エロゲーにマインドハックされた高校生の物語
拙い文章ですが精一杯がんばります!
考える事を辞めた人間は死んだと同然だ
これは俺の座右の銘だ
なぜかって?…………それは考えないで行動していたら、その辺に転がっている石と同じだからだ
考えないなら人間である必要はない その辺りにいる毛虫でも構わないってことさ
そう、だから俺は日々考えている
何をかって?
如何にして最高のエロゲーを作れるかってことをだよ
そう、俺は考えている 授業中に先生の話を真面目に聞いている他の連中とは違う
俺は………何の疑問も持たずに世間に流されているこいつらとは違うのだ
教壇に立つ先生が呼びかける
「よし、田中! 今先生が言ったことを踏まえて、この問題を解いてみたまえ。」
「え?………俺ですか?」
「そうだ。このクラスに田中は君だけだろ。」
どうやら俺が当てられたらしい
………ハァ 先生に気づかれないように小さな溜息を漏らす
痺れを切らした先生が催促する
「さぁ、早く答えなさい。」
地球温暖化の最も大きな要因についてらしい
問題文を見つめながら俺は考える
考えない人間は死んだと同然だからな
俺が………
俺が人であり続けるために…… 俺は考え続ける
「……先生、解けました。」
「ほう・・・、それで答えは?」
「俺、学校辞めて東京へ行きます。」
「はぁあぁあ?」
先生は口を大きく開けて目を剥いた
「これがエロゲーを作る最短ルートなんです。」
「エロゲェー?? 田中っ!! お前、何を言っているのか分かっているのかっ!?」
「………先生、………先生はなぜ教師をされているんですか? それが本当にやりたい仕事なんですか?」
思いも寄らぬ質問に先生はたじろぐ
「そ……それは…」
「俺は言えますよ。俺のやりたい事は最高のエロゲーを作る事です。そのために東京に行きます。こんなド田舎でくすぶってる場合じゃないんですよ!」
俺は声を大にして言い放った
「エロゲー・イズ・マイ・ライフ」
こうして俺は高校を中退し、颯爽と東京に行く
………はずだったのだが、残念なことに俺の描いたシナリオは………
「………ちょっと待って!」
息を切らして追いかけてきた一人の少女によって狂わされる
「………ん?なんだ?………こいつは確かいつも無口で存在感の薄いクラスメートの……頬擦 竹蜂」
頬擦は黒髪眼鏡の地味な女生徒で、いつも教室の片隅で読書をしている
俺のクラスメイトだが正直一度も口を聞いたことがない
いや、そもそもボッチ体質の俺にとってクラスメイトと喋る機会などほぼ無いのだが・・・
頬擦は肩で息をしながら頼み込んだ
「………その、……学校、辞めないで。」
なぜお前が引き留める? 俺は謎の状況に戸惑いながらもしっかりと答えた
「……それは俺の自由だ……それに俺が学校を辞めても困る奴なんていないだろ。」
俺がそう言い終わると頬擦は少し怒ったような表情になる
「私は困るよ!」
急に俺から目を反らすと、照れた仕草で続けた
「だって……だって、私……」
ん?このセリフから予想される展開は・・・
「……田中くんの事、好きだから!」
そう告げた頬擦の耳は真っ赤になっていた 俺は目を丸くした
「へ?……お前、何を……」
「ほんとだよ、ずっと前から好きだったの!」
いきなりの告白 ……どうするべきか?
……………………
「……頬擦 竹蜂。」
「……はい。」
「……俺もお前のことが好きだ。」
それから教室へ戻ると何事も無かったかのように席に着き先生へ報告する
「先生! さっき辞めるって言ったのは、やっぱ無しでお願いします。」
唖然とした先生は一拍おいてから憤怒する
「……お前、ナメとんのかぁーーーーーー!!!!」
その後、俺たちは(なぜか頬擦まで)こっぴどく叱られた
だがしかし、俺はこの日―
東京へ行くエロゲードリームと引き換えに彼女をゲットできた
生徒指導室から生還した俺と頬擦が校舎を出る頃には、すっかり日が傾きカラスが鳴く時間になっていた
「ふ~、やれやれ…… ようやく説教が終わったな。」
「……疲れましたね」
そう言いながらも頬擦の表情は明るい
「ああ。 ってか、なんで頬擦まで怒られてんだよ。」
「なぜでしょう? よくわからないですね。 ふふふ……」
「ったく、」
俺は微笑む頬擦を見て胸が高鳴りつつも、それが悟られないよう努めた
正直いえば頬擦の顔を正面からまじまじと見たのは今日が初めてだし、彼女を好きでもなかった(嫌いでもない)
でもこうしてよく見ると可愛いし、これから彼女の事を本当に好きになっていけばいい
俺の選択は間違っていなかったなと思った
東京へ行くのは何時でも出来る
でも彼女なんて欲しくてもすぐにできないだろう?
全ては最高のエロゲー作りのため…………
頬擦との経験はきっとエロゲー制作の糧になる
エロゲー・イズ・マイ・ライフ
俺は心の中で強く叫んだ
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