EP.5:記者会見
今回はセルゲイ国防長官視点です。
私はアメリカ合衆国国防長官のセルゲイだ。現在我が国は…ほどほどにやばい状況になっている。
というのも、我が国最大の軍事基地が消滅したのだ。同時にその中にいた軍人約1万人が行方不明になっている。そのような状況になれば、流石に政府としても隠蔽することは難しく…え?表現の自由?知らない子ですね…ま、そんなこんなで半日もしない間に全世界で報道されて行った。
もちろん政府としても何が何だかわからず報道陣にも説明しようがないから、とりあえず行方不明者の捜索と、この事案に関して同時並行で調査することとなった。
そして2日目、依然としてなんの成果も得られないまま捜索と調査は難航していた。報道陣も我々もイラついてきた時にちょうどこの基地を管理していたスティーブ中将を発見したとの情報が入った。
すぐに捜索本部で事情聴取をしたところ…何?異世界転移?神様もどきのレイ?未知の感染症?どれも☆超exciting!☆でファンタスティック⤴︎!なアニメの世界のような話しか話さなかった。流石に信じるのは難しい、俺も海軍長官もそう思っていたのだが…
「よく考えてみてください、海軍長官。あれだけでかい基地を、衛生写真でも見つからない場所に、一瞬で、誰にも見つからずに移動させることができると思いますか?」
「む り ぽ」
「で す よ ね」
た し か に む り ぽ
てことでとりあえず感染症の様子を見るために医療班2人と捜索員のジョンを連れて行ってもらうことにした。我々も行きたかったのだが、最大3人までしか転移できないらしい。残念。
しかし、聞いていたとはいえスティーブ中将達が目の前一瞬で消えた時は驚いた。
というわけで、スティーブ君とジョン君、そして医療班を見送った後に長官同士で色々話し合うことになった。
「ってことで陸海空軍長官の皆さん!どうしましょう?」
「「「他人任せかよ!」」」
いや、そういう意味じゃなかったんだが…とりあえず…
「陸軍長官、あなたの意見はどうだね?」
陸海空の順番に聞いていこう。
「そうですね…まず、今回の件に関しては報道陣には公表しない方がいいでしょう。」
「海軍としては陸軍の意見に反対である。」
「海軍さん…黙ってくれません…?まぁ続けます。報道陣に公表してしまうと感染症等の問題によって世の中が大混乱に陥ってしまいます。そのような状況を回避するという点では、報道陣には発表しない方がいいでしょう。もし発表することになった場合でも、感染症に関しては発表しない方が無難かと思われます。」
「なるほど、異世界に対する対応に関してはどうだね?」
「異世界への対応に関しては、現状スティーブ中将から詳しく聞けていない状況ですので、保留で良いかと思われます。ただ、隊員などの安全に関しては最優先事項にするべきかと思われます。」
陸軍の意見は現状維持といったところかな。
「わかった。では次、うるさい海軍長官、あなたの意見はどうだね?」
「一言余計です!まぁとりあえず、私の意見としては報道陣にはこの件に関して公表するべきかと思われます。ただ先ほど陸軍長官の申した通り、感染症に関しては報道しない方が無難でしょう。世の中が大混乱に陥ります。ただ、一切報道しないとなると、逆に今回の現象に関しての様々な憶測が飛び交ってしまい、世の中を恐怖へと陥れてしまいます。」
「異世界に対する対応はどう思う?」
「そうですね…これに関しては少々気にくいませんが、陸軍の意見と同じ意見です。現状維持と言ったところでしょうかね。」
海軍の意見は珍しく陸軍と似ている。
「OK。では最後に空軍長官、どのような意見だ?」
「そうですね…まず、陸海軍どちらも良い意見だと思います。ですが、海軍の意見と同様に、報道陣に一切公表しないとなると後々公表した時に報道陣に責任追及をされかねません。今は報道陣を鎮めるためにも公表するのが無難かと。異世界に対する対応に関しては、検討とでも言っときゃ世の中勝手に騒いで有耶無耶になってなんとかなりますよ。」
空軍は海軍支持方面かな。最後の方は適当だったが…
とりあえず、今後の方針を最後に全員で確認しよう。
「まず、報道陣には異世界転移について公表することにする。これは確定事項でいいかな?」
「「「YES!」」」
「そしてその公表する範囲に関しては、全員の意見を見るに、詳しい情報はあまり公表しない。これでいいね?」
「「「OK!」」」
ということで、今後の方針は決まった。記者会見の準備をしよう。
「陸軍長官は記者会見場の準備を、海軍長官は報道陣への連絡を、空軍長官はその他諸々の根回しをよろしく頼む。俺は原稿作成をしてくる。では、解散!」
「「「イエッサー!」」」
ーーーー
【記者会見本番】
すげぇな。500人以上が入る会場が端から端まで埋まってるぞ。こんな光景見るのは流石に初めてだな。
「それでは、国防長官より『ニューヨーク州陸空軍合同基地消失事件』に関しての調査報告と、質疑応答を行います。心して聞くように」
司会者さん…その言い方は変だよ…記者もドン引きしてるよ…
長 い の で 省 略
「え〜では、只今より質疑応答に入ります。ご質問のある方は挙手をしてください。国防長官がランダムで指名しますので、指名された記者の方はお名前と所属会社名を答えたのち質疑に移ってください」
んじゃぁ…まずは最前列にいる金髪のイギリス人っぽい人にするか。
「そちらの、最前列にいる金髪の方、どうぞ」
「イギリスBBCのリチャードです。先ほど、基地全体は異世界に転移したと申されましたが、そのような非科学的なことがあり得るとは到底思えません。そのようなものを根拠もなしに簡単に認めてしまうのは国防長官としてはどうかと思ってしまうのですが、その点に関してどのようにお考えなのでしょうか?」
やっぱそうなるよなぁ…じゃあ、スティーブ君を参考にさせてもらおう。
「私も最初は「そんなことあるわけないだろ」と思っていました。でもよく考えてみてください。あれだけでかい基地を、衛生写真でも見つからない場所に、一瞬で、誰にも見つからずに移動させることができると思いますか?」
「む り ぽ」
「で す よ ね」
この流れさっきも見たような気がするな…まぁ、この件に関して信じさせることはできたな。んじゃあ次は…3列目のアジア人っぽい人に聞いてみるか…
「次はそこの3列目のアジア系の方、どうぞ」
「日本テレビの五十嵐と申します」
「え?あざらし?」
「違います!五十嵐です!…まぁいいです。異世界転移した基地の内部にいたスティーブ中将という方が転移能力?というものを使用し地球へ帰還したと先ほど申されました。ですが…その…映画とかでよくある…あれですよ…そうだ、感染症!そのような全世界を崩壊させかねないような事象は報告されていないのでしょうか?」
すげぇ的確に質問してきたな。
「その点に関しては医療班を派遣し既に調査を行っております。現時点でそのような問題は確認されておりません」
とりあえずこう言っとけばいなんとかなるだろうよ…
この後に関しては特に重要な質問はなかったので省略する。まぁこんな感じで、地球側の面倒ごとはなんとか落ち着いた。あとは医療班の帰還を待つだけだ。
ネットの反応
「異世界転移とか怖すぎだろ」
「『む り ぽ』の反応おもろ」
「感染症とか本当に大丈夫なんか?」
「異世界とか行ってみたいなぁ」
「異世界支配して搾取しようぜ」
「帝国主義者は黙っててください」
あ、下の五段階評価といいねもお願いします!