 すっごく面白かったのが、物質になぜ意識が宿るのだろうと考えるのではなくて、物質には根源的にそもそも意識があるのではないかという話などです。



 コンステレーション(Constellation)というのが、身の回りで起こった出来事がメッセージのような気がしてそれに従ったら良いことが起こったという意味の言葉なのも初めて知りました。



 ゼロ・ポイント・フィールドについての話題がめちゃくちゃ面白かったです。ちょっと読むのに夢中になっていたのと、圧倒されたのと、解説が難しいのと、「凄い」と「興味深い」と「面白い!」以外の感想が無いため、感想文が短くなっていますが、とても本当に興味深かったです。

 

 なぜ不思議な出来事が起きるのかを、科学的な仮説をもちいて説明されているのが読んでいてワクワクしました。


 P.262を読んでいて、泣いてしまいました。まさか本の帯に書いてある通りに本当に泣いてしまうとは思いませんでした。飼っていたウサギの事を思い出して、そしてゼロ・ポイント・フィールドの話を聞いて、泣きました。

 たぶん読まないと理解できない感覚だとは思います。



 知的好奇心をくすぐる、「新たな可能性」についての仮説が、とても面白かったです。


 また、精神的な救いにもなる本だったし、我々人類がどうしていくべきかという事についても色々と考えさせられる本でした。



 あんまり大きな声で勧めると宗教だー! スピリチュアルだー! と怖がられそうですが、個人的に(ほぼ)今年読んだ15冊の本のなかで一番お薦めしたい本だなと思いました。

 読んで良かったと思います。


 ただ、やっぱり個人的に一つだけ違うなと思うところがあるとするなら、やっぱり人類は「内面に目を向ける」のも大事だけど現実問題として「火星などへの人類移住計画」や「テクノロジーの発展」を進めるべきということです。

 内面に目を向けても、現実で飢える人のお腹を満たすことはできないからです。

 また、ゼロ・ポイント・フィールドが仮に本当にあるとしても、生きている我々が感じている、生き物としての痛みみたいなものは本物だなと感じます。


 仮に我々が死後にゼロ・ポイント・フィールドに帰り、宇宙意識の一部になり自我を失い全てと一つになるのだとしても、「我々が生きた今この瞬間」はまぎれもなく本物です。そこで流れる血の温かさや、殴られた時の痛みなどは、本物です。



 たとえこの世界が通過点の一つでしか無いとしても、また、物理学的に「過去・現在・未来が同時に起きていて、平行世界があるかも」しれなくても、現実で生き物の我々が知覚できる現実は、今我々が生きている現実でしか無いです。


 仮説を聞くのは物凄くワクワクしたけれど、「でもじゃあ実際にどう人生が変わるのだろう」と思ったときに、なんとなくゼロ・ポイント・フィールドの考え方は自分の命を終わらせようとする人を増やしそうだなと思ってしまいました(もちろん著者の田坂広志さんはそれをやんわりと止めるような言葉を書いてくれてはいます)。



 この本ではこんな主張はされていませんが、私が思うのは、もし仮に私達の世界がなにかの実験装置で、私達全員(生き物全部というか意識があるもの全部)がコンピューターでプログラムされた装置で、たとえなにかのデータを取るためだけに我々は生かされ、死んでいてこの世界は幻想で本物じゃないかもしれなくても、我々にとっては生きるか死ぬかは本当に重大なことだし、殴られたら痛いし、好きな生き物を抱きしめたり好きな(大切な)人と手をつないだら嬉しいかもしれないのも、ご飯が美味しいかもしれないのも、雨に打たれたら冷たいのも、映画を観て泣いた瞬間も、夏の日にセミが鳴いてて「うるせえな!」と思う感覚も、全部ほんものだということです。



 なんというか、著者の主張は私の目から見たらゼロ・ポイント・フィールドの話はけっこう有り得そうな感じがする……となんとなく思いましたが、でも、ゼロ・ポイント・フィールドがあろうとなかろうと、我々はこの傷つきやすい心と身体で生きていくしか無いんだよな、と思いました。



 つまり、最新の物理学的には「過去・現在・未来は同時に起きているかも」しれないし、「並行世界が存在するかも」しれないし、「ゼロ・ポイント・フィールドという場所があり、全ての意識が集合しているのかも」しれないけれど、個人的には「でも、現実で生きている人はごはんが要るし、いくら仕組み的には物質はぜんぶ波動というかひもというか素粒子とかでできてて、根本的には”波”であったとしても、コンクリートで殴られたら痛いのは本当だし、物質はすり抜けられないし……過去には戻れないし、現実世界は”今”の連続だなぁ……」と思います。


 つまり、確かに世の中の仕組みは最先端の量子科学でいうと、そういうふうになっている可能性があるのかもしれないけど、それはそれとして、人間は過去から今、今から未来へと流れていくし、刺されたら痛いし、お腹がすくとイライラするし、生物であるということから逃れられません(少なくとも生きている間は、今の技術では絶対に)。


 だから内面にもっと目を向けようという著者の意見には、「でもまずテクノロジーとAIと未来の食糧難解決と水資源の確保が先では……」と思ってしまう部分もありました。



 でも、仮説としては面白い仮説だなと思いました。

 色々なことが繋がったような感じがする、宗教と科学の架け橋になるような考え方だなと思いました。


 感想を書くのが難しい本でしたが、楽しく読みました。



 科学の本来あるべき姿勢(決めつけをしない姿勢)が大事だなというのも伝わってきました。よく考えたらビッグバンもひも理論も量子力学も、地動説も、全部最初は否定されていたことを考えると、ゼロ・ポイント・フィールドの仮説がもしかしたら、ひょっとしたら、将来的になんらかの根拠みたいなものが発見されて、受け入れられる日も来るかもしれないし来ないかもしれない。



 この本で一番大事だなと思った部分は、「頭の柔軟性をたもつこと」かなと思いました。

 頑迷な人にならないようにしたいなと思いました。

 私はまだ20代なかばですが、そのうち30代になるし、かならず生きてさえいればいつか中年と呼ばれる世代になるだろうし、そして老年期もやってくるのは確定している未来です(生きてさえいれば)。ううん、今のうちから頭を柔軟にたもちつつ、新しいことをたくさん学び続けないと、将来「困ったお爺さんお婆さん枠」になるかもしれないなと思いました。


 お年寄りになっても若者の人からがっかりされない、オープンマインドな人で居たいなと感じました。

 また、自分はどう生きたいのだろう、とちょっと疑問もわきました。



 あと、ポジティブな気持ちが自分の心のうちに出てきたら、なるべく大切にしてあげることも大事かなと思いました。

 仮にゼロ・ポイント・フィールドが存在しなかったとしても、冷笑的に生きるよりなるべくポジティブで快活に生活するほうが、私としては楽しそうだなとしっくりくるからです。


 知的好奇心を開き、私の頭をオープンマインドにしてくれる本でした。読んでて脳が刺激されて、爽やかに気持ち良かったです。

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