〜『絶望』と『混沌』〜 ②
ーーー???
目の前に立つ3人。
分離こそしているが、確信めいた物を感じる。
(いや、待て、そもそも我はなぜ、生きて……?)
グリムゼードは人型となっている自分の身体を確認し、キョロキョロと"地獄"を見渡すが……、
「早くもう一度会いてぇな……アード様」
「クフフッ、"私共"は姿を見せた瞬間に、"また"屠られてしまうかもしれませんがね?」
「いいじゃん! "屠られる"なんて経験、アード様しか与えてくれないんだからさ!」
「貴様らはうるさいのじゃ! 『大罪人共』が!! 妾が1番にこの世界に降り立ったのじゃから、妾が1番に向かうのじゃ。『クラマ』もおるしのぉ!!」
「まぁなぁ〜……あの"九尾"、ホンマにうまいことやりおったわ。"ワイ"も女やったらよかったで」
自分の方になど見向きもしない者達に更に困惑する。
「……『貴様ら』が"アジダハ"なのだろう? 何がどうなっている?」
グリムゼードの言葉に、中央に立つ美男子はニヤリと口角を吊り上げた。
「カハハッ! おい……"本当"に、死ぬか? さっきから……。言葉遣いには気をつけな? 我がこの、『アード神』が生み出した『混沌』の王だぞ?」
縦長の瞳孔を持つ紫色の瞳が怪しく光ると、一斉に化け物達の視線が目の前の男に注がれた。
「「「「「ふざけるな!!」」」」」
「ジーク! いつまでも座ってられると思うなよ?」
「クフフッ。"ジークさん"。次の『玉戦』では遅れはとりませんよ?」
「妾こそがアード様に1番に屠られたのだ! 『このアード様が創造した世界』の"王"は、妾こそがふさわしい!!」
「"フェン"も"ジーク"もうるさいなぁ。オイラが食べちゃうぞぉ!?」
いがみ合い、殺気を飛ばし合う強者達にグリムゼードが絶句する事しか出来ずにいると、周囲の声など煩わしそうに耳をポリポリと掻いている正面の"男"と目が合う。
「まぁ、好きにしろよ。我らは、基本的に『あそこ』で"アード神"を見てるからよ」
"ジーク"と呼ばれる男がグリムゼードに声をかけた。
手がかりがないグリムゼードはジークが指し示した場所に駆け寄り、丘の上にポッカリと空いている穴を覗き込んだ。
「……こ、これは……?」
そこには巨大な湖は透き通っており、先程『自分を屠った化け物』が、「エールを飲みたい! もう終わった!」などと叫んでいるのが見える。
「さて、どうする? アード神に服従するか? 争うか? 争うってんなら、我が"ちゃんと"屠ってやるが?」
「……何者なのだ? あの……"アード"という者は?」
「……我らが崇める『神』だ!」
グリムゼードはアードを"纏う者の正体"との邂逅を理解すると同時に、
(……"羽虫"だったのは我……か……?)
アードとのあまりの"力量差"に言葉を失った。
ドサッ……
グリムゼードは腰を抜かして座り込む。
(この者達、全てを従えているとでもいうのか? あの"歪な匂い"の正体はコイツらの魔力? 残滓? 一部? なんにせよ……、)
そもそも、自分が相手にできるような相手ではなかったのだと頭を抱え、冷酷な漆黒の瞳を思い出しては身体を震わせる。
「……き、"貴様ら"は『ここ』で何を……?」
「……クハッ! まぁ"新入り"だから許してやるが、2度言わせるな。言葉遣いには気をつけろ」
「……"貴様ら"はここで何を?」
「……カハハハッ!! 面白えな、お前! 萎縮しないヤツは久しぶりだ! なぁ、"ロックス"!」
声をかけられたのは、全身に炎を纏い、腕が翼になっている黄色と赤が入り混じった髪の美少年。
「……ソイツは"魔将王"でしょ? そもそも、ソイツも普通じゃないのさ! "あの人"に屠られて、気がついたら、また"死地"。……普通は『勘弁してくれ』って感じだよ」
苦笑したのは"獄炎鳥"。
ジークは「カハハッ!」と笑い、グリムゼードに向き直る。
「よし! 気に入ったぜ、お前」
「……ここで何をしてる?」
予想通りの"獄炎鳥"。
("この場にいる者達"は全員……?)
聞かずともこの答えはわかっている。
それよりも、グリムゼードにとっては「ここで何をしているのか?」の方が疑問だ。
「カハハハッ!! ……我らは待ってるのさ!! アード神が我らを"呼ぶ"時を!」
「……最終決戦か……?」
「……どうかな? アード神が我らを求めてくれる時こそが、我らの全て! ……順番は"強いヤツ"が優先だ! つまり……、"ジーク・アジダハーカ"……。この混沌の王である、我こそがアード神の1番の家臣となれるってわけだ!」
「「「「ふざけろ!」」」」
その場にいる者達は同時に叫び、殺気を飛ばす。
モワァアア……
尋常ではない"魔力漏れ"。
周囲に魔素が漂い"並の魔物"ではすぐに消滅してしまう。
ピリピリと張り詰める雰囲気の中、グリムゼードはゴクリと息を飲み口を開いた。
「……我は"中立"。あの"アードと言う者"に仕える気にはならぬ。しかし……、歯向かった所で敵わない事は理解している。……ここに"生"があるなら、我は生存本能に従い、誰が相手でも相手になるが……?」
グリムゼードは、まだ自負は失ってはいない。
(確かに強者ばかりではあるが、『アヤツ』に比べれば……"理解"できる範疇。あの"化け物"に歯向かう気はないが、奪おうとするなら何人かは道連れに……)
すっかり回復している四肢と魔力ではあるが、この者達、全員と戦ったところで、生き残れるとは思っていない。
ただ、平伏す事も出来なかった。
シィーン……
様々な視線を一身に受け止めていると、
「……クハハッ! "白"だな。まぁ、いいだろう? お前の"部下"は大バカだったから、我が屠ってしまった。悪かったな」
「……」
「まぁ……、アード神を見てれば、そのうち好きになるさ! あのお方の"生き様"に……。死にたくなったら声をかけろ。いつでも屠ってやるからよ」
ジークはそう呟くと、ふわりと宙を舞い湖を覗くために作られたであろう『玉座』に腰掛けた。
「グリフォン……、いや、"グリムゼード"。ここのルールは2つ。『アード神への反逆は許さない』。それから、『この世界の"弱者共"を甚振り、踏みにじれば、我らが貴様を甚振り、踏みにじる』……と言う物だ」
「……」
「ようこそ! 『混沌』へ!!」
ジークの笑みに、グリムゼードは沈黙した。
この場で戦った所で、よくて"6番目"。その他の者達に関しても、勝てたところで"瀕死"になるほどの者ばかり。
自分こそが至高であると信じて疑わなかったグリムゼードは、"現実"を前に沈黙するしか出来なかったのだ。
ここは『混沌』……。
完全なる弱肉強食の世界。
ルールは2つ。
『創造神"アード・グレイスロッド"に対する反逆を許さない』
『この世界で"弱者"を虐げれば"自ら"が虐げられる』
それは王であるジークも例外ではない。
複数の強者達に命を奪われる事になるのだ。
強者達は待っている。
アードが呼びかけ、求めてくれる"その時"を。
〜作者からの大切なお願い〜
「面白い!」
「次、どうなる?」
「更新頑張れ!」
少しでもそう思ってくれた読者の皆様。
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たくさんのブクマ、評価ありがとうございます!
一章完結も間近! 引き続き、よろしくお願いいたします!!




