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 24歳の大学院生が3歳のマリエールに成る。読書や音楽や芸術や魔法を楽しむ。

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 後に救国の令嬢と呼ばれるマリエールの若き日の物語である。吟遊詩人達が語るドラマチックな物語ではなく、少女が悩み苦しみながらも国を国民を救う真実のマリエールの物語である。

 マリエールは転生者である。24歳の大学院生の私は大学教員に成るために実績が欲しい。みんなでワイワイガヤガヤやる研究も好きだがこの研究は一人でやる。理論上は可能だ。後はスイッチを入れるだけ。

 スイッチを押したところで私の記憶は途絶えた。次に目覚めたのは天蓋付きのベッドで眠る3歳の少女だ。マリエールという名だ。転生だろう。マリエールは多分病死したのだけど、病名に関しての記憶はない。マリエールの曖昧な記憶を頼りにベッドから出てみた。メイドが一人だけいる。彼女に声かけようとしたら彼女の心が読めた。黒死病。それが私の病名らしい。コレラか。

 私がベッドから出たのに気付いたメイドは医師を呼んで参りますと言って出て行った。一人取り残されたマリエールは隣の部屋が図書室である事に気付いた。興味を持って足を踏み入れた。目に入ったのが魔導書だ。一冊取って部屋に持ち帰り読みながら試した。全部出来る。転生特典だ。

 メイドが医師を連れてやって来た。医師はマリエールを診察して全快をいい渡した。そしてメイドに部屋の清掃、マリエールに一週間の外出禁止をいい渡した。

 一週間の間図書室と自室の往復だ。魔法は大抵の物は出来た。出来ない物はここで試せないもので本当に出来ないのか不明だ。アイテムボックスがあるのが嬉しい。

 一週間経ちマリエールは領主や家族達に挨拶した。庭も歩きいろいろ採集した。家族の中には急に大人びた話し方をするマリエールに違和感を持つものもいたが、特に指摘されるわけでもない。大きく変化があるわけでもない。読書は続けているし、庭の散歩もする。楽譜を出して楽器を演奏したり絵画を描いたりする。マリエールは創生魔法にチャレンジ中だ。出来ない魔法に創生魔法があった。自分の命奪った実験。理論上出来る筈、しかし電気の無いこの世界でそれを実現するには創生魔法しかないだろう。イメージして祈る。それが中々上手くいかない。

 何処に行くにしてもメイドが一緒だ。口煩く無い。図書室に行くとメイドも付いて来る。私が一冊選ぶとメイドも一冊選ぶ。自室戻って本読み出すと、珍しくメイドが尋ねる。どんな本をお読みですかと。

「今の王朝が魔王を倒して、前王朝から王位を譲らるという話さ。」

物静かなメイドが突然喋り出す。歴史愛好家には絶好のテーマらしい。

「魔王は200年以上国土荒らし周り、既に全盛期の力が無く寿命に近いと言われています。魔王がいないのに前王朝の国王が王位を譲る筈が有りませんよ。自分で倒せたと思いますからね。現王朝が脅して奪ったに決まってますよ。」

マリエールは読書とメイドの雑学でこの世界の事を理解した。メイドは言う。正史は勝者の作るもの。本当の歴史は別にあります。

 メイドは言う。正史は勝者の作ったもの。真実は別にある。

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